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第一章 【山を繋ぐ大橋】
第三節 【森の奥へ】
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エルの小屋に入り、通されたのは暖かい暖炉の火がついている部屋。
三人は暖炉の前にある椅子にそれぞれ座り、会話を始めた。
「一応修理は頼んだんだが、これもまた魔物のせいでその材料の木材が取りに行けないらしいんだ。だから今は俺にはどうしようもねえんだ」
と、エルは少し苛つきながら話した。
修理を依頼された大工は魔物と戦う戦闘能力を持っていないため、単独で森に木材を取りに行く事ができないのだ。
「その木材を調達する森はどこにあるんですか?」
ルーンはそう、エルに尋ねた。
エルは顔を上げてルーンの顔を見ながら、
「小屋の裏を1時間程歩いたところにある、俺も何度か行ったことあるがどれもしっかりとしたいい木で、すげぇ頑丈だ」
それを聞くとルーンはアイリスの方向を向いた。
アイリスはルーンの目を見ると縦にうなずき、ルーンは再度エルの方向を向いて、
「じゃあ自分達が取ってきましょうか?アイリスの魔法があれば魔物はどうにかなりますし、作業も短時間で終わると思います」
ルーンは真剣な顔でそう言う。
それを聞くとエルは、
「本当ならお前達にやらせる訳にはいかねぇ。だが、今すぐにでも通りたいのなら話は別だ、手伝ってもらえるだろうか?」
ルーンは笑顔で、
「はい、自分達も急ぎのようがあるのでそう言ってもらえて嬉しいです!よろしくお願いします!」
と答えた。
それから三人で昼食を取り、木材を運ぶ為の台車の準備をしてすぐに出発した。
基本的にアイリスが殆どの工程をやってくれるので、ルーンとエルがやる事はあまり無いのだ。
馬を台車に繋ぎ、エルは馬にまたがりルーンとアイリスの二人は台車の隅に座った。
そのまま小屋を出て森に向けて進む事約一時間後、目的地に到着し作業を行った。
アイリスは水の魔女なので、一見木を切るには向いていないように見えるがそうではなく、木の中の水分を魔力で操作して気を切断できるらしい。
実際に作業は簡単に進み、アイリスが木を切り、ルーンとエルがそれを運ぶという感じで約3時間後、太陽が紅く夕焼けが見えるような時間に作業は終了した。
エルの話の通り、魔物が少なからず出てきていたがアイリスが魔法でほとんどの魔物を屠り、ルーンは横から援護射撃をしていた。
台車に切った木材をくくりつけ、帰路についた三人。
日も落ち、完全に暗くなって静けさを増した森の中を三十分くらい進んだ時、いきなりエルが叫び声をあげた。
「あれはなんだ!?」
びっくりして台車を降りたルーンとアイリスは、エルが指差す先にある物に近づいた。
近づいて見るとそれは人間の女性だった。
歳は十代後半だろうか。整った顔立ちで黒髪を後で結んでいる女性、体のあちこちに血が付着している所から怪我をしているらしい。
「大丈夫ですか!?」
ルーンは必死に声をかけてみるが返事は無い。
幸い息はあるので死んではいないのだろう。
「おいルーン、人じゃね~か!大丈夫なのか?」
エルは馬を近くの木に繋ぎ、急いでルーン達の所に向かった。
その時倒れている女性が見えたので焦った顔でそう言った。
「あまり良いとは言えませんが、死んではいないようです。気絶していて、大怪我をしています!」
と、緊迫した声でルーンは叫んだ。
「わかった!すぐに台車に載せろ、全速力で小屋に戻る!」
と言ってエルは台車に戻り馬の用意を始めたので、二人は急いで女性を台車に載せた。
台車は馬の力に加え、アイリスの魔法の力で驚くべきスピードを出して小屋へと向かっていた。
少々危険が伴うのだがそんな事は行っていられる状況ではない。
もともとついてたランタンの光では先まで見渡せなくなったので、これもまたアイリスの魔法で道を照らした。
