魔女との世界の歩き方

第一章 【山を繋ぐ大橋】

第一節 【旅立ちの日】

太陽の光がきらびやかに輝き、隅には雑草が生い茂り所々に小石が混じった簡素な道を、ルーンとアイリスは歩いていた。

「何も決めずに村を出てきてしまったけど、これからどうする予定だったんだ？アイリス」

「とりあえずこの先にある都市へと行こうと思っています。都市の住人に話を聞いて情報収集をしつつ、魔物の処理をしていきたいと思っていました」

アイリス一人ならばこれでも問題はないのだが、一般的に見ればまだ子供で、戦闘能力もさして高くないルーンが一緒にいる以上、ルーンに合わせた行動を取らざるおえない。

「旅をするにあたって、まず冒険者ギルドに行くことが先決でしょう」

「何故？」

と、首をかしげながらルーンは言った。

「私はそれなりの能力と移動手段、基本的に食事をする必要もありませんが貴方はそうはいかないでしょう。そう考えた場合、ギルドで冒険者登録をし、何かしらのジョブにについたほうが良いと思われます」

これはルーンも知っていた。
ジョブにはそれぞれ関係したステータスあり、ジョブにつくとそれがある程度補正され、強化されるのだ。
例を上げると、ジャックも鍛冶師そして上位職の鍛冶職人のジョブついており、それなりのステータスになっている。
そんな事から、ジョブの有効性はある程度の知識はルーンにもあった。

「そしてお金を稼がなくてはなりません。私には必要ありませんでしたが、食費や宿泊費、それに装備などにもお金はかかります。なのでギルドでクエストをこなす事も、目的である魔獣討伐と一致するので効率が良いと思いました」 

現在のルーンの持ち物は、少量のお金と掻き集めた食料、簡単な野営道具、世界地図、愛用の弓と剥ぎ取り用の短剣。
それともう一つ、父の形見である剣だがこれはルーンが扱えないので現在はただの重たい荷物だ。

これだけでは都市までは持つだろうが、それからは何もできずに餓死してしまう。
状況が理解できたルーンはアイリスの提案を受け入れ、地図を頼りに一番近くの都市【都市リグレット】へと足を進めた。