『小さき巨人』は今日も明日もカッコいい。

わらいしなみだし

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お姫様抱っこ

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 斎藤快が出場したバスケの試合は拮抗した。

 クラスの連中は身長の高い快くんを上手く使ったと思う。
 百九十センチの快くんをゴールポストの横に配置させてシュートは全部快くん任せ。バスケ部ではない快くんが百発百中とはさすがに無理芸だけど、確率は半分より上だったのでこの作戦はよかったと思う。
 シュートが決まると歓声が沸き起こるのは敵味方関係ない。
 さすがにダンクシュートを決めるチームはいなかったけど、バスケ部がいるクラスなら見られるかも?なんてちょっとだけ思ってしまった。

 お昼の時間はもちろん三人で過ごした。
 僕はお弁当。奏くんと快くんは学食。二人ともラーメン大盛りで快くんはプラスおむすびひとつ。具は何か聞いていない。

「学食のラーメンは美味しいの?」
「そこそこ」
「不味くはない」

(中の下ってところかな?)

 勝手に想像する。
 美味しかったら美味しいって言いそうだもん。三百円で食べられるんだもん。大盛りはプラス百円だし。他校の学食の値段もバリエーションも知らないから。普段なら三百円で外食のラーメンは食べられない。

 かけ込むようにご飯を食べながら、時々ならお弁当を二人に作ってもいいかな?なんて思ったりもした。

 午後いちで僕はサッカーの球技に参加した。
 
 運動音痴だけど、実際はちょっと違う。
 球技の運動には弱いのだ。
 小学生の頃は近所の弓道場に通ってたし(中学に上がる頃に師範が年だからと言って辞めちゃったんだよね)体力はある方だけど、学校での体育系は走る以外はほとんどダメ。だから僕が完全なる運動音痴だとクラスの皆は思ってる。きっと奏くんと快くんもそうだろうね。

 ホイッスルが鳴って試合開始。
 サッカーで一緒になるクラスの皆に言われた通り、僕は自陣のサイド側真ん中くらいで『壁』になっていた。
 全く動かずボールが来ても見なかったことにした。
 
 そう、僕はクラスの連中に言われた通り「ボールに触らない」ことにしたんだ。

 前半戦が終わる頃、突然聞こえた声。

「コウ!」

 思わず声の方を探した。
 集中力を欠いた僕は顔面にボールを食らうことになり......意識が途絶えた。

 ボールが来てもなんなくかわしてた『壁』だったのに......。

 そんなことを思いながら、来てくれた人を見ることなくボールと共に視界が真っ暗になった。

 ..................

「誰か、保健委員!」
「お、おい、大丈夫か?」

 倒れた日野光輝のもとにクラスメイトと試合の審判をしていた教員が駆け寄ってくる。

「触んな!」

 部外者が入ってきて日野光輝の傍に来る。

「で、ですが......」動揺。
「脳震盪の疑いいもありますし」言い聞かせようと。
「あれくらいのボールなら大したことはないだろう」だるそうに。
「それでも、保健委員が彼を......」なんとか折れてもらおうと。
「二人がかりでか?それこそ危ないってもんだ」目がうっすらでヒト睨み。誰もが凍りつきそうな......。

 そういうと、小柄な彼がひょいと軽々しく日野光輝を抱き抱え、校舎内に消えていった。

 いわゆる『お姫様抱っこ』である。

 誰もがその光景に言葉を失った。 
 その数分後に、思い出したかのように試合は再開された。
    
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