あみdan

わらいしなみだし

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『編み物男子部』?ができるまで。

46 決戦は金曜日? 1 ★神崎川side1

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神崎川side

 三日振りに学校へ行く。
 どんな顔をして翔琉を見ればいいんだ?

 後ろめたいことをした。
 俺は翔琉のことを好きなのに……。
 今度こそ、って思ってた筈なのに……。

 俺のしたことは……ぜってー知られてはいけない。
 翔琉だけには!

 クラスの扉を開ける。俺を見て固まるクラスメイトたち。
 普通、無断欠席三日間もしたら誰かが野次るだろー?
 な、ない。
 それどころか、不穏な空気が漂う。
 流石に異様な雰囲気だ。

 めっちゃ居心地わりー!

 キョロキョロ教室を見渡す。
 いつもこの時間にはいる筈の翔琉が……いない?

 朔田が教室に入ってくるなり俺の方に飛んで来た。

「こ……皇帝様!遅すぎます!遅すぎます!……」

 そう言いながらポカスカ俺を叩く。全然痛くねーけど。
 それよか……『様』つけてやがるし!

「どうしたんですか?……どうして……。もう……。本当に……。もう……」

 俺の顔を見上げながらポロポロ涙を溢す朔田。
 言葉が無茶苦茶だし、意味がわかんねーし。

 そっか……。
 心配して……くれてたのか?!

 そう思ってつい嬉しくなって朔田の頭を撫でてやりながら
「すまんな……」
 と一言いった。

 でも、心配してくれてた訳じゃねーことはすぐにわかった。
 翔琉が教室に入ってくるなり直ぐに朔田は俺に向かって両手で通せんぼをして

「近寄らないで!そっとしてあげて!」

 と言い放って翔琉のところへ遅いなりに全速力で駆けて行き、翔琉に抱きついて……?!

「鳴海君、大丈夫?無理しなくていいから……ね?僕たちがついてるから……」

 な……なにいってるんだ?さくた……

「さくた……おい!」

 そう叫んだところで野次が聞こえ始めた。

「うわぁー浮気だよ」
「やばいんじゃね?」
「キャー!朔田が鳴海をとるってマジ?」
「キャプテンにいいつけるぞ!朔田ぁ」
「鳴海はもうお手付きされてるんだから。てめぇのもんじゃねーぞ!」
「朔田、勇気あるー!」
「鳴海君も貞操はちゃんと守らなきゃー!」

 な……なにをいってるんだ?
 なにが、おこって……?

 そんな事が耳に入っていないかのように翔琉は朔田に声を掛ける。

「朔田君、ありがとう。心配しなくても平気だから……ね?」
「でも……でも……」 
 
 先程まで涙していた赤い目をする朔田が泣きそうな崩れた顔をして翔琉を見上げていた。
 俺の時とは違って本気で心配してるのがわかる。

「やっぱり朔田君はやさしいね!」

 そう言って翔琉は朔田を愛おしそうに抱き締め返していた……。

 ど、どうなってるんだ?

 二人を見てまた野次が飛ぶ。

「見つかったらやべーって。朔田、離れろって。まだこっちに来たことがないからって……や、やべーってマジ!朔田ぁあ!!」

 教室の外を見ながら、その声は明らかにあわてふためいている声だった。




   
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