25 / 106
3章【ゾルダン編】灰色の魔女と戦乙女の救済
25.閑話 戦乙女は獣に堕ちる
歓楽都市ゾルダン。その地下深くに存在する『闇闘技場』。欲望と熱狂が渦巻くその場所で、一つの伝説が生まれようとしていた。
「勝者ァァッ! 『紅の戦乙女(クリムゾン・ヴァルキリー)』、メルザァァァッ!!」
司会者の絶叫と共に、満員の観客席から割れんばかりの歓声が沸き起こる。リングの中央。スポットライトを浴びて立っているのは、燃えるような赤髪をなびかせた長身の美女――メルザだった。足元には、彼女の倍はある大男が白目を剥いて伸びている。
「ふぅ……。つまんないわね。もっと歯ごたえのある奴はいないの?」
メルザは赤髪をかき上げ、汗ばんだ肌に張り付いたサラシを直しながら不敵に笑った。Aランク冒険者にして、格闘家(モンク)。彼女の拳は岩を砕き、そのステップは風よりも速い。
――控え室に戻ったメルザを待っていたのは、腐った脂の臭いだった。
「ケケケッ。相変わらず強いねぇ、メルザちゃん」
闇金融組織『金喰い虫』の支部長、ゴズが下卑た笑みを浮かべて立っていた。
「……何の用? あんたみたいな悪党に挨拶する義理はないんだけど」
「つれないねぇ。今日はビジネスの話を持ってきたんだよ」
ゴズは分厚い札束をテーブルに放り投げた。
「次の決勝戦。……負けてくれや」
「は?」
「相手はウチが推してる新人だ。オッズはあんたの一本被り。ここであんたが負ければ、俺たちは大儲けできる。……この金は手付金だ。成功すれば、この十倍は出すぜ?」
いわゆる八百長の誘い。メルザの瞳が、軽蔑の色で冷たく光った。
「断るわ」
「あぁん? 孤児院のガキどもに美味いもん食わせてやりたくねぇのか?」
「汚い金で買ったパンなんて、あの子たちは喜ばないわ。……それに」
メルザは札束を掴むと、ゴズの顔面に叩きつけた。
「そもそも、あんた達があの孤児院に違法な借金を背負わせて、それを帳消しにする条件で私はこの闇闘技場にいる。私が優勝したら条件通り冒険者に戻る。その間あんた達は孤児院に手は出さない。これが全てよ、忘れないで貰いたいものね。本来、私の拳は三流の賭け事に使うためのもんじゃないのよ!」
「……へぇ。後悔するぜ?」
ゴズは散らばった札を拾うこともせず、ドス黒い殺気を残して部屋を出て行った。
◆
数日後の決勝戦。メルザは、ゴズの脅しに屈することなく、対戦相手を1ラウンドでKOした。圧倒的な勝利。会場は沸いたが、主催者席の『金喰い虫』たちは、能面のような無表情でそれを見つめていた。
「やったわ! これで優勝……!」
意気揚々と孤児院へ帰ったメルザ。しかし、そこで彼女を待っていたのは、子供たちの笑顔ではなく――静寂と、破壊された部屋だった。
「……院長先生? みんな?」
嫌な予感が背筋を駆け上がる。奥の部屋から、見覚えのある豚のような男が出てきた。
「おかえり、チャンピオン」
ゴズの手には、血まみれの老婆――孤児院の院長が髪を掴まれて引きずられていた。
「院長先生ッ!!」
「来るなッ!!」
ゴズが老婆の首にナイフを突きつける。
「一歩でも動いてみろ。このババアの喉を切り裂くぞ」
「ひ、卑怯よ! 私との約束はどうなったの!? 孤児院には手を出さないって……!」
「約束? 八百長を断ったアマが何を言ってやがる。……大人しくこっちに来い。そして、この薬を飲め!」
ゴズが足元に放り投げたのは、ドス黒い液体が入った小瓶。違法な強化薬物と、魔力を暴走させる毒薬のカクテルだ。
「それを飲んで、俺たちのペットになれ。そうすりゃ、このババアとガキどもは見逃してやる」
メルザは唇を噛み締め、血が滲むほど拳を握りしめた。今すぐ飛びかかって、この外道の顔面を粉砕したい。だが、その一瞬の間に、院長の命は失われるだろう。
「……分かったわ」
メルザは震える手で小瓶を拾い上げた。
「メルザ、ダメよ! 逃げなさい!」
「ごめんなさい、先生。……みんなを、頼みます」
彼女は一気に薬を煽った。
「飲んだな…ひひひ」
――そこからの記憶は、曖昧だ。
焼けるような激痛。千切れるような筋肉の痙攣。意識が混濁する中、冷たい地下牢へと運ばれ、来る日も来る日も実験が繰り返された。『もっと魔力を流し込め!』 『脳のリミッターを外せ! 人格など不要だ!』脳が溶ける。私が消える。
誇り高かった『紅の戦乙女』は死んだ。
代わりに生まれたのは、痛みと破壊衝動に支配された、醜い赤き獣。
(……殺して……誰か……私を……)
残された最後の理性が、暗闇の底で音もなく叫んだ。そして、鎖が解かれる音が聞こえた。
「……ヒヒッ。腹が減ってるか、メルザ。仕事だ」
「さあ、行け! 俺の命令をき――」バチュンッ。
