魔女との世界の歩き方

第四章 【アンデットの悲劇】

第六節 【経験】

数時間に及ぶ戦闘によって、敵の軍勢の数は三分の一まで減少していた。
だが今まで倒してきたのは大半弱いアンデットやスケルトンだったので、今回の脅威であるオークのアンデットはまだほとんど残ってしまっている。

大半の戦力は削ったものの、ギルドマスターからの指示はまだ特に無い。
ギルドマスターも今回の事態にどうやって対応すればいいのかが分かってないようだ。

そんな中、ルーンは一つの作戦を考えていた。
全快倒したオークたちならば今回もオークロードが彼らの王となる、なのでオークロードのアンデットを倒すことが出来れば自動的にオークのアンデットは消滅してしまうのではと考えたのだ。
その理論に根拠は無いが、オークのアンデットたちはオークロードを囲むように配置されているので、少なくとも今回の敵のボス的立場の魔物はオークロードと確認することが出来る。

それを思いついたルーンは、自分の考えを伝えるべくギルドマスターの元へと向かった。
ギルドマスターにオークの出現場所と全快戦ったときのオークたちの戦闘スタイル、そしてルーンの理論を話した。
一通り伝え終わるとギルドマスターは考え込み、

「よし分かった、今は他に出来ることは無い。少ない可能性でも重要だからな」

と言って、全体に指示を飛ばした。
一通りの指示を終えると、ギルドマスターはルーンの方を向いてこう言った。

「よし、じゃあお前たちはオークロードの討伐にあたってくれ。一回倒した事があるんだ、強化はされていると思うが他に倒せそうな冒険者もオークのアンデットを倒すために使わないと前線を守りきれるか分からないからな」

その言葉にルーンたちは一瞬戸惑ってしまったが、すぐにオークロードに向かって走り出した。
だがオークロードはオークのアンデットが守っていて、うかつに近づくことが出来ない。
行き先をオークたちに塞がれているのを見た周りの冒険者たちはすぐに駆け寄ってきて、

「おっしゃあ！ここは俺たちに任せてさっさとあのデカブツを倒してくれ！」

と言いながら、オークたちに強烈な一撃を叩き込んでいった。
その瞬間に少しの隙間ができ、その隙間に向けてルーンたちは走り出した。

うずくまっているオークたちの間を抜けると、ルーンたちの目の前にもう二度と見ることの無いと思った魔物の影が見えた。
その肉体は腐乱し弱ってそうに見えるが、その体からは強靭なオーラが滲み出していた。

「久しぶりだね、今度こそちゃんと息の根を止めてみせる！」

「グオオオオオォォォォォ！」