最強の賞金稼ぎ

変狸

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1 真島信雄さっそう登場!

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 ここは、惑星「ティラ」
 愛すべきバカどもの星。
 この星では、毎日がお祭り騒ぎ。
 そんなこの星で一番小さな大陸、スコルト大陸の南端に位置する中立都市マール。
 地球で言うところの赤道に近い場所に位置しているこの町は、所謂リゾート地と呼べる場所。
 浜辺はほとんど世界各国のやんごとなきお方やおえらいさん達のプライベートビーチ。当然、その近くにある豪華なお屋敷群もすべてお偉いさん方の別荘、もしくはそんなお偉いさん方を接待するために建てられたものである。
 さてそんなきらびやかな街並みから少し離れた町の中心地から伸びるメインストリート。
 から一歩、出た路地。

「ねえ、お姉さん。俺たち道に迷っちゃってさぁ」

「そうそう、ちょっと道を教えてほしいなって」

 左右の店のせいで日の光が届くことはなく日中であるというのに薄暗く不気味な雰囲気を漂わせている。
 そこで、いかにも軟派な、いや、チンピラが二人が、若い女性にナンパをしていた。
   チンピラ二人の服装は革製の鎧に、ズボンはボロボロの布をつなぎ合わせて作られたつぎはぎ物。腰には、持ち手や鞘があまり汚れていない直剣が差してあり、片方のチンピラは片手でそれをもてあそんでいた。
 その見た目から一番に思いつくのはならず者、すなわち犯罪者の類だろう。

「だから、さっき教えたはずよ。そこの通りをまっすぐ行けばあんたらの同業がいるところに行けるって」

「いや~できれば直接、そこまで連れて行ってほしいんすよ~」

「そうそう。俺たち、この町に来たの初めてだからさ」

 二人がそう言って女性に手を伸ばし手を掴もうとしたとき、掴もうとしたときの男の頭に何かが当たる。

「ん?」

 何かと思い二人が振り返るとそこには、赤いマントを身に纏い背中には身の丈以上の特大剣を背負い、片手で小石を弄んでいる男がいた。
     一番目につくのは男の背中にある特大剣でせれに比べれば男の方がおまけのように感じてしまう。

「なんだぁ、お前よぉ」

    背負っている得物はともかく相手は一人で自分たちは二人。チンピラたちは負ける要素がないと確信し、へらへらしながら視線を女性から襲撃者に合わせる。

「お前ら、やめときな」

 特大剣を背負った男は小石を地面に捨てると、男に向けてゆっくりと歩き出した。

「二人で、よってたかって一人の女性に言い寄るなんて。はっきり言ってみっともない。男がすることじゃない」

 男はそういうが、チンピラ達は女性から離れようとしない。
   むしろへらへらして、小馬鹿にしたような態度だ。

「はぁ? おっさん何言ってんの、俺たちはこの子にちょっと道を聞いてただけですよ」

「そうそう、ねえ彼女?」

 チンピラたちはそう言って女性の方を見る。
   同意でもしてくれると思ったのだろうか。

「いつ私があんたたちの彼女になったのよ。ねえ、ノブオさん、この二人さっきから私に付きまとってくるの。何とかして」

    女性はそれを否定して大剣を背負った男をノブオと親しそうに助けを求める。
    
「うん、いいよ」

 ノブオと呼ばれた男はそう返して二人まであと2歩というところまで近づく。

「ただし、条件がある」

 そこで、念を押すかのように女性に交渉を持ちかける。

「何よ?」

「簡単な事さ。この後さ、俺とデートしてくれる?」

    一瞬、女性はノブオの出した条件があまりにも面喰う。
   そこで、チンピラたちが2人のやり取りに切れる。
 今自分たちが口説いている人物を横からかっさらおうとしているのだ、当然のことだろう。

「何ふざけたこと抜かしてんだ、おっさん!」

「誰かは知らねえが、俺たちを敵に回したこと、後悔するぜ」

 そう言って、チンピラの片方が腰から直剣を抜こうとする。
 だが、ノブオはふんと鼻で笑う。

「やめとけ。でなけりゃ、恥をかくのはお前らのほうだぞ」

「うるせぇ!」

 そう言って剣を横に振ろうとするが、抜いた瞬間、キンと金属音を立てて抜いた直剣が壁に当たりチンピラの手からスッポぬけ地面に落ちる。

「こんな狭い場所で直剣なって振り回せば当然だ。普段からそいつ振ってない何よりの証拠」

「ちぃ!」

 うっとおしそうに舌打ちして、ノブオに殴りかかろうとするが。

「なんだ、新手のストリートダンスか? だったらもっときびきび動かなくちゃ」

 男は、怒りに身を任せノブオの顔面目掛けて拳を振る。
 ノブオはその拳をよけ、

 ることはかなわず、顔面にくらってしまう。衝撃が鼻をつぶし、地肌を通し骨が軽く砕ける。ゴリュという不快な音がなる。
 そして、バタンと地面に倒れ動かなくなる。

「へ、ざまあみろ。俺たちの邪魔をするからだ」

 当然の報いとばかりにチンピラはノブオをまくしたてる。
 だがそこでおかしなことに気が付く。ノブオが起き上がってこないのだ。

「おい、なんだ?」

 チンピラが疑問に思い顔を近づけてよく観察するとなんと、

ノブオは頭部から血を流して死んでしまっているではないか。

「な、なに!」

 さすがにそのことに驚いたチンピラはすぐさまノブオの服を掴み持ち上げる。
 すると、彼の頭部から血液がぽたぽたと落ちていく。
 体からは熱を感じず首も体にくっついているだけという感じでだらーんとしており完全に生きている様子がなかった。

「おいおい、嘘だろ嘘だろ!」

「おい、どおしたんだよ」

 二人は目の前で起こっていることを理解できず片方はノブオを掴んでいた手を放し頭を抱え、もう一人はヒステリックになっていた。
 一方、女性はそんな二人とは対照的に落ち着き払っている。
 そのことに気が付いたのは頭を抱えているチンピラ。

「おい、おまえ! なに落ち着いてやがんだよ」

「あら、あなたたち。いきってたわりに人一人殺したくらいで何パニックになってるのよ」

「こ、こいつ」

「それに、彼なら心配いらないは。

「は? てめえ、なにいって・・・」

 チンピラが女性につかみかかろうとした瞬間。後ろから何者かが自分の肩に手をかける。

「へー、結構やるじゃん。きみさ」

 そして、反対から聞こえてくる声。
 チンピラが恐る恐る声のする方に顔を向けるとそこには、
 頭から血を流しながら笑っているノブオの姿が。
 驚きのあまり腰が抜けて地面に座り込んでしまうチンピラ。

「おまえ、なんで」

「死んだはずなのに生きてる理由か? 簡単さ」

 ノブオがそういっている間に頭の血は止まり傷がどんどん治っていく。まるで、録画した映像を巻き戻しているかのように。
 そして、傷が完全に治ると彼は首の関節をこきこきと鳴らしてニヤッと笑ってこういった。

「俺、不老不死なんだよ」

 そういって、再びノブオはチンピラの胸倉をつかむ。
 とっさにチンピラは腹をける。が、そんなことは意に介さずノブオは腹に蹴りが当たった瞬間、足を掴む。

「どうした。その程度か?」

 そう言ってノブオはズイっと足と胸倉を引っ張りチンピラを近づける。足と胸倉を掴まれ動けない男は、何とかその手から逃れようと思うがまるで、万力で固定されているかのように足はびくともしない。
   その隙に、ノブオは殴りかかろうとした男に頭突きをかます。
   頭突きをもろに受けた男はおでこを押さえて地面に倒れのたうち回る。
   そんな相棒の様子を見て冷静になったのか、もう一人のチンピラが一歩下がって地面に膝をつく。

「ま、待ってくれよ。俺たちが悪かったすぐにあんたの前から消える、だからここは見逃してくれねえか」

 男はそういって懐から小さな革製の袋を出すとノブオに向けて投げつける。

「ほらよ、金も渡すだから・・・」

 チンピラの話を聞き流しながらノブオは彼が投げ捨てた袋を拾い上げながら、鼻の位置を元に戻す。そして、戻ったことを確認するとチンピラに向けて袋を投げ返した。

「いらねえよ。それよりも!」

 ノブオは男の胸倉をつかみ女の子の前まで連れていく。

「まずは、彼女にすみませんでしたと謝んのが筋だろ。ほら、お前も!」

 ノブオの声で女性とチンピラは背後を振り返る。すると、さっきまで痛い痛いともがいていたはずのもう一人のチンピラがいつの間にか立ち上がり逃げようとしているではないか。

「て、てめ~俺を置いて逃げる気かよ」

「うるせえ! わりいが俺は命が惜しいんでな」

 当然、それを許すほどノブオはお人よしではない。

「は~お前、ほんと屑だな」

「ふん、てめえも覚えてやがれ、ぜってえいつか痛い目に合わせてやるからな」

 そういって、チンピラは相棒を置いて逃げていこうとする。

「悪いがそいつは無理だ」

 ノブオはゆっくりと手袋をはめ右手で指をパチンと鳴らした。瞬きをする間もなくノブオの右手に青白い光を放つナイフが数本、指の間に現れ、それを斜め上方向に投げる。

「へ、どこ狙ってやがる俺はここだぜ」

「ああ、もちろんわかってるさ。まあ、落ち着いて上を見てみなよ」

「は?」

 チンピラが何のことかと思いながら真上にに目を向けた瞬間。爆発音と同時に何かが顔に当たり地面に倒れる。
 何が起こったかわからずパニックになるチンピラ。それこそ、いつの間にか自分の横に信雄が立っていたことにすら築けないほどに。

