勇者ブレイドの冒険~無能な勇者(リーダー)呼ばわりで皆脱退?!でもかわいい女の子たちとハーレムパーティー組んだんで戻りたいと言っても遅い!

三浦ウィリアム

文字の大きさ
32 / 35
第2章~新たなる旅立ち~

第3話Part.2~謎の野生娘~

しおりを挟む
 茂みから突如現れた少女、顔立ちを見ると人型魔族などではなく俺たちと同じ種族の人間にしか見えないが、格好は異様だった。服をほとんど身につけていない状態だったのだ。
 身長が150センメラーほど、幼い顔立ちの割にかなり豊かな胸の部分は何かの葉のような物を付けており見えないが、下半身には何も身につけておらず無防備にその全てを晒している。
 何も服を身につけていないような状態であるため、彼女の肌には生傷が多く、どうやらその姿のままで過ごしている時間は相当長そうに見える。
 これは相当に深い理由がありそうだがまずは意思の疎通ができるのかどうかすら分からない。

「君は一体何者かな?」

 俺はいくらか口調を柔らかいものに変えてもう一度彼女と意思の疎通を図ってみる。構えていた剣も鞘に戻して警戒心を与えないようにするが返事は帰って来ない。
 彼女の表情から何か分からないかと顔を見るとこちらに対して害意はなさそうには見える。どちらかといえば俺たちに興味を示しているようにも思えるが、こちらの言葉に何も返してくれないので何も分からない。

 彼女は少し足元をふらつかせながら俺たちの方へとゆっくりゆっくりと歩いて来る。勇者としてこんな幼い少女に危害を加えることなどあってはならないと思うが、これがもし変幻自在に姿を変えられる魔族だったりした時はどうすればよいのか。考えれば考えるほど彼女がよく分からない。
 彼女が少しずつ俺たちとの距離を詰めてくると彼女の細かい動きが少しずつ見えてくる。彼女の綺麗な緑の瞳はキョロキョロと動いている。
 そして彼女の鼻先がスンスンと動いているのが見えた。これは明らかに匂いを嗅いでいる様子だ。俺たちの匂いを嗅いでいるのか、それとも俺たちの食事の匂いを嗅いでいるのか。

「もしかしてこれを探しているのか?」

 俺は彼女から目を離さないまま少しずつ竈の方へと近づいて行く。俺が動いたため彼女は俺の方を見つめてくる。そして目がしっかりと合った。
 俺は竈周辺にまだ1本残っていたマッサオの塩焼き串を取ろうと手を伸ばす。よく見ていなかったため手を火に近づけ過ぎて火傷しかけたが、なんとか串を取って彼女に見せながら尋ねた。
 彼女の鼻がひくひくと動く。そして自分が探し求めていたものだったようで彼女の目がキラキラと輝き始めた。相当お腹が空いていたらしい。彼女は俺の元へ駆けつけた。

「これは、大丈夫そう、ですね?」
「でありますね」

 俺と共に彼女に警戒をしていたミリアとアンも警戒態勢を解いてこちらへ来て彼女の姿を困惑が混じった目で見ているが、かわいらしい様子でもあるので愛らしいものを見るような目でもあった。

 彼女は俺の持っているマッサオの焼き串の胴体部分を手づかみしてきた。まだ十分に熱を持っていたマッサオに触れれば熱いに決まっており「ミューッ」という鳴き声を上げて手を離した。
 俺はそれを見かねて「ここなら熱くないから」手を触れた逆の手に串の部分を持たせてやる。ほとんど熱くないのを不思議そうな顔でこちらを見つめる彼女は串の両側を両手で持ってから地に腰を下ろす。俺たちも腰を下ろしている時、彼女はマッサオの熱を冷ますため息を吹きかけた後に胴体にかぶりついた。
 一口食べた後は顔が幸せそうに弛んでそのまま一気にパクパクと食べ進め、マッサオは頭から尻尾まで全て平らげられてしまった。

「気に入ったみたいだな」
「ミュ……おい、しい」
「今、おいしいって!」
「たしかに聞こえたであります!」

 俺はマッサオを一気に平らげてしまった彼女に話しかけてみると、一度小さな鳴き声を上げた後に片言ではあったがたしかに『おいしい』と返してきた。
 俺だけではなくミリアもアンも聞こえていたようで、うれしそうな顔で彼女を見る。
 彼女はそんな俺たちの沸き立つ心など気にしていない様子で再び鼻をひくひくさせて何かの匂いを嗅ぐ。そして俺の方を向いてきた。目と目が合って、俺は一体どうしたのだろうと思ったか思わないぐらいの時、いきなり彼女が俺に抱き着いてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...