☆あ・み・だ・ん☆

わらいしなみだし

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女人禁制の☆あみだん☆開始!

72 練習試合のあとで…… ☆

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「はいこれ」

 先程託された男の子から渡されたカバンを前に見せる。
 練習試合が終わって選手たちがチームに合流するところを呼び止めて渡そうとした。面倒なことはさっさと終わらせたい。

「なんだ、かすみか……。来てたのか?」

 私の顔を見るなり眉間にちょっとシワを寄せる。
 もう、私とは関係ないんだからってそんな素振り見せなくてもいいんじゃないの?眉間にシワを寄せたいのは私の方なんだから。

「悪い?」

 私に対してはいい顔をしない。言葉だって甘ったるい言葉は口にしない。まぁ、ファン向けの態度と私とでは態度が違うのは当たり前だけど。 
 胡散臭くって……笑える。

「相変わらずサッカー好きだね。今は神崎川の応援だっけ?」

 ファンが大事だからって博愛主事者みたいな男の応援なんか誰が出来ると言うのだろう?本当にサッカーが好きなの?って聞きたいわよ。女が好きでサッカーしてるんじゃないの?って。

 ま、もう、どうでもいいけど。

「そうよ、誰かさんよりサッカーに真剣だし?頑張ってるみたいだし」
「僕も真剣だけど?」

 どの口がほざいてるんだか……。
 嘘もいい加減にしてほしい。
 昔はひたむきにサッカーしてたとは思ってたわよ。
 だからすぐにレギュラーになったのも知ってるわ。
 ファンが増えた途端、態度が変わったのは間違いないでしょ?

 汗をかいた村瀬が頭を軽く左右に降る。髪の毛から汗が迸る。無駄に格好つけるところが相変わらずだ。女たちがキャアキャア叫んでる声が聞こえる。そういえば此処にも村瀬のファンが来てたんだっけ?

 ウザ……。
 さっさと渡して消えよ……。

「嘘ばっかり……女の方が大事でしょ?」
「まぁ……ファンは大事にしなきゃ……だろ?」
「フン……」

 やっぱりコイツ嫌いだわ。
 どうしてこんなのを好きだったのか、過去の私を笑ってやりたい。

「で……これって、僕のじゃないよね?」
「渡してくれる?私、神崎川君に面識ないから」

 見たらわかるくせに。なにもかもお見通しなくせにいつも態とらしく意地悪なことを言うのよね。いい加減、解放してくれないかしら?

「このバッグ……もしかして翔琉?」

 目の前がぱあっと明るくなったみたいに目を輝かせて喜んでるわ。
 噂じゃあの子の彼氏になったみたいだけど……本当にそうかしら?
 村瀬の方はメロメロみたいだけど。

「名前は知らないけど、来てたわよ。もうとっくに帰ったんじゃない?用事が出来たみたいだったから」

 なのに此処に来てたのを知らなかったってことは、村瀬のことは何とも思ってないってことかしら?
 たまには弄ばれたらいいのよ。

「神崎川にってことは……」

 もう、必死なんだから。笑えるわ。

「誘われたのかなんなのか知らないけど、彼を見に来たんでしょ?サッカーの試合」

 はっとする顔を見てなにかを悟ったらしい。
 相変わらず頭の回転が速いわね。行動もだけど。

「サンキュー!今度何か奢る!」

 村瀬が私からカバンを引ったくるように紐を掴み、部員たちの元へ走りながら私の方を見て叫ぶのを見ながら私は私で言い返す。

「あんたなんかに金輪際会うつもりないから!」
「恩は返さないとね!これでも優しい元カレだろ?」

 忘れたい過去なんだけど。
 黒歴史だから二度と言わないで欲しい。
 本当、やめて。

「ウザい!消えて!」
「またね!かすみ」

 無駄な明るい笑みと投げキッスを私に飛ばしながら走り去る村瀬の姿が部員たちの中に紛れるのを見て、呆れるように大きなため息を溢して私は踵を返した。

 いい試合を見たのに最後がこれじゃあ……ね。
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