魔女との世界の歩き方

プロローグ

第七節 【ルーンの決断】

十数分後、ルーンは部屋から出てきた。
その顔は何かを決心したような顔だった。

「アイリス、手伝ってもらいたい事があるんだけど︙」

「勿論です」

アイリスはすぐに承諾した。
ルーンの目に光が宿っていることに気づいたからだ。

「じゃあまず村の人達の葬式をしたい、俺一人じゃすぐに用意はできないから」

「分かりました」

そう言って、ルーンはアイリスの助力のおかげで、五分ほどで簡単な葬式の準備を完了させた。

村人の亡骸に火をつけ、燃え盛る火の横で二人は黙祷を捧げ、話を始めた。

「アイリスはこれからどうするんだ？」

アイリスは火を見つめたまま話した。

「私はこれから各地で起こっている事件を解決しつつ、影の魔女を止めるべく情報を集めていこうと思います」

アイリスは簡潔に話した。
それに対してルーンはこう言った。

「僕も連れて行ってくれないか？」

「え、何故なのでしょうか？」

アイリスは不思議に思った。
他の都市や村へと連れて行くならまだしも、旅をすると言い出すとは思っても見なかったからだ。

「僕もこの事件の真相を知りたい、いや知らなければならないと思うんだ。この村の人たちの為にも。だから僕を連れていってくれ」

少しの間を置いたあと、アイリスは一言、

「楽では無いですよ︙」

と言った。

「分かっている、辛い旅になるというのは百も承知だ。それでもやらなければならないと僕は思うんだ」

ルーンは真っ直ぐな目でそう言った。

その後、ルーンは村に残っているものから持っていける物を愛用のバックに詰め、明日に向けて睡眠をとった。

次の日の朝、小鳥の鳴き声とともに強い光が部屋に差し込んできた。

ルーンは用意したバックと父が残した剣を腰に差し、廃墟となった鍛冶屋を出た。

外に出ると既に火は消え、煙が少し上がっていた。
そしてどこで休んでいたのか分からないが、外にはアイリスが立っており、すでに準備ができているようだった。

「じゃあ、行こうか」

「はい」

そう言ってルーンとアイリスは、真実を求めて廃村となったトンプラー村から旅立っていった。