「お、おま。おめぇ、なにしやがった!」

「なぁ~に、ちょうどよくお前さんの上の窓の蓋があったんでな、利用させてもらったまでよ」

 そう、ノブオは商店の2階の窓についていた蓋に投げたナイフを当ててそれを爆破して落としたのだ。

「て、てめえ。そんなでっけえもん持ってんならそっちを使えや!」

「さっきも言ったでしょ。ここじゃこいつは、長すぎる」

 チンピラの文句を聞き流しながらノブオは手際よくチンピラの手足を拘束し肩に担ぐ。

「てめぇ! なにしやがる!」

「この状況でまだ文句を言う元気があるとは」

 呆れながらチンピラを掴みノブオは女の子の元までもっていく。

「ほら、二人とも。彼女に謝るんだ。迷惑をかけてすいませんでしたってな」

「謝ったら。許してくれんのかよ」

「それは彼女次第さ。まあ、謝らなかったら今度は落ちてくるのが木の板じゃなくなるけど」

 そういって、ノブオは今度は背中の特大剣に手を伸ばす。

「わかったよやりゃいいんだろ」

 チンピラ二人は一度顔を見合わせうなずいた後、二人揃えて「すいませんでした」といって頭を下げる。

「二人はこう言ってるがどうする」

 ノブオは笑顔で女の子に問いかける。すると女の子はわざとらしい困り顔をして腕を組む。

「そうね~こんなところで油売ってたってお父さんに思われてもしゃくだし。そうだ、あんたたち!」

 女の子はそういって二人を指さす。
 二人は「へ?」と間の抜けた顔をしていた。

「今日一日、私の両親がやってる店で働きなさい」

「「え!」」

 二人揃って素っ頓狂な声を上げる。
 
「何よ、文句でもあるの?」

「当たり前だ!」

「この女、下手にでてりゃ調子に乗りやがって!」

 その時、ノブオが2人の肩を掴む。

「おいおい、物忘れが激しいお方たちですな。俺がいることをもうお忘れで」

 ノブオがそういうと二人は「ま、まさか・・・」と返す。

「まったく。君たち賞金稼ぎなら俺のことどっかで聞いたことないの?」

 ノブオに聞かれ、チンピラ二人は必死に頭を回転させる。一人は「いや、しんねえし」といった反応をしていたがもう一人が「あ!」と声を上げた。

「おまえ、知ってんのか」

「噂ぐらいなら。様々な戦場を渡り歩き。剣で切られようと、矢でいられようと、銃で撃たれようと、大砲の直撃を食らおうが魔法で消し飛ばされようと死なない化け物のような男。背中に身の丈以上の特大剣を背負って敵の血で染まったマントを羽織る。悪魔のように笑みを浮かべる男。その悪魔のように理不尽な様からからついた異名が理不尽を意味する古代語のオーフェンハウスト!」

 男が意味深にそう言うとノブオは目の色を変え二人の首を絞める。

「長い説明、お疲れ。だけどそこまで知ってるなら、わかってるよな。俺がそう呼ばれることが、何よりも嫌いだってことがさ」

 ノブオそういって二人を地面に押し倒す。
 そして再び指を鳴らす、今度は両手で。すると、今度は両手にショートそう度が現れる。

「さあ、選べ。ここで無価値に死ぬか、それとも彼女の提案通り彼女の店で今日一日働いて生きるか」

 そういってノブオは地面に刃を突き立て二人の首元まであと少しのところまでもっていく。そこまでやるとさっきまで虚勢を張っていた二人もようやくおとなしくなる。

「わ、分かったやる。やるよ!」

「俺もだ。やる」

「違うだろ! 喜んでやります。だろ!」

 今度は首筋を軽く切り付けて簡単な切り傷を作る。

「「は、はい、喜んでやらせていただきます!」」

「よし、じゃあ二人ともこれに手かざして」

 ノブオがそういってチンピラの拘束を解き二人の目の前に差し出したのは1枚の羊皮紙。
 二人がその言葉にしたがい羊皮紙に手をかざすとノブオはショートソードを消して青白い光を放つナイフを指鳴らして出すと二人の手に軽く切り傷を作る。

「いて!」

 そして二人の手から滴り落ちた血は羊皮紙に落ちしみこんでいく。すると羊皮紙に文字が浮かび上がる。

「ハイ。これで二人は今日一日、彼女の奴隷だ」

「な、なに!」

「賞金稼ぎなら知ってるだろ。こいつは、捕まえた賞金首を逃がさないようにするための首輪て呼ばれてる魔術だ。効果は1日で切れるがその間はこの契約書の半径5ラート(1ラートは1.31メートル)内でしか動けないし、こいつを持っている人物に乱暴を働こうとすると体を激痛が襲うようになってる」

 それを聞いた瞬間、二人は血の気が引く感触がした。

「まあ、たったの1日だ。これも社会経験だと思ってやって来い。賞金稼ぎならそのうちこういうこともやることになるだろうからな」

 ノブオは二人にそういうと女の子に契約書を渡す。

「さあ、聞いたでしょ、いくわよ」

「は、はい」

「ちくしょう! 詐欺じゃねえか!」

「違うね。効果はちゃんと1日で切れるから。彼女の言っていることと何にも齟齬はない」

「何やってんの、きびきび歩く」

「やめろ! 押すな!」

 女の子はそういって二人を連れて行こうとしたとき、はっとなりノブオの方を振り返る。

「じゃあ私、二人を店まで送っていかなくちゃいけないから。デートは無理ね」

「え」

 ここでノブオ。痛恨のミス。自分で自分の首を絞めることに。

「だったら、俺も店に」

「お店は今は準備中よ。もし後で来てくれるならサービスするわ」

「そ、そんな~」

 未練たらたらでそう言うノブオに彼女は、

「ごめんなさい。また今度ね」

と言って、走り去っていった。

『また負けたな。これで何敗めだ』

    唐突にノブオが背負っている特大剣が言葉を話す。

「出てくんなよ。疫病神が」

『疫病神ではなく邪神だ』

「俺からすれば同じようなもんだ」

    ノブオが背負っている剣には、自分のことを邪神と名乗る謎の存在が封印されている。普段はこうしてノブオに話しかけおちょくってくる。
    そして、ノブオがこの世界に無理やり送られた原因でもある。

「お前のせいで俺はここで、ここで・・・」

『だが、失うだけじゃなかったろう』

 邪神はそう言うがノブオからすれば疫病神以外の何者でもない。

「いつかお前さんを質屋に売っぱらってやるからな」

『できないことを言っても意味がないぞ。私とお前は魂で繋がっているから離れようと思っても、離れられない。何度も確認したことだろ』

「わかってる。だけどな、こういうことは言っておくことが大切なのさ」

 ノブオはそう言って路地裏から出る。

『それはそうと、今日も仕事取れなければ日々の生活費もままならんぞ』

「別にいいだろ。そんな問題はな、恋というものの前では些細な問題なのさ」

 お金は天下の回し者というのが彼の考えであった。
 そもそも戦争ばかりのスコルト大陸ではノブオの住むマール以外はまともな貨幣価値がなく、物々交換が主だ。
 故に最悪、町の外に出て野草やキノコでも回収して近くの村で物々交換すれば何とかなるとノブオは考えていた。

「大体、俺に寄生しているお前がゆうことか。飯は食わねえから食費はかかんねえけど・・・」

『寄生してるからこそ宿主を大事にするというものだヨ」

「てか、何でこんなデカくて振り回しにくい特大剣なんかに封印されちまうんだよ。封印されるならもっと使える武器に封印されろよ」

『悪いな。鞭にでもなってお前を縛り上げればよかったな』

「そんな、いや一種のSMプレイだと思えば・・・」

『邪神の私もさすがに引くぞ』

 邪神から罵倒を浴びせられるがノブオは気にせずにずいずい歩いていく。
   いくつかの道を抜け町のメインストリートから少し離れ、建物も少し錆びれ生活感がにじみ出ている商店立ち並ぶ通りを抜け、やがてノブオの目の前に木製の立派な建物が見えてくる。入口の扉には「賞金稼ぎ組合」と書かれた立札が立てかけられていた(ギルドではなくみあいである)。
 扉を開け中に入ると見るからに荒くれものといった見た目の男たちや、その場に似合わずバカでかい本を読んでいるローブを着た初老の男や、男たちと一緒にぐびぐび朝から何か(恐らくビール)を飲んでいる屈強な女性などで非常に賑わいを見せている。
 外の様子とは裏腹に中は完全に何年か時代が遅れていると初めて来た人は感じてしまうことだろう。

「おう、ノブオ。どうだこっちで飲まねえか」

 男の一人が片手にジョッキを持ちながら近寄って来る。

「おう、ジョンじゃねえか。いいぜって言いたいところだけど今手持ちが寂しくてね。また今度な」

「なんだ、つまんねえの」

 男はそう言って再びカウンターに戻り「親父、もう一杯」と叫んで再び騒ぎ始める。対面で接客しているおっさんが「俺はお前の親父じゃねえぞ」と言って、ビールが並々と注がれたジョッキををカウンターに置く。
 ノブオはそんないつも通りの光景を横目に見ながら、真っすぐ仕事が書き込まれている掲示板に向かう。
    が、向かう途中、一人の女性がノブオに声をかけた。

