61 / 342
『編み物男子部』?ができるまで。
41 狙われた翌日の出来事 1
しおりを挟む
神崎川が学校を休んだ。
担任が言うには無断欠席らしい。
いったい何があったんだろう?
知りたくてもわからない。
小学生時代の連絡網で自宅の電話番号は知っているけど掛けたことはない。
俺は高校生にしては珍しい分類に入るのかもしれないが、ガラケーもスマホも持っていない。両親さえ持っていない。もちろん弟もだ。
ねだった事もなければ必要と感じた事もなかった。
部活での連絡事項に少し不自由したくらい。
そう、だから神崎川と普通に電話で連絡をしたことがない。
する機会がなかった。
学校では普通にいつものように毎日会っていたし……。
気になっても我慢するしかない。
嫌な予感がする。
どうしようもないほどの……。
それでもただ、耐えるしかなかった。
休憩時間、心配そうに朔田君が俺の横に来る。でも、何も言わない。
本当は何か聞きたいんだと思う。
俺の顔をじっと見ながら何かに耐えてるような表情をするから。
坂口君も時々顔を覗かせては教室を不審者のようにキョロキョロ見渡す。
神崎川が居ないとわかっても俺に何も聞こうとはしないで、神崎川がいつも居た場所にただただ黙って居てくれる。笑顔を向けながら。
なんか、「大丈夫だよ」って言ってくれてる気がするんだ。
なんかあからさまの気遣いだけど、それでも俺の事を考えてくれているようで二人がそっとしていてくれるのが嬉しかった。
隣のクラスの相沢君もいつものように教室を見回すが、こっちに来ることはなく仲のいいA組の友達たちの輪に入っていった。
そしてこっちを親指で指して何かを聞いているようだった。
怪訝そうにする相沢君を見ながら、今日無断欠席をした神崎川がいったい何をしているのかどんなに考えてもわかることはなかった。
まだ、高校生活始まって二週間も経過していないのに、入学式の新年生挨拶をした神崎川が無断欠席……。
そのせいもあってこの話はクラス中だけではなく学年中に広がりをみせた。
今日の部活は珍しく初めて五人揃うことになった。
相沢君は来たのはまだ二回だけだし、朔田君は火曜日は用事があるって言ってたのに。
俺はどうやらみんなに心配されているらしい。
神崎川とはただの友達?……だというのに。
もしかしたら、神崎川が無断欠席した理由を俺が知っているとでも思われている……とか?
俺が気を使ったらきっともっと気を使われるような気がしていつも以上に普通にするように心がけた。
空回りしないことをそっと願いつつ。
朔田君は不器用なりにも鎖編みが出来るようになったので、今は鎖編みが同じ大きさに揃うように練習中だ。時々かぎ針が外れて元の位置がわからず、ほどいて一からやり直してる。
坂口君は編み目を何度も確認しながら細編みの練習をしながら、毛糸を左指に固定させられない相沢君の面倒を見ている。
そんな微笑ましい光景を見ながら俺と名塚君は『基本の編み物』の棒編みのページを開いて編み物論議を始めた。そのつもりだったのに……!
「鳴海君はマフラー作ったことある?」 ふと振られた言葉。
「あるよ」 なんてことはないとでもいうように答えた。
「いくつ作ったの?」
「待って。数えるから…」
小学一年の時に母にひとつ。二年の時は母だけじゃなく父にも。三年以降は両親と弟の颯汰にも作ってた。その六年間だから……
「十五……かな?」 あってるよね?
それを聞いて一角の塊が突然立ち上がって叫び始めた。
朔田君、坂口君、相沢君の三人である。
「な、何?そんなに作ってたの?」
「どういうこと?誰にあげたの?」
「そんなこと知らねーぞ!俺も欲しい!」
あ、聞き耳立ててたのね……。君たちは。
「俺は五歳の時から編み物してるから……」
「へ?」
「そんな前から?」
「いくらなんでも早すぎじゃねーの?」
一斉にすべての目が俺を見ている。
もちろん名塚君もだけど。
まだかまだかと、話を催促しているような雰囲気がひしひしと伝わってくる。
そんなに聞きたいことなの?
そう思ったけど、不意に立場を入れ換えて想像してみる。
自分だったら……やっぱり聞きたい!
なんか、話が逸れてしまいそうな……。
これからどんなマフラーを編んでみたいのか二人でいろんな作品を想像しながら、作る予定のマフラーの話をする予定だったのに。
ま、いっか……。
俺は腹を括って編み物をするきっかけを話すことにした。
担任が言うには無断欠席らしい。
いったい何があったんだろう?
