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入れ替え-ユース
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昼下がりのレフェリア大神殿。
白大理石の回廊を、ユースは書類を抱えて足早に歩いていた。
袖口から覗く手首は少し赤く、何度も洗った消毒液の匂いがかすかに漂っている。
「……またアディル様のところから直行ですか、ユース」
声をかけたのは、同僚神官のサーヴァ。額には汗、手には積み上げられた文書。
「ええ、様子を見てからこちらに戻りました」
「あなた、最近ほとんど侯爵家に詰めっぱなしじゃないですか。事務仕事も山積みですよ」
「……承知しています」
淡々と答えるユースだが、足は止まらない。
そんな背中に、サーヴァは少し声を潜めて言った。
「実は、神官長が“担当替え”を検討していると聞きました」
足が、かすかに止まる。
「……なぜです」
「そりゃあ、理由は一つでしょう。あなたがアディル様にかかりきりで、他の案件に遅れが出ているから」
「……」
ユースの沈黙を、サーヴァは「図星」と見たらしい。
「気持ちは分かりますよ。魂が疲弊なんて前例の少ない症例ですし、第一王子の婚約者ですし。でも……」
そこで言葉を切り、苦笑い。
「“距離が近すぎる”とも言われています」
距離が近い? そんなつもりはない。
ただ、アディルが起き上がれないときは食事を口元まで運び、眠れない夜は傍で本を読んでやり、体温が下がれば毛布を何枚も重ねただけだ。
……まあ、一般的には近いかもしれない。
「神官長は、別の者に引き継がせれば、あなたも休めると言っています」
「私は必要ありません」
「いや、そういう意味じゃなくてですね……」
サーヴァの説明は最後まで聞かなかった。
ユースは足を速め、回廊を抜ける。
引き継ぎ? 休める? そんなことはどうでもいい。
ただ――アディルが、自分以外の誰かに薬を手渡される姿を、想像できなかった。
白大理石の回廊を、ユースは書類を抱えて足早に歩いていた。
袖口から覗く手首は少し赤く、何度も洗った消毒液の匂いがかすかに漂っている。
「……またアディル様のところから直行ですか、ユース」
声をかけたのは、同僚神官のサーヴァ。額には汗、手には積み上げられた文書。
「ええ、様子を見てからこちらに戻りました」
「あなた、最近ほとんど侯爵家に詰めっぱなしじゃないですか。事務仕事も山積みですよ」
「……承知しています」
淡々と答えるユースだが、足は止まらない。
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「実は、神官長が“担当替え”を検討していると聞きました」
足が、かすかに止まる。
「……なぜです」
「そりゃあ、理由は一つでしょう。あなたがアディル様にかかりきりで、他の案件に遅れが出ているから」
「……」
ユースの沈黙を、サーヴァは「図星」と見たらしい。
「気持ちは分かりますよ。魂が疲弊なんて前例の少ない症例ですし、第一王子の婚約者ですし。でも……」
そこで言葉を切り、苦笑い。
「“距離が近すぎる”とも言われています」
距離が近い? そんなつもりはない。
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