「ノブオさん、組合長があなたに頼みたい仕事があると」

 そういう彼女はこの支部の支部長助手をしている女性である。

「女? 男?」

 彼には女性でないと仕事を受けないという謎のポリシーがあった(時に例外あり)。

「女性です」

「分かった。すぐに話を聞こう。お客さんは応接室に?」

 ノブオは女性にそう聞くとすでに応接室に向けて歩き出していた。

「はい。いっておきますが、くれぐれも粗相がないようにと長から」

「はいはい。できる限り頑張りますよ。でその肝心の長は?」

「別件で今は不在です」

 ノブオはやっぱりかと溜息を吐くと、

「あいよ、じゃあ長にかわって俺が接待してきますよ」

 そう言ってノブオは向きを変え勢いよく応接室と書かれた扉を開けて中に入る。
 すると奥の革張りのソファーに女性用の甲冑を着た銀色の髪がよく目立つまさしく女騎士といった女性と、その背後にメイド服を着た同い年ぐらいの頭に白いキャップを被った女性が二人そろって驚いた顔で彼の方を見る。

「美しい」

 開幕一番、彼女を見てノブオはそういいはなった。

「はぇ?」

 そんな、彼の言動を理解できなかったのか彼女が困惑する。

「ああ、すまない。あまりにも君が美しくてつい」

 ノブオがそんなキザったらしいセリフを言うと「んん」とメイドが咳払いをして二人の間に入っていく。

「すみませんが、無駄話をしている暇がないので本題に入らせていただきます」

 メイドはそう言うとノブオの方を向く。

「では、ご紹介を。こちらにおわすお方はガーリ皇国の貴族、オミーザ家の御令嬢、アグサ・オミーザ様にあらせられます」

 メイドはそう言ってアグサの横に立つ。一方で当の本人のアグサは一瞬、あれっていう困惑した顔になるがすぐにそうだそうだと、納得した顔になる。

「今回、不本意ながらも、そう不本意ながらも! 私達がここに来たのは、貴方に護衛を依頼するためで」

 そんなアグサの様子に気づく様子はなくメイドは話を続けていく。
 対してノブオは真面目な顔で話を聞いているが、その内心では、

(ふむふむ88・59・85とみた)

目の前の女騎士の美さに目を奪われている。いや、より正確に言うなら彼女の鎧に隠された美しいであろう体にだが。
 
 鎧姿でも女性の3サイズを当てることができるのは、長年培ってきたノブオの経験によるだ。
 そして、その目は再び彼女を全身から見るために違和感のないように対面の椅子に座る。
 髪はまるで銀をそのまま糸にしたかのように日光に当たりキラキラと輝き、顔は神話に登場する女神のように美しい黄金比で構成されており見るものに自然と安らぎをもたらし、甲冑で見えないがその肢体は有名な彫刻家が作った彫刻のように美しくそれでいて優雅であろう。
 誰が見ても彼女に美しいと声をかけるはずだ。

「私たちはある用事でこの町に来たのですが、数日前から何者かにつけられていると思っていたところつい昨日、黒いローブを羽織った集団に襲撃されました、そのときは従者達の働きで事なきを得ましたが、その一見で従者は皆負傷をおい現在護衛と言えるのは女でひ弱な私一人」

「なるほど、それで身の危険を感じて俺に護衛の依頼を、ちなみにこの町に来た理由てのを聞いても?」

 ノブオは当然気になることを質問するが、メイドにそのことを話す気はないらしい。

「すいません、それは私どもの国の機密につながることなので部外者の方に簡単にはお話しするわけには」

 そう言って、メイドは会話を切る。
 だが、そうなることは二人と会話し始めた時からノブオには予想できることだった。

「分かったよ。で、いつまで護衛すればいい? 俺としてはいつまでも君たちと一緒にいたいけど、この町から出て家に帰るまでなんて言われると少し困るんだけど」

 というのも、長期の仕事となると彼もいろいろ準備しなければいけないためである。

「それなら心配いりません。私たちの予定ではこの町に滞在するのはあと3日程の予定です。その後は本国から追加の護衛の方々が来られますので」

「なるほど、それなら問題・・・」

 そこでノブオ、予定が入ってないかどうかを考えるが、特にないことに気が付き若干むなしくなる。

「どうかされましたか?」

「いや、何でもないさ」

『と、いまだ独り身の男は自分に言い聞かせるのだった』

「余計なことは言わんでいい」

「え?」

 急に独り言を言い出したノブオに驚く女騎士とメイド。
 邪神の声はノブオ以外には聞こえていないため、声を出して話すとまるでノブオが独り言を言っているように他人からは見られてしまう。もちろんノブオはそのことを分かっているため、またやってしまったと、顔を曇らせる。

「あ、気にしないでくれ。ただの独り言だから」

「は、はあ」

 首を傾げ隠す気もなくノブオの方を怪しむメイド。
 対して表情は曇ったままだが目だけは、下心丸出しの視線をやめようとしないばかノブオ
 メイドは、この人に任せて大丈夫なのか? と首をかしげいぶかしむ。



 応接室を出てノブオは受付の奥で書類仕事(紙ではなく木の板を使っている)をしている支部長助手の女性に依頼を受けることを告げ、依頼主の姫騎士アグサとそのメイドを伴い町へと繰り出す。

「じゃあまずは、泊まってる宿から俺の家に移ってくれるかな」

「待ってください」

 メイドがそう言うが、ノブオは話を遮り自分の言葉を続ける。

「いいか、君たちは命を狙われてるんだぜ。だったら」

 信雄はそういた後に「泊まってるところに先に案内してください」と言おうとするが、強引にメイドが割ってはいる。

「すいませんが、我々の予定を優先させてもらいます」

 と言いますメイドさん。

「え」

 これにはノブオもつい声を上げてしまう。

「君たち、自分たちが狙われてるってわかってるんだよな」

「もちろん。ですから、貴方に護衛を依頼したのです」

「ああ、そう・・・だよな。そう、だな」

 ノブオはそう言ってうんうんと首を振り「ちなみにどこへ」と聞く。

「少し銀行の方に・・・」

 間髪入れずにメイドがノブオの問いに答える。

「いや、君に聞いたんじゃなくてアグサちゃんに聞いたんだけど」

「この程度のことでお嬢様がいちいち口を開く必要はありません。お嬢様にはこの後、重要なことがございますから」

 ノブオとしては納得はできないが、これ以上この話題は続けられないとメイドの反応を見て思う。

「ちなみに、どんな用があって銀行に?」

「すいません「あ、分かった分かった。教えられないんだったな。じゃあ俺は外で待っとくことにしますよ」・・・貴方は私たちの護衛ですよね?」

「ああ、そうだよ」

「ではなぜ、護衛対象のそばを離れるのですか?」

 メイドがそう聞くのは当然のことだった。
 通常、要人の警護などでは護衛対象を守るために騎士やボディーガードが常にその周りにつく。

「だって、君。俺に何にも情報くれないじゃん。じゃあ俺も守りようがないってわけ」

 ボディーガードをする以上、護衛対象がどこで誰と何をしているかを知るのは重要なことである。
 ノブオとしてはそのうちの誰と何をしているのかを知れないとなるとどうしようもないわけではないが不安材料は残ってしまう。

「君たちについて行ってもどうせ部屋の前で待たされるだろうしね。話を聞かせるわけにはいかないって。だったら自分のやり方でやらせてもらうまでってわけさ」

「やり方って・・・困ります」

 メイドのそんな反応を見てノブオは腕を組んで少し考えるとすぐににやにやしながら、彼女を観察し始める。

(キャップの隙間からわずかに赤い髪が見える。体つきも悪くない。むしろ、部分によっては主人に勝っている。うん、実に見事)

「な、なんですか・・・」

「いや、俺は別にいいよ。君達にずっとついて回っても。それこそ湯浴みの時や着替え、就寝の時、片時も離れなずに何なら添い寝をしても」

 そういって、ノブオはゲスい顔をして「へへへ」と笑いアグサとそのメイドに目を向け舌なめずりをした。その様子を見た二人は、気持ち悪そうにノブオを見てアグサが「早く消えてください!」とその閉じていた口を開き、厄介払いまでしだす始末だ。
 さすがに我慢できなかったんだろう。

「お嬢様、行きましょう。こんなものに、護衛を依頼した私のミスです」

「はい、そうですね」

「・・・お嬢様」

 メイドはそう言ってアグサに耳打ちをする。
 そのご、アグサは咳ばらいを挟みつつ口を開く。

「あ、んん。ひ、非常に、不愉快です。あなたとの契約はここで切らせていただきます」

 何度も言葉を詰まらせながら言葉を紡ぐアグサ。それに続いてメイドが「それでは失礼します」といって、二人はすたすたと歩いて行ってしまう。
 そこで、ノブオは頭を掻きやっちまったなという顔をしながら、背後に視線を向ける。
 その瞬間、フードを被ったいかにも怪しい人物が路地裏に身を隠した。
 身を隠した人物は、路地をいくつも曲がり追跡をかわそうとする。
 ノブオが振り返ってきたのを見て、尾行がばれたと思ったからだ。路地をいくつも抜け反対側の道に出たところで、後ろを振り返り誰もいないことを確認する。

