魔女との世界の歩き方

第三章 【迷宮 紅蓮の洞窟】

第十節 【装飾品店の店長】

「いらっしゃいませ、本日はどのようなものをお求めでしょうか？」

ルーンに声をかけたのは長身の男性で、男性としては長いブロンドの髪を後ろで結わいているいかにも貴族と言う感じの男性だった。
話しかけてきた男性に対して、ルーンはこの店にきた理由とガンテグに紹介されたことを伝えた。

「なるはど、ガンテグの紹介でしたか。彼とは昔から長い付き合いなんですよ」

こんなガンテグとは正反対の男がなぜガンテグと知り合いなのか、ルーンは疑問に思ったが聞かないことにした。

「ガンテグの紹介なら色々とサービスさせていただきますよ、まずはアイテムポーチでしたよね？使用用途はモンスターから剥ぎ取った素材を中心に使うとなると見た目より完全に機能を重視するので」

と言って、店頭に出してあるものには見向きもせずに店の奥へと入っていった。
しばらくして、なかから出てきた男性は手のひらサイズの袋を持ってきた。

「こちら装飾する前のアイテムポーチになります。その分お値段も控えめに設定できるのですが普段はお売りす事はまずありません、店のイメージとかが崩れちゃいますからね。ですがガンテグの紹介なら別です、たとえばこちらポーチはこの大きさで五十キロ分は入りますよ、これだけの性能でも装飾をしてしまうと値段的には五キロ用の物とさほどかわらないのです」

ルーンは心の中でガンテグに感謝しながらカインたちと相談し、そのアイテムポーチを二つ買うことにした。
これを買ったことによりこれからの冒険がとても楽になるだろう。

「えぇと次は装飾品でしたよね、どんな効果のものをお求めですか？」

今回装飾品を買うことにしたのはゴート、リオそれとカムイだ。
まずゴートは盾職という立場において今回の迷宮のことを考えるとさらなる耐久を求められる、なので今回は火属性耐性の装飾品を探しに、リオとカムイは折角だからということで、魔法使い系職なら誰でも欲しがる魔力自動回復の装飾品を求めてこの店に来ているのだ。

それぞれの欲しい効果を言うと男性はまずゴートのものから探してきてくれた。
持ってきたのは鉄製のリストバンドでそれが二つ、男性によるとあまり大きくは変わらないが腕に近いほうが盾職としては効果があるらしい。それを両腕につけることで更に能力が向上するということだ。

ゴートはそれを購入することに決め、それを伝えるとすぐにリオとカムイが希望した装飾品を持ってきてくれた。
持ってきたのは指輪のようだ、これも利き手に着けた方がいいらしい。
これに関してはカムイがデザインを気に入ってしまったので即決だった、リオもそれで良かったらしく文句は言わなかった。

一通り購入したあとカインが代表して代金を払うと、思っていたよりも安く購入することが出来た、これもガンテグのおかげなのだろう。

「今日は来てくれてありがとうございます。自己紹介が遅れましたが私、この店のオーナーのギルバートです。以後お見知りおきを」

ギルバートの自己紹介に対して、ルーンたちもそれぞれ名前を言っていく。
自己紹介が終わってから、ルーンたちは礼を言い、店を出た。