恵と凛の妄想幕末2  とある事件

わらいしなみだし

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※第二部 建白書  心の内編

第七話 1 土方の部屋 

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近藤「歳、居るか?」

 土方の部屋の前で襖越しに声をかける。

土方「近藤さんですね。どうぞ」
  (今日はもう戻ってきたのか?いつもより早い気がするな……)
近藤「入るぞ!」

 遠慮なく豪快に襖を開け、廊下の左右に誰もいないのを確認して部屋の中へ入り襖をしっかり閉めた。

 その厳戒な所作に違和感を感じる土方。

土方「如何なされましたか?朝から京都守護職会津藩の陣へ赴いたとか」

 とりあえず曖昧に違和感を探るように慎重に尋ねた。

近藤「ああ、行って来た。御呼び出しがあったからな」
  (会合の内容を知ったら流石の歳でも驚くだろう。新撰組がこんなにも早く認められることになるとはな。それの証が噂の内容だ。これが現実になれば事実上の褒賞金の上乗せみたいなものだからな)
土方「で、どのようなお話で?」
  (こんなにも嬉しそうな顔を見せるのは試衛館を閉めて江戸へ向かい一旗揚げると決心した時以来じゃねーだろうか?目の輝きが半端ねぇ)
近藤「探索・出陣の命だ。新撰組が何処よりも頼られている証だな」
  (これからもっと多忙になるぞ。これを期にもっと幕府に近い大名との繋がりを深めねば……)  
土方「いい傾向ですね」
  (それならばもうちょっと腕のいい隊士が必要に……)
近藤「ああ!もっともっと忙しくなるぞ!隊士をもっと増やさないとな。今、京は最もきな臭い。長州勢が続々と京へ集結しようとしている」
  (ここでも新撰組の手柄が出来れば……武士への道がますます近づく!)
土方「そのようですね。巡回中の隊士達から何度もそのような報告を受けています。ですから警戒を強化しました」
  (池田屋の事件以来、長州等が報復を模索するように動き回っている……俺の目の黒いうちは好き勝手させるものか……。折角此処まで新撰組がのしあがってきたというのに……)
近藤「おお!さすが歳だな!よくわかっておる」
  (歳に任せていたら新撰組は安心だ。俺が外でいろいろと動きやすくて助かる)
土方「ところで……近藤さん。今日はいつも以上に機嫌がいいですね。何かいいことがありましたか?」
  (それだけでこんな嬉しそうな顔を見せる筈がない。他に何があった?)
近藤「ああ、わかるか?」
  (さすが歳だな……この喜びを分かち合うのは試衛館で契りを結んだ歳だけだ……他の誰でもなく……だ)
土方「もちろんです。いったい何年一緒にいるとでも?」
  (いったい何をそんなにいいことがあったというのだろう?)
近藤「そうだな。実はな、歳。会津藩の藩士等の話を小耳に挟んだのだが、近々幕府から新撰組に池田屋御用改めの一件で感状と報奨金が出るかもしれないのだ。まだ、噂の段階らしいがな」
  (火のないところに煙は立たぬ……それもあの御方の側近達から聞いた噂だからな……)
土方「京都守護職会津藩からだけではなく、幕府からもですか?」
  (それは……凄いことじゃねーか?……新撰組が事実上幕府に認められたってことになるんじゃねぇか?)
近藤「ああ!幕府まで俺たち新撰組を認めて頂いたという証になる。これ以上の褒美はないだろ?」
  (俺が求めているものは……まだまだその先にある……!)
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感想 3

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みんなの感想(3件)

のあ
2021.11.16 のあ
ネタバレ含む
解除
のあ
2021.04.11 のあ
ネタバレ含む
2021.04.13 わらいしなみだし

のあ~♪ステキな感想をありがとうございます!
とっても嬉しいです!今回もこんなに長い感想を貰えるとは思ってなかったです。いま、お話中断になっちゃっててゴメンナサイ!m(_ _)m\(_ _)
今から見ると自分が書いたとは思えないわ!(*/∀\*)
のあって、本当にいい言葉を見つけてくるね!
近藤さんの言葉は冷たいけど、頭の中は新撰組を幕臣に取り立てて貰うことだから、新撰組のため(?)無駄な金子は使えないってことなんでしょうね。
永倉さんと齊藤さんのやり取りで永倉さんが「首が……」といえば、「首ひとつで収まるのなら……」って齊藤さんが返すところは本当に印象的ですよね!
此処で、永倉さんの覚悟と齊藤さんの覚悟の違いがうっすら見え隠れしてるんですよね!
まぁ、先に進めばもしかしたら驚いてもらえるかもしれません!( *´艸`)
専横ぶりを少しずつ見せるのには苦労しました。うまく廻せているのか不安ですけど書き続けていきたいです!
山南さんは建白書では重要人物になります。
図にすれば、永倉さんたちvs近藤局長ですけどね。
前線で闘うことがなくなった山南さんの元へ通う沖田さんに少なからず嫉妬をする藤堂さん。
この図は妄想幕末の1の内容に繋がっていきますね。
本当にいろんな見方をしてくれて、こんなにも沢山の言葉をくれて本当に感謝で一杯です!
書き続ける自信になります!
スランプで悩みながら向こうでリハビリしてますが、必ず続きを書きますので、待っていてくださると嬉しいです!
これからも楽しみにしてもらえるような続きが書けるように頑張りますね!
心からの感謝をのあへ~💕

解除
のあ
2021.03.13 のあ
ネタバレ含む
2021.03.14 わらいしなみだし

のあ~♪
沢山の感想をありがとう!とてもドキドキしながら読んじゃったよ。この時代に生きている人たちはいろんな緊迫感の中、いろんな想いを抱きながら不安と背中合わせで生きてたと思う。国内の分裂だけじゃなく外国からの搾取の回避とか目に見えないものが次々と押し寄せていくどの時代にもない激動の時代が幕末だと思うのよね。だからいろんな藩内で突出した人物が次々と現れ江戸や京を目指し日の本をも護ろうとしたのだと思う。ただ、いろんな人の思惑とか思想理念様々なものが蠢いて時代の波に呑み込まれたんだと思う。だからグッと来る思いもあってでも、なかなか思うように伝えられなくて……そんなもどかしさの中で私は妄想幕末を書いてるのだと思います。
史実とは人物像が違う!なんて思われたりもするのでしょうけどね。
私の妄想だし?のあが感じているようにこれってあくまでメインは建白書の話なんだけど山南さんのお話でもあるの。そう考えたら……妄想幕末1も2も山南さんが関係してるね!ここのとある事件ではあまり出てこないけどメインで登場してるのは永倉さんかな?言葉口調に悩んだんだけど、(年齢的にも)でも、私の中では強さも言葉口調で出せないかな?なんて思いながら書いちゃったんだけど……どんな風に見えてるのかな?
近藤さんや土方さんのFANが読んだらかなり気分を害するんじゃないかな?ってかなり不安だったりしたんだけど、主人公……人じゃないけど「建白書」が主なのでどうしても近藤さんは悪役になっちゃうんだよね。そこのところは諦めてもらうしかないんだけど。
のあに楽しんでもらえるようにもっと頑張るね!感想をありがとう!とても嬉しかったです!。。。凛

解除

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