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保健室にて 2
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ぱちくり。目が開いた。ゆっくりではなく、ぱちくり。
見えるのは白い天井。見覚えがない場所だ。
僕の目が開いたことに気がついたのか、視界に見覚えのある顔が入ってきた。
「起きたみたいだね?」
顔と声が一致んする。声の主は奏くんだ。
「ここは?」
場所を特定させたくて、キョロキョロしたかったけど、動きたかったけど。
眼球はゆっくり動かせるけど、首はゆっくりでも動きづらい。
なぜ?
そういえば、ジンジンする痛みが顔全体に広がってくる。
「保健室」
ぶっきらぼうの声が懐かしい。快くんだ。
「どうしてここに?」
「顔面にボールが飛んできたんだよ、覚えてないの?」
心配そうな表情で、声も心配そうで、でも当の本人は「あ、そっか」くらいのノリだから、居たたまれないし、申し訳なさすぎて、居心地が悪い。
「あ、そういえば、そのような......」
あまり前後のことは覚えてない。嬉しい声が聴こえてきた幻聴だけ、あるようなないような、曖昧さ。
覚えていないということは、気を失ったのだろう。たぶんね。
知らないから、たぶん。たぶん。
呪文のようにたぶんと心の中で呟いている。
「でも、誰が僕を?」
そういえば、そうだよね。
高一男子の平均位だと思っているから、一人ではちょっと無理だと思う。
やっぱり二人がかりで運んだのだろう。
さすがに重かったと思う。迷惑かけちゃったな。後でお礼を言わなきゃ。
なんていろいろ思考をめぐらせていた。
「そんなの、決まってるじゃね?」
「うーん。わかんないや」
考えてみた。保健委員と誰かだろうと思っていたのに、「決まってる」だなんて?
「目は開いてなかったから」
「あの状況で目が開いてたら怖いわ」
ははは。ナイス突っ込み。
「あはははは......そうだよね」
客観的に考えたら、僕だってそう思う。
で。誰なんだよ?決まってるなんて。そんなの、決まってないよね?
「お前の王子さま」
え?......うそ?
僕の王子さまって、王子さまなのだろうか?わからないけど、僕の想像と一致してるのなら、あの人だよね?
「でも、体格的に無理なんじゃない?」
「だからそれを見ていた皆は驚いていたよ」
「......違う意味でね」
言葉を付け加えた奏くんは目を反らしながら意味深だ。
「お姫様抱っこ、はじめてみたわ......」
感慨深げに快くんは呟く。
身長差といい、体重差といい、本当に申し訳ない。あとでお礼を言わなきゃ。会いに行く口実ができたし、僕にとってはWINでしかなくない?
「お前にとって......それは違うと思うわ......」
嬉しそうな顔をする僕に奏くんが冷ややかにそう呟き、快くんが隣で頷く。
意味、わからないんだけど?
「それ、スマホで何人か撮っててさー、それを知った画像を欲しがってる人がチラホラ?」
「数多だろ?」
え、それ、欲しいんだけど。
それよりも、そんな恥ずかしいことになってたの?
お姫様抱っこだよ?
普通なら僕がする方だよ?される方になるだなんて......もう、これって、運命なんじゃなくない?
きっとそうだ。
うん、勝手にそう思っておこう。
僕がニタニタしているのをよそ目に、呟く。
「あの人がお姫様抱っこだなんて......怖すぎ」
奏くん......本当に苦手なんだね。
見えるのは白い天井。見覚えがない場所だ。
僕の目が開いたことに気がついたのか、視界に見覚えのある顔が入ってきた。
「起きたみたいだね?」
顔と声が一致んする。声の主は奏くんだ。
「ここは?」
場所を特定させたくて、キョロキョロしたかったけど、動きたかったけど。
眼球はゆっくり動かせるけど、首はゆっくりでも動きづらい。
なぜ?
そういえば、ジンジンする痛みが顔全体に広がってくる。
「保健室」
ぶっきらぼうの声が懐かしい。快くんだ。
「どうしてここに?」
「顔面にボールが飛んできたんだよ、覚えてないの?」
心配そうな表情で、声も心配そうで、でも当の本人は「あ、そっか」くらいのノリだから、居たたまれないし、申し訳なさすぎて、居心地が悪い。
「あ、そういえば、そのような......」
あまり前後のことは覚えてない。嬉しい声が聴こえてきた幻聴だけ、あるようなないような、曖昧さ。
覚えていないということは、気を失ったのだろう。たぶんね。
知らないから、たぶん。たぶん。
呪文のようにたぶんと心の中で呟いている。
「でも、誰が僕を?」
そういえば、そうだよね。
高一男子の平均位だと思っているから、一人ではちょっと無理だと思う。
やっぱり二人がかりで運んだのだろう。
さすがに重かったと思う。迷惑かけちゃったな。後でお礼を言わなきゃ。
なんていろいろ思考をめぐらせていた。
「そんなの、決まってるじゃね?」
「うーん。わかんないや」
考えてみた。保健委員と誰かだろうと思っていたのに、「決まってる」だなんて?
「目は開いてなかったから」
「あの状況で目が開いてたら怖いわ」
ははは。ナイス突っ込み。
「あはははは......そうだよね」
客観的に考えたら、僕だってそう思う。
で。誰なんだよ?決まってるなんて。そんなの、決まってないよね?
「お前の王子さま」
え?......うそ?
僕の王子さまって、王子さまなのだろうか?わからないけど、僕の想像と一致してるのなら、あの人だよね?
「でも、体格的に無理なんじゃない?」
「だからそれを見ていた皆は驚いていたよ」
「......違う意味でね」
言葉を付け加えた奏くんは目を反らしながら意味深だ。
「お姫様抱っこ、はじめてみたわ......」
感慨深げに快くんは呟く。
身長差といい、体重差といい、本当に申し訳ない。あとでお礼を言わなきゃ。会いに行く口実ができたし、僕にとってはWINでしかなくない?
「お前にとって......それは違うと思うわ......」
嬉しそうな顔をする僕に奏くんが冷ややかにそう呟き、快くんが隣で頷く。
意味、わからないんだけど?
「それ、スマホで何人か撮っててさー、それを知った画像を欲しがってる人がチラホラ?」
「数多だろ?」
え、それ、欲しいんだけど。
それよりも、そんな恥ずかしいことになってたの?
お姫様抱っこだよ?
普通なら僕がする方だよ?される方になるだなんて......もう、これって、運命なんじゃなくない?
きっとそうだ。
うん、勝手にそう思っておこう。
僕がニタニタしているのをよそ目に、呟く。
「あの人がお姫様抱っこだなんて......怖すぎ」
奏くん......本当に苦手なんだね。
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