最強の賞金稼ぎ

変狸

文字の大きさ
8 / 11

8 服飾

しおりを挟む
 荷物の整理が終わると二人は部屋を出て昼食を食べに行くことにする。

「あ、その前にほいこれ」

 するとノブオが何か思い出したらしく、腰のポーチの一つから1枚の鉄製のプレートと紙束を取り出してミリーに渡す。

「こいつは旅行者証明書。正規に税関を通って入った時に渡されるもんで、旅行者の身分証明書。何か言われたらこいつを見せればいいから。でこっちはこの国で使われてる紙幣。まあ、使うことはないだろうけど一応ね」

「わかりました。ですが我々は指名手配されている身。変装などはしなくてよろしいのですか」

「ああ、別にいいよ。そんなに長い間いるわけじゃないから」

 二人が向かったのは宿を探してるときに見つけた大衆食堂。
 移動中、やはりミリーは落ち着かないようでしきりに周囲を警戒している。
 そうこうしているうちに食堂に到着する。レンガ作りの建物。扉の前に看板がおいてあり裏面には今日のおすすめと書かれており一緒にビーフシチューのようなものが描かれている。店内は白い壁紙が張られており床は木張り。
 店の中には何人かお客がおりそれなりに繁盛している様子。

「いらっしゃい。適当に座ってくれ」

 店員に言われ二人は窓ぎわの席を選び座る。
 しばらくすると店員がやってきて「なんにしますと聞いてくる」

「じゃあ俺は今日のおすすめを一つ」

「私も同じものを」

「あいよ、かしこまりました。少々お待ちください」

 そういって店員は奥に戻っていく。

「ミリー。そろそろその警戒といたら」

「あなたは、どうしてそんなに落ち着いていられるんですか。ここはもう敵の本拠地だというのに」

「そりゃそうでしょ。焦って行動したらどこでミスするかわからないからな。いついかなる時も落ち着いて行動すれば何かあってもすぐ対処できる」

 一口、ノブオは机に置かれていたお冷をコップに入れて飲む。

「それに、堂々としてれば意外とばれないもんさ」

「そういうものですか?」

「そういうもんさ。何なら手配書持って「俺がこの凶悪犯だ」なんて言っても冗談と軽く流されるだけさ」

 二人が口論を交わしているとおいしそうなにおいが漂ってくる。

「お待たせしました。ビーフ風シチューのセット2つです」

「思う来たか。はやいな」

 料理が運ばれてきたことで二人は口論をやめて料理を受け取る。

「まあ、今は腹を満たそう」

「はい」



 二人は食事を終えると今度はしばらく歩き反対側の海辺に面している貧民街に向かう。

「ここにドレスを仕立ててくれる人がいるのですか」

「ああ、まあとてもそうには見えないだろうがな」

「ちょっと待ちな」

 道を歩いていた二人に誰かが声をかけてきた。

「女のにおいがする。若くてきれいな女のにおいがな」

 目の前に現れたのは小汚いかっこをした見るからにっ人を2・3人は殺している風貌をした男。

「連れの男は、だめだな。だが金は持ってそうだ」

 そういって二人の後ろからもう一人、違う男がやってくる。そして、路地から無数の男たちがやってきて二人を囲む。

「おいおい、お前ら俺の顔覚えてない」

「へ、平面顔に知り合いはいねえな」

「ほらな、ミリー。人って意外と他人の顔を見てないんだぜ」

「言ってる場合ですか」

「おい」

「ん、どうした」

「どうしたじゃねえ。お前らふざけてるのか」

「ああ、そうだけど」

「てめえ」

「兄貴、落ち着いてください」

 いかにも下っ端という雰囲気を出している男が兄貴と呼んだ男をなだめる。

「奴の言うことなんか気にせずさっさとやっちゃいましょう」

「そうですよ。やっちゃいましょうよ」

「ああそうだな」

 落ち着いたのが兄貴と呼ばれた男は咳払いをしてから、二人に向けてナイフを向けてきた。

「いいか、俺たちはここいらでは泣く子も黙るララ組のもんだ。命が惜しければその女と金を置いてさっさと失せろ」

「あ、ララ組。ああ、なるほど」

 ララ組と聞いてノブオが何かに気が付く。

「いや、探してたんだよ。悪いけどボスのとこまで案内してくんねえか」

「はぁ?」

「お前らのボスに用があるんだよ。ほら、さっさと案内して」

「ふざけんな、やっちまえお前ら!」

 男たちが一斉にノブオにとびかかる。
 だが、落ち着いて背中の大剣をもって体ごと回って勢いをつけ、男たちの腹部を狙ってバットを使って球を打つように男たちを吹き飛ばす。
 吹き飛ばされた男たちは地面に激突したりごみの山に突っ込んだりする。

「で、どうする、案内するか?」

「はい、喜んで」



 二人が案内されたのは古びた木造の建物。

「こっちだ」

 男に促されて中に入るとそこでは、一人のブロンドの髪をポニーテイルにした女性が足漕ぎミシンを動かして何かを縫っている。

「よお久しぶりだな、アマンダ」

「あん?」

 ノブオに声を掛けられ怒気をこもらせた返答をしながらアマンダと呼ばれた女性は顔を上げた。

「あらあら、久しぶりに見る顔ね」

 アマンダはそういってノブオに近づくと、右手で思いっきりはたく。

「一体、どの面下げて私に会いに来たんだ」

「仕事を頼みに来た」

「しごと?」

「ああ、彼女のドレスを作ってほしい。特急で、金は払う」

 そういってノブオはミリーを指さし、ポーチの一つから紙幣の束を取り出す。

「足りないね。知ってるだろ特急なら価格は3倍だ」

「わかってる。残りは仕事を終えてから払う。

 アマンダはニヤッと笑う。

「チコ。布を集めてきな」

「へ?」

「布だよ布。さっさとおし」

「は、はい!」

 チコと呼ばれた男はそういって建物から出ていった。

「いいのか?」

「いい加減、服とも言えないものを作るのも飽き飽きしていたころだったのさ。お前さん、来なさい」

 アマンダがミリーを呼ぶ。

「大丈夫、寸法を取るだけさね」

「じゃあ、後は頼むぜ」

「あんたが、女をほっていくなんて珍しいね。どんなことがあるんだい」

「君が用意してくれるドレスのための下準備ってとこかな。ミリー」

「はい」

「終わるまでには戻ってくるから彼女に協力してドレスの準備頼む」

 ノブオはそういって建物を出ていくのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...