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第二部 建白書

第十五話 2 

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山南「もしかして……新さん、永倉氏は近藤さんと刺し違える覚悟なのかい?」
齊藤「……たぶん、そうだと思われます」
山南「……。そうか……新さんらしいね。私も京都守護職会津藩本陣へ赴きたいのだが」
齊藤「いえ、それは困ります。これは我々が決めたこと。そして……最悪の場合も考慮願います。苦渋かと思いますが此処は堪えて下さい。万が一、何かあった時の為にも山南さんには残って戴きたいのです。そして……その時は、新撰組の行く末を山南さんに託したいと……命を張って下さいます様、御願いしたく存じます」
山南「一の心意気を尊重するとしよう。これは誰かが動かねばならぬ事。それを見届けるものも必要な事。……歯痒いね、本来なら私一人が動くべき事案なのに」
齊藤「いえ、全ての責は依頼した我々が持つべき事。我々の意思を……どうか汲み取って戴きたい」
山南「あい、わかった……。訴状は私が責任を持って認めよう。近藤さんに対して何を書けばよい?」

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