「そっち見ても、誰もはいないぞ」

 その時、ローブの背後から何者かの気配が。
 すぐに後ろを振り返ろうとするローブであったがその前に、背中に細い物を押し当てられる。

「おっと、動かんでくれよ。じゃなけりゃ、風通しがよくなるぜ」

 そう言われ、フードの人物はその場で固まったように動けなくなる。

「よしそれでいい」

「一体、どういうことですか。私が一体何をしたっていうんですか。一体」

 ローブの人物は慌てた物言いで背後にいる人物をまくしたてる。
 これは、パニックを装うことで逆に相手に油断させるための物であるのだが、そんなローブの発言を無視して押し倒す。
 いきなりの事にローブは顔面を勢いよく地面にぶつける。
 その結果、顔に泥や砂が付き鼻血が鼻からたらたらと垂れてきた。

「少し落ち着けよ。それとも、このまま永遠の眠りにつかせたっていいんだぜ」

「な、なにが目的なんだ・・・」

「何、おたくらの狙いってやつさ。それを教えてくれれば何もしないよ」

 そう言ってノブオは、ニヤ~と笑う。


 一方、アグサとメイドの方は銀行のお偉いさんの待つ部屋へとちょうど通されたときだった。
 そこにローブの集団が飛び込んできて彼女たちを囲む。

「何ですか、あなた達は」

 銀行の頭取である男がローブ達にそういった瞬間、ローブの一人が持っていた直剣で目の前にやってきた頭取を切り裂く。
 その瞬間、メイドが「キャー!」と悲鳴を上げる。

「黙れ」

 ローブの一人が天井に向けて銃を撃つ。

「我々の目的はあなたです」

 右手で銃を持ちながら左手で指をさす、その先にいるのはアグサ・・・ではなく付き従うメイド。
 それと同時にローブ達がメイドを囲む。
 そして一番手前のローブが膝をつき頭を下げる。

「この日を何度夢見たことか。聖女よ」

「え、え?」

 アグサは話が分からずただただ狼狽する。

「何の問題もありません。我々にすべてお任せください」

 メイドが何かを言う前に背後からローブの一人が彼女の腕を掴み注射器を首筋にさし、中に入っている液体を流し込む。すると、彼女は糸が切れた操り人形のようにぐったりとして意識を失う。
 それをローブの一人が手をさっと出してわきに抱えようとするが、予想以上に重かったのか肩に担ぐことに変更する。

「ミリー!」

 アグサが声を上げる。それと同時に彼女は背後から何者かに羽交い絞めにされる。

「動くな!」

 警告を入れたのは先ほどまで頭取の後ろにいたはずの銀行従業員の一人であった。彼の手にはナイフが握られており今にも彼女の首を掻っ切らんとしていた。

「あなた、いったい?」

「黙っていてください。これもすべて世界を救うためなのです」

 アグサがあたりを見渡すと、そこには血まみれで倒れているほかの従業員がうめき声をあげていた。
 偽従業員が「やれ」といった瞬間、残りのローブ達が隠し持っていた火炎瓶やらフリントロックピストルなどを取り出す。

「神は浄化をお望みだ。この、汚れた世界を。故に、これは救いである。迷える者達に救いを」

 先頭のローブがそういうとそれに続き周りのローブ達が「救いを救いを」と繰り返しながら今まさに火炎瓶を投げようとしたその時、彼等の後方から足音が聞こえてきた。
 ローブ達が一斉に扉の方を見る。廊下を歩く音がコツコツと建物内に響く。
 そして、扉の先から現れたのは、

「パーティーには間に合ったか」

ノブオだった。
 瞬時にローブ達は持っていた武器をノブオ目がけて発砲。火炎瓶を持っていたものは投擲。
 そして、放たれた弾丸はきれいにノブオの体を次々と貫いていき、火炎瓶は彼の体を真っ赤に燃やす。
 しかし、ノブオは燃やされながらも平然とローブ達に向けて歩いていく。

「あれ、君たちもしかして俺のこと知らない? だったら自己紹介しないとね」

 ノブオはそういうと背中の特大剣を手に取り方に担ぐ。

「俺はノブオ・マジマ。まあ見ての通り死ねないんだわ」

 ノブオがそういい終わるとローブ達の前から姿が消える。
 次の瞬間、固まっていたローブがまとめて吹き飛ばされたかと思うと次の瞬間、メイドを拘束している従業員まで近づき、見事なアッパーを食らわす。殴られた従業員はメイドから手を放し綺麗な放物線を描き天井にぶつかり、地面に落ちてくる。
 何とか立ち上がったローブがすぐにノブオの方を向こうとするが、それは間違いだった。
 彼は体を回転させながら鞘が付いたままの太く重い物体を振る。そして再び立ち上がろうとしていたローブ達めがけて回転の勢いのまま特大剣を横っ腹にぶつける。
 ローブ達が声にならないまさしく悲鳴を上げ四方八方に吹き飛ばされていく。
 全員が再び宙を舞う。しかし、今度は確実に骨が数本折れ身動きが取れなくなる。彼の体についていた炎が先頭の終わりを告げるかのように消える。
 そのうちの一人にノブオは近づきローブの中に手を突っ込み何かを取り出す。

「黒煙教団の紋章か」

 ノブオが何かに納得しているとようやく平静を取り戻したアグサが声をあげた。

「ミリーは?」

 彼女がそう言うと、すぐに部屋の扉から先ほどノブオに殴られ伸びているはずの従業員が何かを肩に担いで逃げていく。

「ちっ」

 ノブオは舌打ちをして追いかけようとするが、ローブが何かを落とす。それが地面に落ちたと同時に周辺が煙に包まれる。

「煙幕た~、準備がよろしいこって」

「ゴホゴホ、早く・・・窓を」

 銀行員がそう言いながら応接室の窓を開け空気を入れ替える。
 煙がなくなるとそこには扉の前でしゃがんでローブ達が落としていったフリントロックピストルを見ている。

「ゴホゴホ、ミリーは!」

 アグサが叫ぶ。

「彼女なら奴らに連れていかれたよ」

「ゴホ、だったらすぐに追いかけてください!」

「無駄だ。あいつは手練れだ。もう下の群衆の中に身を隠していることだろうよ」

 ノブオはそう言って立ち上がると彼女のほうに向きなおる。

「とにかく、今はいったん落ち着くんだ」

「そんな暇・・・」

「連中の狙いは初めから彼女だった。だから、やつらが彼女に乱暴を働くとは考えられない」

「ですが!」

「ああ、もう。らちが明かねえな」

「ちょ、貴方何を!」

 ノブオはいきなりアグサをお姫様抱っこすると走り出す。

「こうしたほうが早いでしょ」

「じゃそう言うわけで、あと片付けお願いしま~す。ささ、行きましょう、お嬢さ~ん!」

 そう言ってノブオは彼女をお姫様抱っこして走り去っていった。




 銀行などがある市街地から、ちょうど反対にある旧市街地。
 そこの建物の中で一きは古い幽霊屋敷。そこは賞金稼ぎノブオの隠れ家である。
 その、隠れ家の応接室に給仕服を着た少女、アグサは椅子に座りじっと床を見ていた。
 そこに執事服を着た初老の男が、紅茶の入ったティーカップをアグサの前にあるテーブルに置く。それに気が付きアグサが顔を上げると老執事が頭を下げる。

「あ、ありがとうございます・・・」

 そう言ってティーカップを手に取り一口、紅茶を口に含む。

「美味しい・・・」

「お気に召したようで何よりです」

 そう言って執事は部屋から去っていく。
 それと入れ違いでノブオが部屋に入ってくる。

「落ち着いたか?」

 ノブオがそう言った瞬間、アグサは睨みつけた。

「何をやってるんですか! 早く、ミリーを」

 声を荒げて叫ぶアグサに向かってノブオは「まあまあ」と、なだめる。そして、自分も椅子に座りアグサと向き合う。

「連中の狙いは彼女だ。さっきも言ったがそうそう手荒な真似はされない」

「なんでそういいきれるんですか」

「君も、その手の事には詳しいはずだろ」

 ノブオがそういうとアグサは押し黙った。

「オミーザ。その名前、前にどこかで聞いた記憶があってね。僭越ながら調べさせてもらった。オミーザ家、その歴史はガーリ皇国の誕生までさかのぼる。かの国の表ざたにできないような仕事を専門にやる一族。まあ要はガーリ皇国の暗部だな」

「・・・」

「まあそんなわけだからオミーザって家名も本当の物じゃない。君の名前、アグサも君の本当の名前じゃない。オミーザは君たちの一族が社交界なんかで出てくるときの仮の家名。アグサは、今回の任務に就くにあたってつけられた偽名ってとこか」

 アグサは何も反応しない、まるで人形のように意思を感じさせない。

「祖国の人間も王族以外は誰も君たちがそういう仕事をしているとは知らない。まさしく表にいながら裏に通じる2フェイスってわけだ」

 のどが乾いたのかノブオは一度、お茶を口に含む。

「そしてガーリ皇国っていえば最近、隣国のスーパ帝国に侵攻されて王子も王様も処刑されていまは友好関係にあるアトラス共和国に生き残った連中は亡命している」

 顔を再び伏せて表情をノブオに悟られないようにしようとするアグサ。だがノブオは話を続ける。

「そんなおり、君達がこの町にやってきた。どうも無関係とは思えないんだ」

「・・・」

 何も言わない。完全に口を閉じ顔を伏せ自らだけの世界にアグサは閉じこもってしまった。

「は~」

 溜息を吐いて、ノブオは話を続ける。

「ミリー。彼女は、ガリー皇国のお姫様じゃないのか」

 その瞬間今まで顔を下げていたアグサが顔を勢いよく顔を上げた。

「なぜ?」

「何で分かったかって? まず第1、何でただの貴族のお嬢様が従者に自分の身代わりをさせる。ふつうそんなことはしない。じゃ、なぜ君がそんなことをしてまでここに来たのか。それはまあ、いくつか考えられるけど、そこで二つ目」

