【完結】想いを忘れたフリを続けて生きると決めた僕の記録

わらいしなみだし

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離婚記念日 十七年目。「現実」前編

 駅前から公園までの道のりにあるいつもの花屋に到着したのが二十二時。ここ数年感じたのは、閉店が二十一時なのにこの日だけは一時間遅く開けていること。

 そして欲しいバラの数以上に置いていてくれてること。
 お得意ではないけれど、毎年購入しているからなんとなく察してくれているのだろう。商売上手なのかもしれない。

「そういえば、一度だけこの年に来なかったよねぇ。何かあったのかい?」
「なかなか仕事が終わらなくて、間に合いませんでいた」

 ひきつった笑みで答える

「なにかあったんじゃあないかって、主人とも心配してたんだよ」

 ここの花屋はお店は奥さんが担当して、買い付けや配達ネット注文等は旦那さんがしている。中学生になる娘さんがいたとか。あまり記憶にない情報。

「お心配りありがとうございます。」

 話している間に真っ赤なバラを数えて形を整えてく。

「十七本であってるよね?」
「あ、はい。あってます。」

 数までバレてるのだ。
 ちょっと、いや、かなり恥ずかしい。

 照れながらバラの花束を手に取り、しげしげと眺める。

「お気に召しましたか?」
「いつも素晴らしいです。ありがとうございます。」
「そう言っていただけてとても嬉しいですわ。」

 たわいない言葉を返しつつ、花屋をあとにした。

 単なる客なのに気遣ってくれてることがとても嬉しかった。
 もう、ここに来るのは一年に一度なのに。それが僕の心を温かくした。

 花屋を出ていつもの公園に向かう。いつもならこんな時間には誰もいない。
 いないはずなのに……。

 公園のベンチには先客がいた。

「遅いよぉー」

 昨年、ここで初めて会った女子高生だった。
 
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