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八、アンナのヒーロー
三
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翌朝、大和と右京が鉱山の作業場へ着くと周囲が少しざわついていた。ただならぬ様子のドミニクの隣には、彼と同じ異国の男性が青褪めた顔をしている。
「どうしたんだろうね。あ、大和は此処に居て。俺が聞いてくるから」
そう言って右京は騒がしい人々の中へと溶け込むように入って行った。
一人になった大和は木陰に座り込むと、上から大きな影が落ちてきた。
「あ痛だだぁぁぁ~」
「……お前、また仕事サボってらったんだが?」
木から落ちた大きな影は太一だった。彼は親方の目を盗んでは木の上で昼寝をしていることが常であった。
太一は顎を掻きながら悪びれなく答えた。
「なんもだ。んだって今日だばきっと仕事どころではねえべよ」
「何かあったんだか!? ……鬼熊か!?」
大和の目つきが鋭くなると、太一は慌てて両手を振った。
「なんもなんも!! 炭鉱技師の、ドミニクの仲間の息子が今朝から行方不明になったんだど。これから皆で手分けして捜そうってことで話し合ってらんだ」
あ、でも今日の事は親方には内緒な、と太一は大和に目配せをした。大和は肯定も否定もせずに呆れ顔で太一を見ていると、右京が戻ってきた。
「大和、おまたせー……って、あれ? 何で君も居るの?」
「お前、いつもワァさ失礼でねか!?」
居て悪いかよ、と太一が右京を睨みつけると、右京は柔和な笑顔でそれを受け流した。
「そうそう。聞いてきたんだけど、ちょっと面倒なことになったよ」
右京の話ではドミニクの仲間である、アルフレッドの息子、ノアが家の外で遊んでいたらしいが、そのまま行方不明になったとのこと。
「昨日、アンナさんの背後に小さな男の子がいたでしょ? その子がノアくんだったらしいよ。更に悪い事に……」
「アンナさんも行方不明さなったんだべ?」
右京の言葉を遮って、太一が説明した。
どうやらアルフレッドが慌ててドミニクの家を訪ねて事情を説明したところ、何故かアンナが血相を変えて家を飛び出したみたいだ。
「そんた直ぐに姿どこ消すなんて、何か、神隠しみてえだな」
大和が呟くと、右京と太一はギョッと驚いて彼を見た。
「まさか……ね?」
「ん、んだ。まさか……なぁ?」
「んだ……冗談だ」
真顔で言う大和に二人は呆気に取られ、右京は頭を押さえた。
「はぁぁっ。君が言うと、冗談に聞こえないよ……とりあえず俺らも協力して捜すことになったから。行くよ、大和」
大和は頷いて宿から持って来ていた銃を肩に掛け直すと、右京と山の方へと歩き出した。
「ま、待ってけれ。ワァどこ忘れるなで。ワァも行くど!」
太一も慌てて二人の後を追った。
「どうしたんだろうね。あ、大和は此処に居て。俺が聞いてくるから」
そう言って右京は騒がしい人々の中へと溶け込むように入って行った。
一人になった大和は木陰に座り込むと、上から大きな影が落ちてきた。
「あ痛だだぁぁぁ~」
「……お前、また仕事サボってらったんだが?」
木から落ちた大きな影は太一だった。彼は親方の目を盗んでは木の上で昼寝をしていることが常であった。
太一は顎を掻きながら悪びれなく答えた。
「なんもだ。んだって今日だばきっと仕事どころではねえべよ」
「何かあったんだか!? ……鬼熊か!?」
大和の目つきが鋭くなると、太一は慌てて両手を振った。
「なんもなんも!! 炭鉱技師の、ドミニクの仲間の息子が今朝から行方不明になったんだど。これから皆で手分けして捜そうってことで話し合ってらんだ」
あ、でも今日の事は親方には内緒な、と太一は大和に目配せをした。大和は肯定も否定もせずに呆れ顔で太一を見ていると、右京が戻ってきた。
「大和、おまたせー……って、あれ? 何で君も居るの?」
「お前、いつもワァさ失礼でねか!?」
居て悪いかよ、と太一が右京を睨みつけると、右京は柔和な笑顔でそれを受け流した。
「そうそう。聞いてきたんだけど、ちょっと面倒なことになったよ」
右京の話ではドミニクの仲間である、アルフレッドの息子、ノアが家の外で遊んでいたらしいが、そのまま行方不明になったとのこと。
「昨日、アンナさんの背後に小さな男の子がいたでしょ? その子がノアくんだったらしいよ。更に悪い事に……」
「アンナさんも行方不明さなったんだべ?」
右京の言葉を遮って、太一が説明した。
どうやらアルフレッドが慌ててドミニクの家を訪ねて事情を説明したところ、何故かアンナが血相を変えて家を飛び出したみたいだ。
「そんた直ぐに姿どこ消すなんて、何か、神隠しみてえだな」
大和が呟くと、右京と太一はギョッと驚いて彼を見た。
「まさか……ね?」
「ん、んだ。まさか……なぁ?」
「んだ……冗談だ」
真顔で言う大和に二人は呆気に取られ、右京は頭を押さえた。
「はぁぁっ。君が言うと、冗談に聞こえないよ……とりあえず俺らも協力して捜すことになったから。行くよ、大和」
大和は頷いて宿から持って来ていた銃を肩に掛け直すと、右京と山の方へと歩き出した。
「ま、待ってけれ。ワァどこ忘れるなで。ワァも行くど!」
太一も慌てて二人の後を追った。
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