従者、カズキの憂鬱 【無色の男と、半端モノ 番外編】

越子

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苦手なモノ

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 最近、カズキの心は落ち着かない。何故かというと、彼のセツに変な虫がついてしまったからだ。その変な虫は、彼の前で一人黙々と刀を振り上げて鍛錬をしている。

(こいつに苦手なモノなんてあるのか?)

 あるのならば是非知りたい! そして、それを活用して少しでもセツとの距離を離したい!!

 そう思うと、カズキの好奇心は止まらない。即行動に出る。

「おい! お前、苦手なモノはあるのか?」

 黙々と素振りをしていたハクは動きを止めると、少し考え込んでから答えた。

「ある」

「え? あるのか!?」

 思わずカズキの声が明るくなる。その瞬間、

「!?」

 突然、ハクはカズキの左肩辺りを刀で突いた。

「このように、が苦手だ」

 思わずカズキの顔が強張った。更に、

「すまない。少々怒らせてしまった……」

 ハクがそう言うと、カズキの身体は動けなくなった。

(この俺が動けないだと!? こいつ、一体俺に何をした!?)

 霊の存在や金縛りを知らないカズキは、全てハクの仕業だと思い込んでしまった。

 ――こいつの弱味を握ろうとしたら、逆に俺の身体が握られてしまった。屈辱だ!


   ◇ ◇ ◇


 ――数十分後。

 ようやく金縛りが解け、カズキの身体が自由になると、ずっと付き添っていたハクが真顔で聞き返した。

「おにいさんも苦手なモノがあるのか?」

「お前だよ!!」

 カズキはゴキゴキと肩を回しながらハクを睨み、即答したが……

「やっぱり、あいつらって仲良いよなぁ」

 彼らのやりとりを木の上から眺めていたセツは一笑していた。
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