ものの五分程で小屋に到着した四人はすぐに小屋の中に女性を運び入れ、そのままベットに寝かせた。
三人は暖炉の前にある椅子にそれぞれ座り、会話を始めた。
「一応修理は頼んだんだが、これもまた魔物のせいでその材料の木材が取りに行けないらしいんだ。だから今は俺にはどうしようもねえんだ」
と、エルは少し苛つきながら話した。
修理を依頼された大工は魔物と戦う戦闘能力を持っていないため、単独で森に木材を取りに行く事ができないのだ。
「その木材を調達する森はどこにあるんですか?」
ルーンはそう、エルに尋ねた。
エルは顔を上げてルーンの顔を見ながら、
「小屋の裏を1時間程歩いたところにある、俺も何度か行ったことあるがどれもしっかりとしたいい木で、すげぇ頑丈だ」
それを聞くとルーンはアイリスの方向を向いた。
アイリスはルーンの目を見ると縦にうなずき、ルーンは再度エルの方向を向いて、
「じゃあ自分達が取ってきましょうか?アイリスの魔法があれば魔物はどうにかなりますし、作業も短時間で終わると思います」
ルーンは真剣な顔でそう言う。
それを聞くとエルは、
「本当ならお前達にやらせる訳にはいかねぇ。だが、今すぐにでも通りたいのなら話は別だ、手伝ってもらえるだろうか?」
ルーンは笑顔で、
「はい、自分達も急ぎのようがあるのでそう言ってもらえて嬉しいです!よろしくお願いします!」
と答えた。
それから三人で昼食を取り、木材を運ぶ為の台車の準備をしてすぐに出発した。
基本的にアイリスが殆どの工程をやってくれるので、ルーンとエルがやる事はあまり無いのだ。
馬を台車に繋ぎ、エルは馬にまたがりルーンとアイリスの二人は台車の隅に座った。
そのまま小屋を出て森に向けて進む事約一時間後、目的地に到着し作業を行った。
アイリスは水の魔女なので、一見木を切るには向いていないように見えるがそうではなく、木の中の水分を魔力で操作して気を切断できるらしい。
実際に作業は簡単に進み、アイリスが木を切り、ルーンとエルがそれを運ぶという感じで約3時間後、太陽が紅く夕焼けが見えるような時間に作業は終了した。
エルの話の通り、魔物が少なからず出てきていたがアイリスが魔法でほとんどの魔物を屠り、ルーンは横から援護射撃をしていた。
台車に切った木材をくくりつけ、帰路についた三人。
日も落ち、完全に暗くなって静けさを増した森の中を三十分くらい進んだ時、いきなりエルが叫び声をあげた。
「あれはなんだ!?」
びっくりして台車を降りたルーンとアイリスは、エルが指差す先にある物に近づいた。
近づいて見るとそれは人間の女性だった。
歳は十代後半だろうか。整った顔立ちで黒髪を後で結んでいる女性、体のあちこちに血が付着している所から怪我をしているらしい。
「大丈夫ですか!?」
ルーンは必死に声をかけてみるが返事は無い。
幸い息はあるので死んではいないのだろう。
「おいルーン、人じゃね~か!大丈夫なのか?」
エルは馬を近くの木に繋ぎ、急いでルーン達の所に向かった。
その時倒れている女性が見えたので焦った顔でそう言った。
「あまり良いとは言えませんが、死んではいないようです。気絶していて、大怪我をしています!」
と、緊迫した声でルーンは叫んだ。
「わかった!すぐに台車に載せろ、全速力で小屋に戻る!」
と言ってエルは台車に戻り馬の用意を始めたので、二人は急いで女性を台車に載せた。
台車は馬の力に加え、アイリスの魔法の力で驚くべきスピードを出して小屋へと向かっていた。
少々危険が伴うのだがそんな事は行っていられる状況ではない。
もともとついてたランタンの光では先まで見渡せなくなったので、これもまたアイリスの魔法で道を照らした。
ものの五分程で小屋に到着した四人はすぐに小屋の中に女性を運び入れ、そのままベットに寝かせた。
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