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第二部 建白書

第十五話 4 

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   山南の休息所内

永倉「山南殿……夜分失礼するよ」
山南「やはり……来たね、新さん。どうぞ」
永倉「……ところで、一はもう帰ったよな?」
山南「ああ、私に訴状を書いて欲しいと言いに来た」
永倉「そうか……わしは山南殿を巻き込みたくはなかったのじゃが……」
山南「話を此処迄聞いたのだから。私が出来ることなら何でもしたいよ……新さん」
永倉「そうそう、酒を持参した……。山南殿、呑まんか?」
山南「ああ、頂戴するよ。久々だね……新さんと差しで呑むのは。盃を持ってこよう」

永倉「では」
山南「忝ない」

  「新さん……すまない。私が不甲斐ないばかりに……。新さんが先頭を切って近藤さんを断罪させる行動を起こさせてしまって……」
永倉「山南殿と共に……行動したい……という思いは……正直に言えば……あったのう……。じゃが……」
山南「どうしたのだい?」
永倉「わしと近藤殿、どちらが残っても新撰組にとって打撃は計り知れないものであろう。それを修復するには、山南殿、お前さんこそ必要なんじゃ!誰が何と言おうが……わしはそう思うておる。何があっても新撰組を守って下され!近藤殿の新撰組じゃあない。我等の新撰組を!」

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