「・・・何ですか?」

「ガーリ皇国の王家の血をひくものは、王位を継ぐ第1王子以外は王位継承の際にいざこざが起こらないように王族の信用が足る貴族に預けられるそうじゃない」

「それが彼女であると・・・」

「君たちの狙いは敵のめを君に向けること。なぜなら王族の人間は王様と王位継承権が一番高かった王子以外、顔が割れてない。そこで次に狙うのはそういう噂がある君たちの家。その娘をとらえれば情報が得られる。君本人からは無理でも君を利用しての交渉でね。もちろん敵も馬鹿じゃないから噂の真偽を確かめてからだろうけど」

 ノブオは自分の中で多すぎる情報を整理しながら話す。

「だが、今回の敵は明確にミリーちゃんを狙ってきた。それは何でだ。君ではなくそのメイドを。それは彼女に狙われる理由があったから。それはなんだ。その時、君がミリーと名前を呼んだ」

「それのどこにおかしなところが」

「確かに、おつきの従者を名前で呼ぶことはおかしなことじゃない。だが、そこでもう一つ思い出したのさ。ガーリ皇国の王族はみんな赤い髪の毛をしていたなって」

「よくご存じですね」

「最近物忘れがひどくてね、これもさっき思い出して思ったことさ」

 ノブオはそういって紅茶の入ったカップを手に取ると、一気に飲み干す。

「さて、俺の考えはすべて話した。君の話を聞こうか」

 ノブオはアグサにそういうが。彼女は、何も答えない。

「そうか、まあいいさ。依頼は君の護衛だ。別に彼女のことはどうでもいい。従者の一人や二人、貴族からすればどうってこともないだろ」

 ノブオが冗談半分にそういうと、アグサの雰囲気が変わり唐突に口を開いた。

「あら、女好きで有名なオーフェンファウストが女の子を見捨てるんですか」

 それは、今までの弱々しい彼女から発せられたとは到底思えない妖艶な色気を感じる声でまるで催眠術でもかけるかのようにノブオに語り掛けてくる。
 だが、その程度のことで驚くノブオではない。

「それが君の素顔かな」

「さあ、どうでしょう。ですが、さきほど、自分でおっしゃっていたではありませんか。つまりはそういうことです」

「直接言及はせずか。なるほどね。わかったよ。だが彼女を救助を依頼したいのであればそれ相応の代金を支払ってもらうよ」

「もちろん、そちらの提示したものをお支払いします」

「よし、待ってたぜその言葉」

 そう言ってノブオは指をパチンとならし先程の老執事を呼び出す。

「ウェイバー、準備はできてるか?」

「はい、万事抜かりなく」

 ウェイバーは数枚の紙きれを机に置く。

「旦那様の予想通り、属は黒煙教団の信者たちでした」

「やっぱそうか。ローブの一人が教団のシンボル持ってたし、そうだとは思ったけど」

「黒煙教団。ものを燃やした時に出る黒い煙を神聖視する狂った連中ですね」

「ああ、そんなに信者の数はいないはずでここまで大規模なことをするとは思ってなかったんだが」

「連中は町外れの森の中にある花火工場に向かっていきました」

 机に置かれたのは現場の地図と空からの航空写真。そこには黒いローブ姿の集団が激しく動き回っている様子が移されていた。

「なるほどね、花火工場なら黒色火薬を扱っていてもおかしくないか」

「それと、こんなものも発見できました」

 ウェイバーはさらに懐から、1枚の写真を取り出す。

「おいおい。連中、ヒトガタまで持ってんのかよ」

「ヒトガタ!?」

「知ってるだろ、ゲール帝国の兵器さ。文字通り人のような形をした大型の兵器。大きさで言えば9ラート手とこだな。で、それがここにあるということは・・・」

「まさか、ゲール帝国が?」

 アグサは驚愕の顔になる。意外そうな顔をするのはそれが信じられない事。彼らの言うゲール帝国とは我々で言うところのアメリカと同じようなものである。国土、国民数、国力、そして軍事力。そのすべてにおいて、ほかの国々を凌駕するのである。

「詳しいことは分からないけどな。確認するには連中に聞くしかない。この町に町外れとはいえヒトガタを持ち込めるのは連中しか考えられないけど」

 ノブオには確かな確信があった。

「よし、じゃあ行きましょうか」

「ええ、よろしくお願いします」

「安心してくれ、俺は賞金稼ぎだ。依頼されればどんな依頼でも遂行して見せるさ。ただし、さっきの報酬のほかに追加で、やってほしいことがある」

「なんでしょうか?」

「何、難しいことじゃないよ。今度、君にデートしてほしいのさ」

「ええ、かまいませんよ」

 そう言うとノブオは、「じゃあ行ってくる」と言い残して部屋から出ていった。
 それからしばらく、動けずにいるアグサに対してウェイバーが変えの紅茶を差し出す。

「どうぞ」

「ご丁寧に、ありがとうございます」

 紅茶を受け取ると、自分を落ち着かせるためにアグサは一口だけ暖かい紅茶を飲み込む。

「ご安心ください。旦那様は態度こそふざけておりますが、プロですから。やるときはしっかりやります。

 そう言うとウェイバーは「それに・・・」と付け加える。

「それに?」

「女が絡んだ時の旦那様は誰にも止められやしませんから」

「ええ、ですから。彼にお願いしましたの」



 時は進み夜。
 町外れの花火工場。黒いローブで正体を隠した人々が警戒のために歩き回ってる。
 そんな見るからに怪しそうな人々を遥か上空から見定める赤い影。木々が生い茂る森林の中で一番高さがある大木の上でノブオは様子を窺っていた。

「写真で見てわかってたが、結構いやがる。こりゃ、見つかると事だぞ」

『そんなこと言っても、どうせ今回も派手なことになるんだから最初からぶっ放せばいいものを』

「おいおい、忘れちゃいねえか。俺はミリーちゃんを救うためにここに来たんだぜ。事を荒立ててまた逃げられでもしたら事じゃねえか」

 両手に指なしの黒い皮手袋をはめる。

「よし、んじゃ行くとしますか」

 そう言うと大木のてっぺんから飛び降りた。
 その下には狙いすましたかのようにローブが一人。成人男性一人分とさらにそれと同じくらい重いであろう特大剣がいきなり遥か上から落ちてきたらどうなるか。想像するまでもない。
 ノブオはローブを頭から踏みつけて着地する。
 ローブは一瞬、つぶれたカエルのような声を出すがすぐに顔がつぶれ息絶える。
 次いでノブオは素早く別のローブのもとに走り後ろから羽交い絞めにして青白く光るナイフで首筋を掻っ切り始末した。
 が、その瞬間を別のローブに目撃されてしまう!

「侵入者!」

 素早くノブオは手を振りナイフを投げる。高速で放たれたナイフは男の首筋に突き刺さり次の瞬間に消え去る。
 これはノブオの魔術。
 効果はただ一つ。周辺に漂っている魔力を使い疑似的な刃物を作り出すという物。
 刃物は生み出されても金属製の武器と違い耐久が全くないため一振り化二振りするとすぐに壊れてしまう。
 だが、ノブオにとってはいつでも出せて壊れても替えがきく便利な武器でしかない。
 すぐにノブオは、首を刺されて喘いでいる男の首を折りとどめを刺す。
 不意に後ろから何かが投げつけられる。

「この匂い」

 ノブオがそう言った瞬間、今度は一斉に火のついた火炎瓶をノブオに向けて投げつける。すぐにその場から飛びのくが、火炎瓶が地面に落ち割れると同時に辺り一面が火の海になる。

「油かよ!」

 一瞬でノブオを赤い炎が包む。

「あち~、あちあちあち!」

 ノブオは全身火だるまとなるがそのまま敵に向けて突撃していく。

「くらえ!」

 だが、それは軽く避けられてしまう。
 がノブオの狙いは別にあった。
 ノブオはローブたちの後ろにあった、火薬保管庫と書かれた看板が立てかけてある建物に突っ込む。
 その瞬間、建物が音を立てて爆発する。
 爆発で四方八方に飛んでいった火の粉が他の建物の中にあった火薬に引火してさらに爆発。
 あっという間に建物は一番大きなものを残してすべて吹っ飛んでしまう。

「まったく、派手にやりますね」

 その残った一番大きな建物から、一人の人物が出てきた。
 その人物の服装はほかの者たちが着ているローブと同じ物だが、かなり装飾が施されており彼がその中でも特別な存在であることを表している。頭にはフードを被っておらず、その代わりかまるでのっぺらぼうのように凹凸がなく視界を確保するための穴や鼻を出すための穴などもない、卵の殻ような仮面がその人物をひどく目立たせる。
 唯一分かるのは声質と体格から恐らく男性であるということ程度。
 見るからに不気味な、人物であるがノブオは地面で転げまわって自分についていた火を消すと立ち上がり彼と向き合う。
 そこでノブオは目の前の男に見覚えがあることに気が付く。

