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第1章 到達確率0.00001%の未来
平行世界で初指摘
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『チッ。締まらねぇなぁ、俊さん』
『いやいやいやいやいや! そんなこと言われてもね⁈ 一瞬でこんな目の前の景色変わって、驚かない人いないからね⁈』
『慣れろや』
舌打ちと共に何だか納得いかない評価を下されて、藤峰が思わずしてしまった反論は、祀刕に秒で却下された。
『これからは、アンタがいつものお散歩巡回してようが、学コで授業してようが、必要になった時点で引っ攫いに行くかんな? 俺は!』
公開拉致予告。
そう受け取られても文句が言えないような発言も音声として拾った防犯監視カメラは、立ち位置を変えない2人を変わらず中継映像で映し出していた。
話し終わりにクルリ、と左旋回で光の剣を回した祀刕は、それを目の前の瓦礫へ突き立て、柄の真上で両手の指を組む。
その瞬間、彼の姿がド派手な12色の光を纏った。
『Brave戦技! 神聖十二属性守護壁!』
組んでいた指を解きながら上空に向けて両腕を伸ばした祀刕の動きに合わせて、身に纏っていた12色の光が空へと勢いよく舞い上がり、光り輝くオーロラやオパールの遊色効果を思わせる煌めきがドーム状に広がって、J街区30番台区域全体を覆った。
『〈総合強化魔法〉!』
下ろす序でのような軌道で藤峰へと向けた祀刕の左手から白い光りが放たれて、藤峰の頭上から足の方へと下降しながら螺旋を描く。
『うわっ……何だい、これ⁈ 私、まだ龍化してないのに、それでも力が溢れてくる……!』
身体を下から上に力強く持ち上げられた時に近い感覚が自分の内側に湧き上がって来たことへ、両手を拳の形に握りながら藤峰が声を上げた。
『俊さん。あそこ、見えるか?』
『うん?』
藤峰の漏らした感想に、さしたる答えを紡ぐことなく、右手の人差し指で一点を指し示した祀刕に藤峰の視線が彼の方へ向き、示された先へと移動する。
『俺が作った壁の、ギリギリんトコにある右から3番目の崩れたビルとその横にあるビルの境目、細い路地ンとこだ。分かる?』
『?』
言われて目を凝らした藤峰は、普段よりも明確に遠くの景色を捉えることが出来る視覚の変化にやや戸惑いながら、教えられた場所を見た。
そこには、強く張ったビニール幕を右斜め上から乱暴に引き裂いたならこんな感じになるかもしれない、といった風情の裂け目が見えた。
但し、その裂け目の中は他の場所と違って向こう側の景色が見えることはなく、全ての色に黒が混じった赤、緑、青、紫、そして純黒。
その5色が斑らに入り乱れ、ゆっくりと左から右へ回転している、へこんだ球面状に見える代物が覗いていた。
『……っ‼︎ 何、だい⁈ あれ⁈』
見ているだけで乗り物酔いしたような吐き気が込み上げてくる光景に反射で藤峰が口元を覆って尋ねた。
『次元の裂け目っつって、妖魔人どもは、あの裂け目みてぇなトコからこっちの世界に出て来てんだ』
藤峰のした質問に祀刕がそう答えるものの、TVや避難所のモニター中継でそれを聞いていた人々には、2人の視線の先にある物は画面外で見えなかった。
「何だと⁈」
「そんな話し、初めて知った……」
けれど、この世界ではこれまで誰も知らなかったその情報に円出と伍耶が驚愕の声を溢し。
「つか、それを見せろよ、それを! カメラ回せ! アホTV!」
蓮夜が八つ当たりじみた声音で、画面に齧りつかんばかりの勢いで、そう要求を飛ばしていた。
放送局側も祀刕の説明を聞いて、かなり慌てているのだろう。
“それ” が見えるアングルを探しているらしく、映像が何度か乱れたり、入れ替わったりしたものの、祀刕が藤峰に見せているものは、どの防犯監視カメラ映像にも映り込まないようで、映像は最初の位置 ── 2人を横から捉えている画面 ── に戻っていた。
