上 下
46 / 125
第二部 建白書

第八話 6

しおりを挟む
近藤「ああ、今日は深雪太夫、お前に逢いに来たのだ。いい知らせをもってな!」
太夫「えっ?」
近藤「もうじき、もうじきお前は俺のものになる」
太夫「えっ?もしかして…」
近藤「ああ、そうだ。お前を身請け出来る日がもうじき来るのだ」
太夫「そんな大金…なんぼ新撰組の局長でも…。羽振りのええのは知っとおけど…身請けになると、大金が飛ぶんえ?そない…無理せんかて…うちなら、このままでも………ええんよ…」
近藤「そう心配するな!大丈夫だ。当てが出来たのだからな!」
太夫「ほ…ほんまにうち…此処から出られるん?」
近藤「ああ、お前を京へ連れて行く日がもうそこまでやって来たのだ。だから前もって女将に他の身請け話は断るように頼んである。……その分上乗せされたがな。大坂は銭勘定が厳しすぎる。だが、それくらい何とでもする。お前を俺だけの女にする為ならな。一日でも早く俺のものにしたい」
太夫「そ、そしたらあの、あの約束は?」
近藤「お前の妹の事だろ?わかっている。お前を身請けしてから、また金の工面が出来たら、次はお前の妹のお孝を俺の元へ呼んでやる。わかってるな?姉妹で俺に尽くすのだ」
太夫「やっと…やっとお孝と一緒に暮らす日が…そんな日が叶うんやね!ああ!近藤様、なんてお礼をすれば…」
しおりを挟む

処理中です...