「あんた、ミリーちゃんをさらった従業員もどきか?」

 ノブオの発言に男は、姿勢を崩さず対応する。

「ええ、よくわかりましたね」

 そう言うと彼は深々と頭を下げる。

「私はこの黒煙教団、大司教。名をスモンといいます」

 その名を聞いた瞬間、ノブオはああと声を出す。

「初まりの炎教団か。聞いたことがある。たしか、スーパ帝国の国教だったか」

「よくご存じで。ならば説明不要ですかな?」

 スモンは、くるっと90度方向転換しノブオの周りを歩き出す。

「貴方がここに来た理由は、分かっていますよ」

「なら話が早い。俺は彼女を連れて帰りたいだけだ、あんたらはこれ以上被害を被ることもない。どちらにとってもいい話だと思うんだが」

    どお聞いても脅しにしか聞こえないが、ノブオはいたって真面目にスモンに問いかけた。

「すいませんが、それはできません」

    しかしそれは、当然のことだが断られてしまう。

「なぜだ?」

「そちらに事情がありますように、我々にも事情があるのです。なので、消えてもらいます」

    スモンが話を終えた瞬間、空から猛烈な光と音を伴ってノブオめがけて空から落雷が降り注いだ。空から降り注いだ落雷は地面に落ちた瞬間、さらなる爆発を発生させる。火薬によるものではない、それも含めてスモンの攻撃の一部。
 終わった、そう判断しスモンは踵を返しその場から去ろうとする。
 しかし、次の瞬間。気が付くとスモンは宙を舞っていた。

「話はまだ終わってないぜ」

 ノブオが背負っている大剣をスモン目がけて投げつけたのだ。くるくると回りながら飛んでいった大剣はスモンの腹に当たり彼を後方に大きく飛んでいく。
 何度か地面をバウンドしながらスモンは、地面に手をつきそこから態勢を立て直し立ち上がる。
 スモンは今、ノブオがどういう状況なのか確認するため落雷と爆発によって生じた土煙に目を向ける。すると、煙の中から服に付いた汚れを落としながらノブオが現れる。投げた大剣は、楕円軌道を描き手に戻り再び背中に背負いなおす。
 おかしなことに体には傷一つなく服もマントもどこも破れている様子がないこと。

「あ、そうそう。今ので分かったと思うけど一応言っておくわ。俺、不老不死なんだよ」

 ノブオがそういった瞬間スモンは先ほどまでの温和な態度から一変、急に激高する。

「悪しき呪われた存在め」

「呪われた存在って・・・まあ間違っちゃいないけど」

「黙れ!」

 スモンは叫ぶと、ノブオに向かい走り出す。
 豪華なローブを風ではためかせ、それでいて動いているの下半身だけ。上半身は微動だにしない。並みの人間ではその足の動きが全く見えないだろう。目に見えないほどの速さで足を動かしているのだから当然、その速さは並みの物ではない。
 一般的な馬車や馬など目ではない。その速さは、有名なレースなどで何度も優勝したことのある名馬に匹敵する。
 ノブオは、冷静に両手を振る。すると、両手にロングソードほどの長さの半透明の剣が現れ、左手の剣を逆手に持ち構える。
 先に、走り出したスモンが拳を握りこみノブオに殴りかかった。ノブオはそれを受けて立つと、片手に持った剣で防御しようと構えるがスモンの拳は簡単に剣をへし折りノブオの体に突き刺さる。
 今度はお前が飛べとばかりに、はるか後方に吹き飛ばされ追撃にと雷の槍を作り出し大きくジャンプしてノブオに飛び掛かってきた。
 だが、焦らずにノブオはもう一度折れれた剣を手を振って出現させ、今度は剣をクロスし串刺しにせんとするスモンの雷槍らいそうを防ぐ。
 今度はどちらも実体のない物同士であるためかどちらも壊れることがなく双方が弾かれることになる。
 しかし、ノブオの持っていた剣は雷槍をはじいた瞬間、またもはじけて消えてしまう。

「背中の得物は使わないのですか?」

 雷槍を片手で構え、疑問に思っていたことをスモンはノブオに問いかけた。

「ああ、こんな立派なものせおっちゃいるが俺はこいつより」

 そう言って再び両手を振り、直剣を出現させる。

「こっちのほうが得意なんだよ!」

 次の瞬間、左手の剣をスモンに投擲。
 スモンは剣を雷槍で叩き落とすが、はっと思いノブオがいるはずの正面に目を向けるがすでにそこにノブオの姿はない。
 どこに行った、と首を振るが何処にもノブオの姿はない。
 ノブオはどこに行ったのか。
 その時、スモンが急に前に向かって勢いよく前転しすぐに180度向きを変える。すると、いつの間にか正面にいたはずのノブオが背後から剣を突き刺そうとしていた。
 ノブオは「ちぃ」と舌打ちをし、走りながら剣がなくなった左手を振り羽のように薄く短剣ほどの長さの刃を3本作り出すと左手の指の間に挟み一気に距離を詰め、両手にの刃で激しく切りかかった。

「お前の相手をしてる暇はねえんだ、さっさと終わらせてもらうぜ」

 そう言って、スモン目がけて短剣を投げる。それを、スモンは雷槍を回転させノブオが投げた短剣をすべてはじくが、素早く動きながらすぐにノブオは次の短剣を作り出しつぎつぎと、投げつける。
 動きがあまりに早いためはた目から見たら、ノブオがまるで分身しているかのように見えた。

「ちょこまかと」

 スモンはそう言うと槍を空に突き上げる。すると、空に雲が広がり雷鳴がとどろき始める。

「さっきのもそうだが、俺一人に対して使うもんじゃねえだろ」

「これで貴様を殺せるならば、この・・・程度」

 そう言って一度、雷槍を腰まで下ろし手を添えて構え再び勢いよく点に向かって突き上げる。その瞬間、空から無数の落雷が降り注ぐ。
 避けられるはずもなくノブオはなすすべもなくその落雷をその身に受け黒焦げになりその場で崩れ去る。

「ふふふ、ははは、ははは!」

 ノブオが確実に死んだと思ったスモンは高らかに笑う。

「やりました! やりましたよ!」

「へ~、何を?」

「もちろ・・・ん!?」

 突如、背後から声がしたことに気が付き振り返るとそこには、無傷で服すら何処も破れたり燃えたりしていない完全に何事もなかったかのように、そこに立っていた。

「な、なぜ生きているんだ! 伝承によれば不死は雷に弱いと」

「その伝承が間違ってんじゃないのか?」

 そう言って、スモンの腹を殴りはるか後方に吹き飛ばす。

「じゃ、今度はこっちの番だ」

 そう言ってもう一度、手を振って魔力の刃を出そうとした瞬間、月を大きな影が覆う。

「全く、お前ら。役に立たんな」

 大きな声が聞こえてきたので2人は空を見上げる。一見するとそれは巨大な人の形をしていた。
 しかし、それが近寄ってきて二人は気が付く。その物体の胴体は丸っこく一目見ると生物的ではない印象を持つが、よく見るとそれが大きな昆虫の胴体に酷似していることに気が付くだろう。その胴体から人の手足が生えており、背中からは完全に昆虫の。
 その大きなカブトムシの羽のようなものの羽ばたきによって強烈な風が地上に吹いている。

「貴様、ここの事は我々に任せるはずではなかったのか!」

「とはいってもな、ほとんどお前たちやられているじゃあないか。お前らが役に立たん以上は我々が出るしかあるまい」

「くっ」

 悔しそうにスモンは唇をかみ、首から下げていたペンダントを引きちぎると次の瞬間、地面にたたきつけた。するとその場所を中心にブラックホールのようなものが発生する。
 彼が今、地面に投げつけたのは帰還用の魔具。事前に設定してあった場所に飛んでいくだけのものであるが、シンプルゆえに様々なことで使われているのだ。

「おい、帰んのかよ」

 それ息が付いたノブオが声をかけるとスモンは一瞬振り返ると不機嫌そうな顔をして「興がそがれた」といい。

「また来る、それまでかの御子孫を守るのだ、呪われしものよ。それが貴様の使命だ」

 そう言ってブラックホールのような物にスモンは吸い込まれていった。

「たく、不死の呪いを持つ奴は倖薄そうな女の子を助ける運命でも持ってんのか? て、ミリーちゃんはそんなタイプじゃないか」

 そう言ってノブオは、懐から懐中時計を出しスイッチを押して蓋を開ける。

「ドク、デートの準備、できてるよな」

 ノブオが走りながら懐中時計に話しかける。
 一見すると、何をしているんだと思う行為だが次の瞬間、懐中時計から声が聞こえてきた。

「ああ、もちろん。準備万端だ。だが、どこに出せばいい」

 懐中時計から聞こえてきたのは機械が作りだした合成音声のような声が聞こえてくる。

「連中の正面に出してくれ」

「いいのか」

「ああ、後ろから追っかけても連中飛んでるからな。このままじゃ離されるだけだ。俺はフックを使って移動するから」

「わかった。じゃあ、行ってこい」

 話を終え懐中時計をしまい次に腰のポーチから金属製の腕輪を取り出し両手にはめる。
 カチッと留め具付けると同時に人差し指と中指に糸が巻き付く。この二本の糸がスイッチとなっており、人差し指を引っ張ると先端にドリルのようなものが付いたワイヤーが射出される。中指を引っ張ると、そして何かに当たるとその対象に食い込み、もう一度スイッチを押すとワイヤーが巻き取られノブオを高速移動させる。
 どう見てもフックには見えないのだがノブオはその装置をフックと呼んでいた。理由は「一目見て、フックだと思った」ということから。
 フックを使い木々の間をすばやく移動する。
 刺さった先端は外すとき力を籠めると小さな爆発を起こし物体から外れる。そして、ワイヤーが巻き取られ先端が再び装填される。
 その為、たびたびしようすることができないのが弱点。
 一方、空を飛ぶゲール帝国のヒトガタ部隊は、隊長機が右手でみりーを掴み移動しており、その周りを囲むように3機が飛行する。