『いやいやいやいやいや! そんなこと言われてもね⁈ 一瞬でこんな目の前の景色変わって、驚かない人いないからね⁈』
『慣れろや』
舌打ちと共に何だか納得いかない評価を下されて、藤峰が思わずしてしまった反論は、祀刕に秒で却下された。
『これからは、アンタがいつものお散歩巡回してようが、学コで授業してようが、必要になった時点で引っ攫いに行くかんな? 俺は!』
公開拉致予告。
そう受け取られても文句が言えないような発言も音声として拾った防犯監視カメラは、立ち位置を変えない2人を変わらず中継映像で映し出していた。
話し終わりにクルリ、と左旋回で光の剣を回した祀刕は、それを目の前の瓦礫へ突き立て、柄の真上で両手の指を組む。
その瞬間、彼の姿がド派手な12色の光を纏った。
『Brave戦技! 神聖十二属性守護壁!』
組んでいた指を解きながら上空に向けて両腕を伸ばした祀刕の動きに合わせて、身に纏っていた12色の光が空へと勢いよく舞い上がり、光り輝くオーロラやオパールの遊色効果を思わせる煌めきがドーム状に広がって、J街区30番台区域全体を覆った。
『〈総合強化魔法〉!』
下ろす序でのような軌道で藤峰へと向けた祀刕の左手から白い光りが放たれて、藤峰の頭上から足の方へと下降しながら螺旋を描く。
『うわっ……何だい、これ⁈ 私、まだ龍化してないのに、それでも力が溢れてくる……!』
身体を下から上に力強く持ち上げられた時に近い感覚が自分の内側に湧き上がって来たことへ、両手を拳の形に握りながら藤峰が声を上げた。
『俊さん。あそこ、見えるか?』
『うん?』
藤峰の漏らした感想に、さしたる答えを紡ぐことなく、右手の人差し指で一点を指し示した祀刕に藤峰の視線が彼の方へ向き、示された先へと移動する。
『俺が作った壁の、ギリギリんトコにある右から3番目の崩れたビルとその横にあるビルの境目、細い路地ンとこだ。分かる?』
『?』
言われて目を凝らした藤峰は、普段よりも明確に遠くの景色を捉えることが出来る視覚の変化にやや戸惑いながら、教えられた場所を見た。
そこには、強く張ったビニール幕を右斜め上から乱暴に引き裂いたならこんな感じになるかもしれない、といった風情の裂け目が見えた。
但し、その裂け目の中は他の場所と違って向こう側の景色が見えることはなく、全ての色に黒が混じった赤、緑、青、紫、そして純黒。
その5色が斑らに入り乱れ、ゆっくりと左から右へ回転している、へこんだ球面状に見える代物が覗いていた。
『……っ‼︎ 何、だい⁈ あれ⁈』
見ているだけで乗り物酔いしたような吐き気が込み上げてくる光景に反射で藤峰が口元を覆って尋ねた。
『次元の裂け目っつって、妖魔人どもは、あの裂け目みてぇなトコからこっちの世界に出て来てんだ』
藤峰のした質問に祀刕がそう答えるものの、TVや避難所のモニター中継でそれを聞いていた人々には、2人の視線の先にある物は画面外で見えなかった。
「何だと⁈」
「そんな話し、初めて知った……」
けれど、この世界ではこれまで誰も知らなかったその情報に円出と伍耶が驚愕の声を溢し。
「つか、それを見せろよ、それを! カメラ回せ! アホTV!」
蓮夜が八つ当たりじみた声音で、画面に齧りつかんばかりの勢いで、そう要求を飛ばしていた。
放送局側も祀刕の説明を聞いて、かなり慌てているのだろう。
“それ” が見えるアングルを探しているらしく、映像が何度か乱れたり、入れ替わったりしたものの、祀刕が藤峰に見せているものは、どの防犯監視カメラ映像にも映り込まないようで、映像は最初の位置 ── 2人を横から捉えている画面 ── に戻っていた。
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