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第二部 建白書

第十一話 2

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新田「あの人が……悲しんでいないか……知りたい」

……それが、彼の願いだった。


京が燃えている……
愛しのあの人は無事なのだろうか?

人目だけでも逢いたいが、
もう二度と叶うことはないな……

こんな日がこうも早く訪れるとは。
想いを……伝えておけばよかった……。

一緒になることは出来ずとも、
あの人の気持ちが俺になくとも……

悔いだけは残したくなかったな……。

あの人がいる京を見廻り守ることで、
あの人を守っているような……気持ちでいた。

もう……あの人のいる京を守れない、
守れない……。

悔しい……。

なんと歯痒いことであろうか……。
    
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