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子猫の雨月と男の子の雨月2

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「あの場に星野はいなかったんだから。今川さんの言葉に反応して一番ノリノリだったのは柴田で美樹ちゃんがそれに乗っちゃった感じだったよ」

 渡辺さんが分かりやすくお昼の状況を説明してくれた。

 そっか、私は第三会議室で独りで食事をしたんだった。子猫の雨月のケージを持って。
 結局雨月は起きなかったけど、ケージから出して撫でまくっちゃったもん!

 だから食堂の一件を知らない私は拉致られたのね……。

「私、何も聞かされずここに連れてこられたので。今日は早く帰りたかったし……」

 軽く抗議することにした。だって理不尽じゃない?

「本当にごめん!俺も了承を取ってるかちゃんと聞くべきだったよ。悪かった」

 今川さんに平に謝られると、ちょっと心苦しいんですけど。
 どうみたって今川さんが悪いとは思えないし、私の用事も聞かずに拉致った美樹ちゃんと柴犬が悪いんだし……。

「今川さんは悪くないですよぉー今川さんが子猫みたいって言うから私たちが勝手に張り切っちゃっただけなんですし、葉月先輩が仕事終わりに多忙だなんてありえませんよ。だって葉月先輩は一人暮らしなんですからぁ」

 あ、要らないことを美樹ちゃんベラベラ喋っちゃってくれてるわ。一人暮らしは秘密にしてたのに……。知っているのは上司の夏川さんと美樹ちゃんだけだったのに……!

 女性の一人暮らしを公にする馬鹿が何処にいるっていうのよ……。ボーイッシュに見えても見えるのが嫌で髪の毛を伸ばしてスカートはいてるんだから……。可愛い女の子が理想なのに、この身長のせいで……ああ、気持ちがそっちに流れてく……。

「え?一人暮らしだったんですか?いつか僕、お邪魔したいです……」

 頬をポッと赤らめて何てこというの?この柴犬……。誰か躾てよ、本当に。
 私はあなたに興味ないって、何度も丁寧にお断りしてるのに。

 全然めげずにアタックしてくるのよね。
 そこまでするのは見ているだけなら清々しく思うんだけど、自分のことになると……引きまくるって。所謂ドン引き。

 どおしてわかってくれないのよ!
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