「このまま、回収ポイントまで飛行する。全機、最後まで警戒を怠るなよ」

「了解!」

 隊長からの指示に従い、全員が飛びながら周囲の索敵をしていると、

 《ナァックル、シュート!》

何処からかエコーがかかった叫び声が聞こえてきたと思った次の瞬間、彼らが飛行する場所の真下、地面から何かが勢いよく飛び出してくる。あまりにも予想外、かつあまりにもいきなりの事であったが、

「回避!」

 隊長は焦るそぶりもなく指示を入れながら地面から飛び出してきた何かを回避する。しかし、完全に避けることはかなわずちょうど、ミリーを掴んでいる隊長機が何かにつかまってしまう。

「な!」

 これには、さすがの隊長も驚いた。
 そして掴まれたことによって隊長は飛んできたものの正体がわかった。その正体は、

 

 その大きさは自分たちが乗っている汎用ヒトガタ「ヒルディス」の胴体よりも少し短い程度。
 全くの予想外のことに兵士たちが冷静さを欠いてるあいだに、ノブオは彼らの前に出て高速で飛んでいる拳にワイヤーを飛ばして飛び乗る。
 そして、隊長機の手に掴まれているミリーを抱きあげる。
 同時に拳の進行方向の先。地面が割れ地中から何かがせり出してくる。
 それは右腕を天に突き出して仁王立ちする巨人であった。そして不思議なことに突き出した右腕には二の腕から先がなくなっていたのだ。
 頭にポークパイハットのようなものを被っており、それによって人間では目の部分に当たる物が見えず、分かるのは鼻のような突起、その下にエアコンのフィルターのようなものが逆三角形に取り付けられている事だけである。
 体は赤をメインとしてグレーを所々に配色している。
 胸の部分には見るからに頑強そうな装甲が真ん中に少し隙間を開けて2枚取り付けられ巨人の屈強さをさらに底上げしている。
 腹にはちょうどへそに当たる部分に六角形のくぼみがありそれ以外はつるっとした作り。腰にはこしみののように筒状の物がいくつもぶら下がっており、正面のちょうど人間でいうところの股間に当たる場所に、大きなダイヤの形をしたものがぶら下がっている。足はその巨体を支えるためだろう、樹齢何百年もの大木のように太くそれでいて長くしっかりとしている。
 そして、腕。
 足が大木の幹ならば腕はその大木から伸びた枝だろう。細いながらしなやかで、足ほどでなくともその巨腕はひとたび振るわれれば人間など一瞬で消し飛んでしまうだろう。
 そして、今。
 ノブオ達が乗っていた拳が巨人の右腕に接続されると、腰にぶら下がっているダイヤの上面がコックピットハッチのようにガッチャンと上下開く。そして、ミリーを抱えたままノブオはその中に飛び込む。中は座席が前後に二つ設置されており後ろの座席にミリーを寝かせ自分は前の席に座る。
 そうこうしているうちに敵機が巨人に立ち向かってきた。

「恐れるな、ベラード閣下との戦闘訓練を思い出せ。あの方が使うヒトガタの方が、巨大かつ強大であった。であるなら、こんな大きいだけの物に勝てないわけがない!」

 右手に掴まれたまま隊長が兵士たちに「各機散会!」と指示を出す。

「了解。各機、散開して仕掛けます!」

 部下達は流れるように動き出し、正面から突撃するものと両サイドに分かる。
 正面から突撃するものは右手に内蔵されている11式魔術銃を乱射しながら左手に魔力の刃を形成して切りかかろうとする。
 が、巨人が動き出す。

「引け。そして、ここでのことを忘れて国へ帰るんだな。お前らにも家族や友人がいるだろ」

 思い残したことがあるだろうと、訴えかける。こころに。
 それによって指揮を下げる目論見。そして同時に、そのことを感じた指揮官が退却を命じてくれないかという淡い期待。
 だが、ノブオの思いが彼らに伝わることはなかった。

「奴の言葉に耳を貸すな!」

「われら帝国軍人! 威勢よく! 潔く! いざ、戦場へ!」

 兵士たちはそう叫ぶと、今度は隊長を含め隊列を組んで巨人に突撃する。

「引いてはくれないんだな。それじゃあ、しゃあない。リズ!」

 ノブオは目の前の、くぼみのある台座のような物に懐中時計を勢いよくはめ込んだ。
 その瞬間、周りの装甲(ノブオ達が座っている座席より上)が透過され周りが見えるようになり、肘置きのようなものからレバーが生えてくる。
 そして正面の台座が下がり座席が前に移動してレバーがちょうどノブオが持ちやすい位置になる。最後に、正面のパネルに「LG」と表示されその下に「リズ」と表示されるとその両サイドからさらに正面のパネルを半分にしたくらいのパネルが出現し各種機体の情報、周辺の状況、敵の情報を表示する。

「さ~て、始めますか」

 正面から突撃してくる4機に向けて掴んでいたヒルディスを投げつけた。
 4機はそれを軽く避け、投げ飛ばされた機体も空中で態勢を立て直し隊列の後ろに就く。そして中距離程の位置からリズを囲むように移動し始めたかと思うと隊長の「打ち方はじめ!」という叫びと共に一糸乱れぬ11式魔術銃を連射する。
 しかし、リズは一歩も今立っている場所から動こうとしない。魔力の弾丸が無数にリズの全身に当たるがそれと同じぐらい外れた弾が地面に着弾。一気に、リズの周囲に砂ぼこりなどが舞いその巨体を覆い隠す。
 それでも、しばらく打ち続けさらに10秒ほどたつと隊長が「打ち方やめ!」というと全機、発射をやめた。
 各機の銃口から煙が上がり銃撃の激しさを物語っている。全機銃撃こそやめたが、警戒しながら移動を続け何があっても対応できるように身構えていた。
 やがて、煙が風で吹き飛ばされる。
 全員、息をのむ。
 そして、煙が完全になくなった時。そこにいたのは、傷やへこみ、弾丸による弾痕もなく、まるで何事もなかったかのように、リズはそこに立っていた。

「今度はこっちの番だ」

 ノブオはそう言うと、彼から見て右側から丸いスイッチのようなものがせり出してくる、それを勢いよく押す。

「ロケット、アンカー!」

 次の瞬間、腰についてる筒状のものが5つ、それぞれヒルディス目がけて飛んでいく。

「全機、回避!」

 隊長の号令で全員が散り散り回避行動に入る。激しく動き回るが、一向に振りきれない。そして、着弾する。着弾した筒は期待に深々とめり込んでいる。

「こいつで、しまいだ」

 ノブオのセリフと共にヒルディスに張り付いた筒からガン!という炸裂音がすると、次の瞬間には筒から出た金属製の杭によって全機、コックピットを貫かれ機乗者たちは何かを考える暇もなく絶命した。
 モニターにそのことが表示されると彼は、通信機のスイッチを入れる

「ドク、終わったよ。連中の機体の回収を頼む」

《分かった、LGも回収するがお前も一緒に帰るか?》

「ああ、頼むわ」

 そう言って座席に身をゆだねリラックスする。
 戦闘が終わったことに胸をなでおろしながら。



「ん・・・ん?」

 ミリーが目覚めるとそこは見たことがない天井。
 周囲を確認するために起き上がると、自分の左側にふくらみがあることに気が付く。何だろうと思い彼女が毛布をはがすと、

「やあ、おはよう」

 そこにいたのは、パンツ一丁で妙になまめかしいポーズをとっているノブオの姿だった。

 ドガン!

 派手な効果音と共にノブオは、ミリーがどこから取り出したハリセンで吹っ飛ばされ壁に埋まってしまう。

「何やってんですか! あなたは!」

 ミリーが叫ぶとノブオはミシミシと音を立てながらめり込んだ壁から脱出する。

「それだけ元気ならもう大丈夫そうだな」

 ノブオがそう言った瞬間、誰かがばたばたと走ってきて勢いよく扉を開けて部屋に入ってくる。

「ミリー!」

 それは、恐らく彼女の身を一番案じていたアグサだった。
 彼女は部屋に入ってくるなりベッドの上でハンマーを持って仁王立ちしているミリーに抱き着く。ミリーも、持っていたハンマーをベッドに置きアグサを包み込む。

