25回目のごめんね

蜜花

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贈り物と胡麻じゃない鼻

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 🐾

 ぼくね、かんがえたんだ。

 たくさん贈り物をしたからね。

 めずらしいものにしてあげようって。


 でね、決めたの!
 
 暑くなくなる贈り物をしよって!

 ひんやりしてて、
たのしいもの。
 ぼくは、雪山から氷を運んできたよ。

 大きな氷を、何度も何度も運んだ。

 みんなはこう言ってたよ。

「もういいでしょうー。手がひえひえです」

 しっぽが冷たくなって、手袋の中までひんやりした。
 でも楽しいよ、ぼく、楽しいってだいすき。

 門の前にそっと置いて、しっぽをふりふりした。

「こんにちはー、王さまだよー」


 ぼくはいつもどおり、門の前でジャンプした。

「ねずみさん、暑いでしょ?」

 ねずみさんたちが、穴の奥からチラッと見てる。

 ちっちゃくてとっても可愛いなぁ。

「ぼく、氷を取ってきたよ!門の前に置いておくね」



 すごく冷たいよ、楽しんでほしいなぁ。
 ぼくは、ちょっとだけ離れて見てたんだ。

 しっぽがぴょんぴょんしてたけど、声は出さなかった。
 さみしいけどね、がまんできるよ!

 だってぼく王さまだもん!

 🐾
 ʢ•·̫•ʡ

 あれが王さまです。

 猫の国の王さまです。

 わたしたちに贈り物をたくさんくれます。


 今年は氷の贈り物です。
 暑いのは苦手です。
 蒸されるようですから。

 わたしたちは相談しました。

 門の外に出るかどうかを相談したんです。
 王様を信じていいのかわかりません。
 わかりませんが、私たちは出ることにしました。
 
 冷たい……冷たくて気持ちがいいです。

 手をのせると、じんわり冷たさが広がります。

 耳のうしろにあてると余計にそうです。
 つい、笑ってしまって
 笑い声が広がります。
 わたしたちは楽しくなってきました。

ʢ•·̫•ʡ

 ねずみの国は暑い夏だった。王様は大きな氷を門の前に置き、しっぽをふりふりした。
 ねずみたちは穴の奥からチラチラ覗き、若いねずみが氷に近づいた。
 氷に手を置き、くすくす笑った。
 耳の後ろに当て、ピクピク耳を動かした。
 笑い声が風に乗り、門の前に響いた。
 氷は日差しで溶け、水たまりになった。
 小さな波がねずみたちの足元をさらった。
 王さまはそっと近づいて、ぷかぷか浮くねずみたちを一匹ずつ抱き上げた。
 しっぽがびしょびしょになっても気にしなかった。
 王さまは最後に助けたねずみをじーっと見た。
 その子は目をパチパチさせ、王さまを見つめ返した。

🐾

 氷、気に入ってくれてうれしいな!

 ねずみさんたち、楽しそうに遊んでた。

 かわいい声がたくさん聞こえた。

 ぼくね、ちゃんとできたんだよ。
 みんなを助けたの、ヒーローみたいだった。
 王さまなのにね
 。
 みんなふわふわしてたよ。
 たくさん抱っこできちゃう。
 お鼻がピンクで可愛かった。
🐾
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