知りたくてもわからない。
小学生時代の連絡網で自宅の電話番号は知っているけど掛けたことはない。
俺は高校生にしては珍しい分類に入るのかもしれないが、ガラケーもスマホも持っていない。両親さえ持っていない。もちろん弟もだ。
ねだった事もなければ必要と感じた事もなかった。
部活での連絡事項に少し不自由したくらい。
そう、だから神崎川と普通に電話で連絡をしたことがない。
する機会がなかった。
学校では普通にいつものように毎日会っていたし……。
気になっても我慢するしかない。
嫌な予感がする。
どうしようもないほどの……。
それでもただ、耐えるしかなかった。
休憩時間、心配そうに朔田君が俺の横に来る。でも、何も言わない。
本当は何か聞きたいんだと思う。
俺の顔をじっと見ながら何かに耐えてるような表情をするから。
坂口君も時々顔を覗かせては教室を不審者のようにキョロキョロ見渡す。
神崎川が居ないとわかっても俺に何も聞こうとはしないで、神崎川がいつも居た場所にただただ黙って居てくれる。笑顔を向けながら。
なんか、「大丈夫だよ」って言ってくれてる気がするんだ。
なんかあからさまの気遣いだけど、それでも俺の事を考えてくれているようで二人がそっとしていてくれるのが嬉しかった。
隣のクラスの相沢君もいつものように教室を見回すが、こっちに来ることはなく仲のいいA組の友達たちの輪に入っていった。
そしてこっちを親指で指して何かを聞いているようだった。
怪訝そうにする相沢君を見ながら、今日無断欠席をした神崎川がいったい何をしているのかどんなに考えてもわかることはなかった。
まだ、高校生活始まって二週間も経過していないのに、入学式の新年生挨拶をした神崎川が無断欠席……。
そのせいもあってこの話はクラス中だけではなく学年中に広がりをみせた。
今日の部活は珍しく初めて五人揃うことになった。
相沢君は来たのはまだ二回だけだし、朔田君は火曜日は用事があるって言ってたのに。
俺はどうやらみんなに心配されているらしい。
神崎川とはただの友達?……だというのに。
もしかしたら、神崎川が無断欠席した理由を俺が知っているとでも思われている……とか?
俺が気を使ったらきっともっと気を使われるような気がしていつも以上に普通にするように心がけた。
空回りしないことをそっと願いつつ。
朔田君は不器用なりにも鎖編みが出来るようになったので、今は鎖編みが同じ大きさに揃うように練習中だ。時々かぎ針が外れて元の位置がわからず、ほどいて一からやり直してる。
坂口君は編み目を何度も確認しながら細編みの練習をしながら、毛糸を左指に固定させられない相沢君の面倒を見ている。
そんな微笑ましい光景を見ながら俺と名塚君は『基本の編み物』の棒編みのページを開いて編み物論議を始めた。そのつもりだったのに……!
「鳴海君はマフラー作ったことある?」 ふと振られた言葉。
「あるよ」 なんてことはないとでもいうように答えた。
「いくつ作ったの?」
「待って。数えるから…」
小学一年の時に母にひとつ。二年の時は母だけじゃなく父にも。三年以降は両親と弟の颯汰にも作ってた。その六年間だから……
「十五……かな?」 あってるよね?
それを聞いて一角の塊が突然立ち上がって叫び始めた。
朔田君、坂口君、相沢君の三人である。
「な、何?そんなに作ってたの?」
「どういうこと?誰にあげたの?」
「そんなこと知らねーぞ!俺も欲しい!」
あ、聞き耳立ててたのね……。君たちは。
「俺は五歳の時から編み物してるから……」
「へ?」
「そんな前から?」
「いくらなんでも早すぎじゃねーの?」
一斉にすべての目が俺を見ている。
もちろん名塚君もだけど。
まだかまだかと、話を催促しているような雰囲気がひしひしと伝わってくる。
そんなに聞きたいことなの?
そう思ったけど、不意に立場を入れ換えて想像してみる。
自分だったら……やっぱり聞きたい!
なんか、話が逸れてしまいそうな……。
これからどんなマフラーを編んでみたいのか二人でいろんな作品を想像しながら、作る予定のマフラーの話をする予定だったのに。
ま、いっか……。
俺は腹を括って編み物をするきっかけを話すことにした。
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる