私が拾ったのは子猫なんですけど!そして私は男じゃない!

わらいしなみだし

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子猫の雨月と男の子の雨月2

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「う、『うーちゃん』!だ、ダメじゃない!」

 そう言う私の言葉に子猫の雨月は私の顔をジーっと見つめながらプイッとする。完全にこの『うーちゃん』って呼ばれていることにご立腹なのだ。
 柴田君に対しては、勝手に触ろうとしたからかなりのご立腹。
 渡辺さんはちゃんと子猫の雨月の了解を経てたら触ったんだもんね。

「『うーちゃん』……ダメだよ。人を傷つけちゃあ、いけないの。『うーちゃん』ならわかるでしょ?」

 子猫の雨月は私の顔を見て目にいっぱい涙を溜めたようなウルウル顔をして、暫くお互い見つめ合ったのちプイッとしたのだった。

「う、『うーちゃん』!」

 私を見てまたプイッとする。そして自分からまたケージの中へ入っていった。

「柴田君、ごめんね。痛かったでしょ?いつもなら聞き分けのいい賢い子猫なんだけど……」

 子猫の爪で引っ掛かれた手の甲の傷跡が痛々しく赤く膨れ上がってきている。猫の爪で引っ掛かれた傷の大抵の場合、傷口が膨れ上がってしまう。
 柴田君もその症状だ。

 その傷口を見て渡辺さんが大慌てで
「柴田、傷口を流水で洗って来い!感染症を起こすかもしれないから」
 即座に行動するように促した。

 その言葉に反応した柴田君は「は、はい!」と大きな声でいい、血相を変えて洗面所へ行こうとするのをみて「わ、私見ます」とみんなの顔を見て席を外すために軽く会釈をして、鞄から本日未使用のハンカチを取り出して柴田君の後を追った。

「そこまでしなくてもいいのに……」そう呟く渡辺さんの声を背にしながら……。
 
 そう、私は子猫の雨月が柴田君を傷つけたことに負い目を感じてしまったのだ。
 だから柴田君を放っておけなかった。

 渡辺さんの言葉に反応した美樹ちゃんは

「あれはどう見たって柴犬の柴田君が悪いんです。葉月先輩が面倒なんか見なくていいんです。もう、先輩ったらお人好しすぎです!」

 頬を膨らませながら柴田君に怒っていた。

 先程の二人の様子を今川さんたち三人が見守る中、竹林さんがイヤらしい笑みを浮かべてボソッと言った。

「ウマイことやったね……柴田って……」

 その言葉を聞いていた今川さんが片口端で嫌悪を表していたのを渡辺さんは見逃さなかった。

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