獣は解き放たれた。目の前にある全てを破壊するために。
それが、かつて自分が守ろうとした世界であったとしても、もう彼女には分からない。
ただ、救いを求めるように、彼女は夜空に向かって絶叫した。
「グルルルルァァァァァァァァッ!!!」
「勝者ァァッ! 『紅の戦乙女(クリムゾン・ヴァルキリー)』、メルザァァァッ!!」
司会者の絶叫と共に、満員の観客席から割れんばかりの歓声が沸き起こる。リングの中央。スポットライトを浴びて立っているのは、燃えるような赤髪をなびかせた長身の美女――メルザだった。足元には、彼女の倍はある大男が白目を剥いて伸びている。
「ふぅ……。つまんないわね。もっと歯ごたえのある奴はいないの?」
メルザは赤髪をかき上げ、汗ばんだ肌に張り付いたサラシを直しながら不敵に笑った。Aランク冒険者にして、格闘家(モンク)。彼女の拳は岩を砕き、そのステップは風よりも速い。
――控え室に戻ったメルザを待っていたのは、腐った脂の臭いだった。
「ケケケッ。相変わらず強いねぇ、メルザちゃん」
闇金融組織『金喰い虫』の支部長、ゴズが下卑た笑みを浮かべて立っていた。
「……何の用? あんたみたいな悪党に挨拶する義理はないんだけど」
「つれないねぇ。今日はビジネスの話を持ってきたんだよ」
ゴズは分厚い札束をテーブルに放り投げた。
「次の決勝戦。……負けてくれや」
「は?」
「相手はウチが推してる新人だ。オッズはあんたの一本被り。ここであんたが負ければ、俺たちは大儲けできる。……この金は手付金だ。成功すれば、この十倍は出すぜ?」
いわゆる八百長の誘い。メルザの瞳が、軽蔑の色で冷たく光った。
「断るわ」
「あぁん? 孤児院のガキどもに美味いもん食わせてやりたくねぇのか?」
「汚い金で買ったパンなんて、あの子たちは喜ばないわ。……それに」
メルザは札束を掴むと、ゴズの顔面に叩きつけた。
「そもそも、あんた達があの孤児院に違法な借金を背負わせて、それを帳消しにする条件で私はこの闇闘技場にいる。私が優勝したら条件通り冒険者に戻る。その間あんた達は孤児院に手は出さない。これが全てよ、忘れないで貰いたいものね。本来、私の拳は三流の賭け事に使うためのもんじゃないのよ!」
「……へぇ。後悔するぜ?」
ゴズは散らばった札を拾うこともせず、ドス黒い殺気を残して部屋を出て行った。
◆
数日後の決勝戦。メルザは、ゴズの脅しに屈することなく、対戦相手を1ラウンドでKOした。圧倒的な勝利。会場は沸いたが、主催者席の『金喰い虫』たちは、能面のような無表情でそれを見つめていた。
「やったわ! これで優勝……!」
意気揚々と孤児院へ帰ったメルザ。しかし、そこで彼女を待っていたのは、子供たちの笑顔ではなく――静寂と、破壊された部屋だった。
「……院長先生? みんな?」
嫌な予感が背筋を駆け上がる。奥の部屋から、見覚えのある豚のような男が出てきた。
「おかえり、チャンピオン」
ゴズの手には、血まみれの老婆――孤児院の院長が髪を掴まれて引きずられていた。
「院長先生ッ!!」
「来るなッ!!」
ゴズが老婆の首にナイフを突きつける。
「一歩でも動いてみろ。このババアの喉を切り裂くぞ」
「ひ、卑怯よ! 私との約束はどうなったの!? 孤児院には手を出さないって……!」
「約束? 八百長を断ったアマが何を言ってやがる。……大人しくこっちに来い。そして、この薬を飲め!」
ゴズが足元に放り投げたのは、ドス黒い液体が入った小瓶。違法な強化薬物と、魔力を暴走させる毒薬のカクテルだ。
「それを飲んで、俺たちのペットになれ。そうすりゃ、このババアとガキどもは見逃してやる」
メルザは唇を噛み締め、血が滲むほど拳を握りしめた。今すぐ飛びかかって、この外道の顔面を粉砕したい。だが、その一瞬の間に、院長の命は失われるだろう。
「……分かったわ」
メルザは震える手で小瓶を拾い上げた。
「メルザ、ダメよ! 逃げなさい!」
「ごめんなさい、先生。……みんなを、頼みます」
彼女は一気に薬を煽った。
「飲んだな…ひひひ」
――そこからの記憶は、曖昧だ。
焼けるような激痛。千切れるような筋肉の痙攣。意識が混濁する中、冷たい地下牢へと運ばれ、来る日も来る日も実験が繰り返された。『もっと魔力を流し込め!』 『脳のリミッターを外せ! 人格など不要だ!』脳が溶ける。私が消える。
誇り高かった『紅の戦乙女』は死んだ。
代わりに生まれたのは、痛みと破壊衝動に支配された、醜い赤き獣。
(……殺して……誰か……私を……)
残された最後の理性が、暗闇の底で音もなく叫んだ。そして、鎖が解かれる音が聞こえた。
「……ヒヒッ。腹が減ってるか、メルザ。仕事だ」
「さあ、行け! 俺の命令をき――」バチュンッ。