「お嬢様! よくご無事で・・・」

「貴方も・・・」

 それを黙ってノブオは、腕を組んで何かを考えていたが、やがて二人の方を向きなおして自身の思いを口にする。

「アグサちゃん。ミリーちゃんに何か言うことがあるんじゃないの?」

「はい」

「わかってるよ。邪魔者の俺は出ていくよ」

 ノブオが出ていったことを確認し、アグサは首を縦に振りミリーと向き合う。

「ミリー、今から重要なことを伝えます。心して聞いてください」

「は、はい」

 アグサは深く深呼吸して心を落ち着かせる。
 そして、十分に間をおいてから口を開いた。

「あなたは、皇帝陛下の娘。つまり王女、ということになります」

「え?」

 ミリーは驚愕のあまり声が出なくなる。

「驚いて当然です。私も、このことを知ったのはつい数か月前になりますから」

 アグサはティーカップを手に取り、中に入っている紅茶を口に含み渇きを潤す。

「お父様が私に残された言伝の一つです。このことは一族の中でもその長にのみ伝えられてきたこと。そして次はお前が守っていく番だと」

「・・・」

「今にして思えば。あの時、お父様は死ぬつもりだったのでしょう。最初から。あとのことは私に任せて」

「・・・信じられません」

「それでも受け入れるしかないわ。これは紛れもない事実ですもの」

 そういって、アグサはミリーの前にひざまずいた。

「ミリー、いえ、姫様」

「そんな、やめてください、お嬢様」

「いえ、今までの粗相、そのすべてを今ここで謝罪します。あなたが姫であると知っていながらこの数か月、あなたにこのようなことをさせてしまい申し訳ございません」

「・・・も、もうわかりません!」

 ミリーは部屋を飛び出して行ってしまった。それと入れ替わる形でノブオが部屋に入ってくる。

「無理もない、いきなり自分が王族だって告げられたんだ。いろんな感情や考えがこみあげて自分でもわからなくなっているんだ。しばらく一人で考えたいのさ」

 ノブオがアグサを慰めるために言葉をかけていると、
 
「旦那様、お客様です」

 扉を開けウェイバーが入ってきた。

「お嬢様」

 その後ろから伝令用の軽装鎧を着た兵士が、ウェイバーを押しのけて入ってくる。

「問題ですか?」

「いえ・・・ですが」



 ノブオ家には物干し用の屋上がある。上に上がり空を見上げると灰色の雲が空を覆っている。
 視線を下に戻しあたりを見渡す。すると、屋上への出入り口の壁に身を寄せて3角座りをしているミリーの姿があった。

「そんなところにずっといたら風邪ひくぜ」

 声が聞こえてきたため彼女は顔を上げた。声をかけたのは、いつの間にか横に来ていたノブオであった。

「何ですか?」

 明らかに今話しかけるなという空気を発するミリーだが、そんなこと気にせずノブオは彼女の隣に座る。

「落ち着いたかい?」

「・・・そんなわけ」

 ミリーはそう言って立ち上がりノブオから逃げるように、端のほうまで歩いていく。

「ほっといてください」

 誰とも話したくないというのもあったが、やはり彼女は先ほど言われたことをまだ受け入れられなかった。

「無理もない、誰だっていきなり自分がお姫様だって聞いたらどんな女の子だって驚くさ」

「聞いていたんですか?」

「ああ、けどな。あいにく俺は正義の味方じゃない。何かあった時のための備えはしとかにゃならんからな」

 ノブオは懐から四角い箱のようなものを取り出し4つついているスイッチの一つを押す。すると、先ほどの二人の会話がその箱から流れてくる。

「ゲール帝国で売られてる話し声を記録できる装置さ。これで俺の推測は確信に変わった」

「卑怯ですね」

 一瞬でノブオを見る目が警戒から軽蔑に変わるミリー。
 だがノブオは気にせずに取り出した箱を腰のポーチに仕舞って話を続ける。

「卑怯か。まあ当然の感想で安心したよ」

「どういうことですか」

「なに、君がいたって普通の女の子ってことさ」

「はぁ?」

「確かに君はお姫様だ。そしてそのことを君の周りの人間は隠していた。その事実は変わらない。だけど、今まで生きてきた人生がすべて否定されるわけじゃない。今まで君が歩んできた道は紛れもなく君の身となり骨となっている。違うかい」

「・・・言っている意味が分かりません」

 ミリーはそういうが頭ではノブオの言っている理解していた。だが、感情がそれを否定する。自分に今起きていることを。自分の今置かれている状態を。そして、今日、あったばかりの人物に励まされている自分を。
 もちろんノブオは、そんな彼女の心を幾分か予測して話をしているが同時に自分では彼女の心を突き動かせないということも理解していた。
 だが、ノブオは語り掛けることをやめようとはしない。

「つまり君の今までの人生は、無駄なんかじゃない。間違いなくこれからを生きていくうえで必要なことなんだよ」

「なんでそんなことが言えるんですか。私とあなたは今日、初めて会ったばかりでろくに話もしていないのに」

「そんなの関係ない」

「え」

「俺の目の前では女の子を絶対に泣かせたりしない。俺の誓いだ。だから俺は泣いている女の子が目に付いたらすぐにそばによって慰めて話を聞く。そして泣いている原因を排除する。それが俺の生き方だ」

「そ、そんなのあなたの勝手」

「そうだ、俺の身勝手だ。だから今回も勝手に君を慰めさせてもらっているというわけだ」

 完全に二人の話は平行線である。
 片方がずけずけともう片方のパーソナルスペースに押し入りそれを嫌がってもう片方が離れていく。
 悪循環だ。

「ミリー」

 その状況を見かねたのかアグサがいつの間にかやって来ていた。

「先ほど伝令がありました。第1皇子の準備が整ったそうです」

「え、王子、生きてたの?」

「はい、処刑されたのは王子の影武者です。そして、私たちの祖国であるガーリ皇国は同盟国であるアトラス共和国と協力し侵攻してきたスーパ帝国に反旗を翻し領土を取り戻します」

「このこと俺が聞いていいの」

「かまいません。数日後には近隣諸国やこの町の商人組合にも報告が行くことなので」

「あ、あの・・・」

 そこで弱々しくミリーが声を上げる。

「で、では私は一体どうすれば」

 ミリーがうろたえながらアグサに向かってふらふらと歩いていく。
 しかし、アグサはそんな彼女に対して「止まりなさい!」と怒声を浴びせる。

「な、どうしたのですか。お嬢様」

「ノブオ。貴方に依頼を頼みます」

 ミリーを無視して、ノブオに真剣なまなざしを向けた。

「はいはい、下で言ってた通り内容は彼女の護衛でいいんだな」

「はい、彼女をここに置いて守っていただきたいのです」

「待て下さいお嬢様、どういうことなのですか?」

 ミリーはそういって再びアグサに近寄ろうとするが「来ないで」と突き放す。

「いいですか、ガスパー王子が助かったといっても、今回の件であなたも完全に安全と言えなくなりました。そしてこれから私たちは戦争に突入します。そこでガスパー王子に今度こそ何かあれば今度はあなたの番になります。それまでは完全に私たちから離れて過ごしていたほうが安全なのです」

「いえ、ですが、しかし・・・」

「時が来れば、私たちは再びあなたを迎えに来ます。すみませんがそれまでは」

「そんな、自分の身くらい自分で守れます」

 ミリーは引かない。
 当然だ、いきなり親しい人から離れて見知らぬ人たち(しかも女好きの男)と暮らせというのだから。

「ですから、どうか、どうか・・・こんな男と一緒に暮らすなど耐えられません」

「さらっと俺をディスっていくな」

 完全に蚊帳の外となったノブオを置いて話は進行していく。

「ミリー悪いけど、今はわがままを聞いてあげられないの。これはなくなったお父様の遺言の一つでもあるの」

「旦那様の」

 さらに知らされる驚愕の真実に、ミリーはさらに口を開けて唖然とする。

「王子の命がもし助からなかったとしても、今までそういったことを一切、学んでこなかった貴方にすぐに国を率いていくことは無理な話よ。かと言って今すぐに教えたところでそれは身につくものじゃないわ。そもそも、貴方が今までしてきたことは、私の付き人。その経験だけでは王には当然なれはしない」

「でしたら私にその知識を・・・」

「言ったでしょ王子が生きている以上、あなたは普通の女の子なの。そんなあなたにこれ以上手を差し伸べてあげることはできないの。これは私に今できる最大限のことなの」

 アグサは諭すようにミリーに話す。
 泣いている妹をなだめるように。

「さあ最後のお暇よ。従者として、普通の女の子としての。それをたのしみない。いいわね」

「はい、わかりました」

 弱々しい声を出しながら、アグサをそれでも追いかけようとするミリー。その眼には涙が流れていた。
 それは、ノブオとこれから生活をしなければならないということに関するものではなく、今まで心の底から使えてきた主人と別れると言ことを悲しむものだった。

「時が来れば、貴方を迎えに来ます。その時、貴方は王族、私はそれに仕える貴族。理解して、ミリー」

 そういうと彼女は去っていった。



「それでは・・・姫様の事、お願いします」

 ミリーはそう言ってノブオの家の前に止まっている馬車に乗り込む。

「わかってるよ。しかし、全部君たちの筋書き通りというわけだ」

「あら、気が付きましたか」

 先ほどとは打って変わって再び仮面をかぶるアグサ。だが、ノブオは特にどうとも思わない。

(そんな君も好きだ)

 筋金入りの馬鹿だから。

「思い出したって言ったろ。思えば君の親父さんにも散々振り回されたんだよ」

「それは、ご愁傷様です」

「御託はいいよ。それよりも、よくあんな危険な真似ができたな一歩間違えば彼女、どうなってたか」

「問題ありません。その時はまた次の王位継承者が選ばれるだけです」

「へ~そうですか」

 ノブオは鼻をほじりながらそう答える。

「ひどい女だと、思われても仕方ありません」

「いや、君が悪いわけじゃねえよ」

 それに対してノブオは、ゆっくりと続ける。

「守りたいんだろ、彼女の事」

 ノブオがそれだけ言うと、アグサは深々と頭を上げて御者に馬車を出すように伝えると、馬車は発進した。



 ミリーはその様子を窓からじっと見ていた。

「・・・ん」

 そしてすぐに視線を逸らす。
 どうすればいいかわからなかった。今までずっと一緒にいて一緒に育ってきた。何かあった時は、自分がアグサの盾になるように教えられてきた。
 彼女の心は深く深く、沈んでいく。

「あ、デート」

『また、チャンスを逃したな』
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