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九、地獄谷の神
六
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「山神様……これからどうすんだ?」
雪女と別れ、三人は民子と合流するため山を下りている。佐介はモソッと低い声で彼女に尋ねた。
「なして大和がそんた生き方せねばいけねんだ……俺が代わってやれたら……」
項垂れて歩く辰巳の顔色は悪く、声が掠れていた。
山神は何も答えず、ただ真っ直ぐに歩いていた。
『大和……死んだら許さねからな……大和……死んだら許さねからな……』
知らない声が、山神の脳内に纏わりつく。
(煩い煩い煩い!! 儂だって分かっておる! この儂を振り回しおって……)
――儂がコイツらで遊ぼうと思っていたら、いつの間にかコイツらに遊ばれているのではないか!?
自分自身の事なのに不可解なことが多く、山神は苛立っていたが、次第に可笑しく思えてきた。
「……フフッ……クククッ……ハハハハハ!!」
突然、笑い出した山神に、佐介と辰巳は目を丸くした。
「上等だ!! 小僧、死ねるものなら死んでみろ!! 儂の前で死ねるものなら、死んでみろ!!」
――小僧は、死ぬまで儂と生きると言った。――儂と、生きると言った!!
得体の知れない不安に押し潰されないように、彼女は天に向けて叫んだ。
「山神様!?」
呆気に取られている佐介に、山神は言った。
「鬼熊は二頭いる。小僧は天涯孤独ではない。幸か不幸か、異例の出来事が多い。儂が小娘の身体にいる以上、小僧は生きる! あの阿婆擦れ女の言った通りになんてさせるものか!」
山神の強気な発言に、辰巳は背筋を伸ばした。
「んだな。山神様の言う通りだ。俺は自分の命に代えてでも、大和どこ死なせね」
「辰巳さん、大丈夫だ。大和だば死なねえ気がする。あいつ、負けず嫌いだっけ」
気持ちが昂っていた山神と辰巳だったが、佐介によって急に冷めた感情に戻る。
「……負けず嫌いは二の小僧、おぬしの方じゃ」
「佐介くん……悪いども、俺もそう思うど」
「……え!? 俺!?」
目を丸くして自分を指差す佐介に、二人は黙って頷いていた。
雪女と別れ、三人は民子と合流するため山を下りている。佐介はモソッと低い声で彼女に尋ねた。
「なして大和がそんた生き方せねばいけねんだ……俺が代わってやれたら……」
項垂れて歩く辰巳の顔色は悪く、声が掠れていた。
山神は何も答えず、ただ真っ直ぐに歩いていた。
『大和……死んだら許さねからな……大和……死んだら許さねからな……』
知らない声が、山神の脳内に纏わりつく。
(煩い煩い煩い!! 儂だって分かっておる! この儂を振り回しおって……)
――儂がコイツらで遊ぼうと思っていたら、いつの間にかコイツらに遊ばれているのではないか!?
自分自身の事なのに不可解なことが多く、山神は苛立っていたが、次第に可笑しく思えてきた。
「……フフッ……クククッ……ハハハハハ!!」
突然、笑い出した山神に、佐介と辰巳は目を丸くした。
「上等だ!! 小僧、死ねるものなら死んでみろ!! 儂の前で死ねるものなら、死んでみろ!!」
――小僧は、死ぬまで儂と生きると言った。――儂と、生きると言った!!
得体の知れない不安に押し潰されないように、彼女は天に向けて叫んだ。
「山神様!?」
呆気に取られている佐介に、山神は言った。
「鬼熊は二頭いる。小僧は天涯孤独ではない。幸か不幸か、異例の出来事が多い。儂が小娘の身体にいる以上、小僧は生きる! あの阿婆擦れ女の言った通りになんてさせるものか!」
山神の強気な発言に、辰巳は背筋を伸ばした。
「んだな。山神様の言う通りだ。俺は自分の命に代えてでも、大和どこ死なせね」
「辰巳さん、大丈夫だ。大和だば死なねえ気がする。あいつ、負けず嫌いだっけ」
気持ちが昂っていた山神と辰巳だったが、佐介によって急に冷めた感情に戻る。
「……負けず嫌いは二の小僧、おぬしの方じゃ」
「佐介くん……悪いども、俺もそう思うど」
「……え!? 俺!?」
目を丸くして自分を指差す佐介に、二人は黙って頷いていた。
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