私が拾ったのは子猫なんですけど!そして私は男じゃない!

わらいしなみだし

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子猫の雨月と男の子の雨月2

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「まずはビールで乾杯しない?誰か他の飲み物がいい人いるかな?」

 渡辺さんが音頭をとってくれた。誰かが仕切らなきゃ、人数が増えるほど収拾がつかなくなるものだし。ま、六人だから全然問題はないけど今の状態なら渡辺さんか美樹ちゃんが妥当な担当かな?……なんて勝手なことを想像しちゃっていた。

 誰も異議を唱えなかったので渡辺さんが視線で柴田君に合図を送り、通路側にいた柴田君が店員さんを呼び止めて生ビールを六つ注文した。
 暫くして冷たいグラスジョッキに並々と注がれた生ビールが各々の前のテーブルにすべて行き届いた。

「皆、グラス持ったかな?」

 渡辺さんが回りを見渡して確認していく。首を縦に振る面々を見やって大きな声で言った。

「では、『うーちゃん』にかんぱーい!」

 グラスを持ち上げて次々にチンって音が響く。

「え?」

 固まっているのは、どうやら私だけのようだ。
 だって……「『うーちゃん』に乾杯」だよ?
 どうしてそうなったのよ!

 いくら今川さんが子猫の雨月を見たいっていっても、一緒にいる私の了承はどこへいったのですかぁあああ!皆さん、私の子猫の雨月に便乗してない?この飲み会……。

 理不尽だわ。

 渡辺さんは関与していないみたいだけど、美樹ちゃんと柴犬が勝手にしたのなら止めてくれてもいいじゃない!
 雨月のことを思ってくれてるのだったら……。

 でも、この状況を一番喜んでいるのは渡辺さんかもしれないって、冷静な判断をすればそう思えてきたんだよね。『うーちゃん』のそばにいられることを一番楽しみにしているのは誰でもない、渡辺さんだもんね。

 誰にもわからないほど小さめに私は肩を落とした。
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