魔女との世界の歩き方

詩野

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第四章 【アンデットの悲劇】

第七節 【腐肉王との戦い 1】

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オークロードの叫び声が辺りに響き渡る。
他のオークたちは腐食が激しく声が出ない固体が多かったが、オークロードはアンデットと言ってもほとんどの場所が以前のように健在だった。
つまり元々のオークロードとしての強さと、謎のアンデット化による異常な能力の上昇で前回よりも遥かに強敵になっていると言える。

最初に行動したのはカインだ、背中の剣を振り上げオークロードの胸元へと飛び込んで行く。
そしてその攻撃は大きな斬撃音を響かせながらオークロードの胸から腹にかけてを切り裂いて行くが、少しもうろたえることなく平然とその場に立っていた。

「かってぇ!」

カインの悲痛な叫びがルーンには聞こえたが、元々耐久の高いオークを強化しているのだ。
ルーンたちがどれだけ一撃に力を加えてもオークロードに対しては、ほとんど火力がでない。

戦う前から分かっていた事ではあるが、今回の戦いでルーンたちにはほとんど勝ち目が無い。
そんな事実を実感させられたルーンたちは絶望した。
だが、現状ギルドマスターに戦うことを許可されているのはルーンたちだけだ。
とにかく状況を一転させるべくオークロードに効果的に火力の出る攻撃を探さなければならない。

次に行動したのはアイリスだ。
アイリスは先ほどルーンが行った「乱れ撃ち」の打ち方を応用して、大量の氷の礫をオークロードへと叩き込んでいく。
そしてアイリスが狙ったのはオークロードの体の中でも腐っている部分だ。
ここを中心に叩けば、効果的に火力が出るのではないかと判断したからだ。

そして、その考えは当たった。
腐った左肩を打ち続けるとどんどんと腐った部分の肉が削げ落ちていき、左肩の強靭だった肉体は骨だけになってしまっていった。
ここぞとばかりに盾職のゴートが左肩に向けて思い切り突っ込む。

すると骨だけになった左肩は簡単に外れ、そのまま遠くへと吹き飛んでいった。

「よっしゃ!」

感嘆の声が上がるが、相手は強化されているアンデットだ。
オークロードは流石に少しうろたえたが、すぐに体勢を立て直し吹き飛んだ左肩の再生を始めたのだ。
普通のアンデットならば膨大な時間を要する行為だが、このオークロードは戦闘中にそれを行いほとんど時間を掛けずに左肩を再生していく。

「嘘だろ、早すぎる」

誰かがそう呟く、ルーンは少しでも時間が稼げればと思い再生中の左肩を狙い矢を放つ。
だが、それはほとんど意味を成すことなくものの数十秒で左手の先まで再生しきってしまった。
そしてオークロードもただ攻撃を受けている訳はなく、反撃をしてきた。
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