魔女との世界の歩き方

詩野

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第一章 【山を繋ぐ大橋】

第十節 【橋の修復】

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エルの小屋に戻ると朝日が昇ろうとしていて、空が明るくなり始めていた。
アイリスをベットに寝かし、残った七人は適当なところに寝転がり睡眠をとった。

ルーンが目を開けると、おいしそうな良いにおいが部屋の中に漂っていた。
台所でエルが料理をしている、エルは一人暮らしだったのでそこそこ料理の知識はあるようだ。
ルーン以外にも、起きている人はちらほらといて、おのおの武器の手入れなど暇つぶしをしている。

「おはよエル、もう昼くらいかな?」

話しかけるとエルはルーンの方を見て。

「おう、起きたか。そうだな、今昼飯作っている所だ」

「そうなんだ、今は誰が起きてるの?」

「男性陣は全員だな。アイリスたちはまだ寝ているみたいだ、あいつらは尋常じゃないほど魔力を使ったからな」

言い終わると、エルは作業に戻る。
どうやらスープを作っているらしい、人数が人数なだけあって量が無いことには話しにならないからだろう。
ルーンはくるりと振り返って、

「じゃあ僕はアイリスたちの様子を見てくるよ」

「ああよろしく頼む」

ルーンはアイリスたちが寝ている部屋へと向かい、ドアの前に立った後一応ノックをした。

「どうぞ」

「おはよう、調子はどうですか?」

どうやらカムイが起きていたようで、返答があった。
中に入るとアイリスがまだ寝ているのが分かる。
カムイは椅子に座り窓の外を眺めていた。

「私は問題ありません、アイリスの様子は三十分ほど前から見ていますがうなされている様子も無かったので大丈夫そうです」

と言って、アイリスの頭に手を置いた。
カムイの言った通り、アイリスの状態は大丈夫そうだ。
普通に会話していても起きないところを見ると、よほど疲労しているようだ。

「分かりました、今エルが昼食を作っているのでそろそろこっちの部屋に来ていてください」

「そうですか、今行きますね」

ルーンとカムイは二人で中央の部屋へと戻った。
部屋に戻るとすでに料理は完成していて、手分けして配膳をしていた。

「おう、カムイも起きてきたか。二人とも適当なところに座ってくれ」

二人はそれに従い空いている席に座った。

「アイリスはまだ寝てるのか、じゃあ皆好きに食ってくれ」

ルーンはエルの作ったスープを口へと運ぶと、とてもおいしく感じた。
昨晩から何も食べておらず、冷え切ってしまっていた体にスープの暖かさが染み渡った。

「エルは料理上手なんだね」

「ここで暮らし始めて結構長いからな、こんくらいは簡単に作れるようになった」

一通り全員が食べ終わると、エルが口を開いた。

「そういや橋を直さなきゃいけねえんだったな、そろそろ作業を始めんとすっか」

ルーンもすっかり忘れていたが、もともと橋を渡るためにここへきたのだ。
しかし橋の修復には時間がかかる、数日はかかってしまうだろう。
そう思っているルーンの横でエルが立ち上がると、

「あ、あの、自分たちに手伝わせてはくれないでしょうか。自分たちは助けられた身なのでなにか恩返しをしなければと思っていた所なんです」

と、近接系職の男が言い出した。
エルは縦に首を振り、

「そんならお願いしたい、元々ルーンたちが通ろうとしていたから修復しようと思っていたんだ」

「はい!よろしくお願いします!」

その後橋の修復にはルーンも加わり男手六人で橋の修復にかかった。
作業は夜まで続き、ある程度の作業を終えたところでいったん中断した、予定よりもハイスピードで終わったので明日には出発できるだろう。

ルーンたちは小屋に戻ると体についた汚れを落とし部屋に入った。
するとカムイが夕食を作っていてくれたようで、七人で食卓を囲み雑談をしながら食事を終え、床に着いた。
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