獣は解き放たれた。目の前にある全てを破壊するために。
それが、かつて自分が守ろうとした世界であったとしても、もう彼女には分からない。
ただ、救いを求めるように、彼女は夜空に向かって絶叫した。
「グルルルルァァァァァァァァッ!!!」
あなたにおすすめの小説
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜
グリゴリ
ファンタジー
木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。
SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。
祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。
恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。
蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。
そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。
隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ダンジョンで迷惑配信者をやっていた俺。うっかりアイドル配信者を襲ってたドラゴンをぶっ飛ばした結果、良い人バレして鬼バズる
果 一@【弓使い】2巻刊行決定!!
ファンタジー
矢上一樹は、ダンジョンでマナー違反行為を繰り返す迷惑系配信者だ。
他人の獲物を奪う、弱いモンスターをいたぶる、下品な言葉遣い。やりたい放題やって人気を得ていた彼だったが――ある日、うっかり配信を切り忘れて律儀な一面がバレてしまう。
焦った一樹はキャラを取り繕うも、時すでに遅し。一樹の素は大々的に拡散され話題沸騰していて――さらには、助けた美少女が人気アイドル配信者だったことで、全国レベルでバズってしまい!?
これは、炎上系配信者が最強でただのいいヤツだった的な、わりとよくある物語。
※本作はカクヨムでも連載しています。そちらでのタイトルは「ダンジョンで迷惑配信者をやっていた俺。うっかりアイドル配信者を助けた結果、良い人バレして鬼バズってしまう~もう元のキャラには戻れないかもしれない〜」となります。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!
竜鳴躍
ファンタジー
気が付いたら転生していました。
でも王族なのに、離宮に閉じ込められたまま。学校も行けず、家庭教師もつけてもらえず、世話もされず。社交にも出られず。
何故なら、今の王様は急逝した先代の陛下……僕の父の弟だから。
王様夫婦には王子様がいて、その子が次期王太子として学校も行って、社交もしている。
僕は邪魔なんだよね。分かってる。
先代の王の子を大切に育てたけど、体が弱い出来損ないだからそのまま自分の子が跡を継ぎますってしたいんだよね。
そんなに頑張らなくても僕、王位なんていらないのに~。
だって、いつも誰かに見られていて、自分の好きなことできないんでしょ。
僕は僕の好きなことをやって生きていきたい。
従兄弟の王太子襲名の式典の日に、殺されちゃうことになったから、国を出ることにした僕。
だけど、みんな知らなかったんだ。
僕がいなくなったら困るってこと…。
帰ってきてくれって言われても、今更無理です。
2026.03.30 内容紹介一部修正
仲間を勇者パーティーから追放したら、実は有能だったらしい。俺が。〜ざまあされて隠居したいのに、いつの間にか英雄にされていた件〜
果 一@【弓使い】2巻刊行決定!!
ファンタジー
ラルド=ヤメタイーナは勇者を辞めたい。魔王討伐の使命とか正直面倒くさいし、魔族と戦うのだって怖いし。
しかし、勇者に選ばれてしまった以上、魔王討伐に動かねばならない使命があって――
「だったら、有能な仲間を追放して、無能勇者としてざまあされればよくね?」
さっそく理由をつけて有能な仲間を追放し、パーティーメンバーの反感を買ってパーティー解散を狙うラルドだったが。
実は追放された有能な仲間は、潜入して命を狙っていた魔族で。
反感を買うつもりが、有能な勇者と勘違いされて周囲からの好感度がどんどん上がっていき――!?
これは、勇者なんて辞めたいダメダメ主人公が、本人の意図せぬ結果を出して最強の勇者に上り詰める、勘違い英雄譚である。
※本作はカクヨムでも公開しています。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。