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第1章 到達確率0.00001%の未来
例え世界が変わっても
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「……さーくん……」
気遣わしげな口調で愛称を紡ぎながら祀刕に傍寄った伍耶は、そっと彼の二の腕辺りへ手を伸ばす。
そちらへ目を向けたことで自分がまだ勇者としての装備を身につけたままだったことを思い出した祀刕は、何処からともなく取り出した棒を左手へと握った。
錫杖頭や口金飾りを思わせる変形した円と重なり合い、交差する渦。
木製のように見えるが、細工として施すには困難だろう曲線を描くそれを左回りにクルッと回すと祀刕が身につけていた装備は、一瞬にして守護者高等学校の特別推薦入学者しか着れないという制服に変わってしまった。
確かに布地を握っていた筈なのに、その部分すらも制服へと変わってしまったのを目にした伍耶が、ぎゅっと眉根を寄せ、何故か物凄く不満気な空気を纏った上目遣いで祀刕のことを見やった。
「……ンだよ?」
「勇者のさーくんが、僕の知ってるさーくんと入れ替わっちゃった理由、僕も知りたい!」
上目遣いのまま訴えるように告げた伍耶に祀刕の目が、あからさまな色で “コイツの我儘も天然かい” とばかり呆れた様相を浮かべていた。
けれど。
「最終的に入れ替わりを決定したのは管理界神だ。さっきも言ったが、必要なくなった世界から俺を引っこ抜いて、必要な世界に放り込む事にしたってのがその理由だ」
元の世界での常通り、祀刕は伍耶に敗退し、ちゃんと答えを返していた。
「僕の知ってるさーくんが満たしちゃった2つは?」
「1つは、この世界のキーパーソンの1人であるお前と良好な関係を築けなかったこと」
「えっ⁈ 僕っ⁈」
まさか条件の中に自分が関わる事柄があるなんて考えていなかったのだろう伍耶が、素っ頓狂な声を疑問符と共に吐き出した。
「もう1つは、最終的にお前と共に戦わなければならない俊さんがくたばりかけてんのに、俊さんにもお前にも自分から何の働きかけもしなかったことだ」
「私も⁈」
この世界に於ける藤峰と祀刕の関係は、教師と生徒の域を出ない物であったし、余命宣告を受ける前から「きっと自分は長くないだろう」と判断したからこそ後継者になりそうな人物を探す為に守護者高等学校に非常勤講師として入り込むことを〈戦士〉協会も拠点政府も了承してくれていた。
けれど、それはあくまで学内の〈戦士〉科に限った話しであり、伍耶の在籍している普通科に藤峰自身が足を運ぶ機会なぞ殆ど存在してはいなかった。
(……祀刕君と伍耶君とは偶然顔を合わせることが多くて、妙に縁があるなぁ、なんて思っていたけれど、ただの偶然なんかじゃなくて、ちゃんと意味あったんだなぁ……)
藤峰の中で、ぼへらっ、とした感想やら感慨やら起こっていた事象に関する理解やらが浮かんでいる最中でも祀刕の話しは続く。
「けどこれは世界歴史記録保存映像書の取り扱い権限でも持ってなきゃ、この世界が正しく存続して行く為には、自分が2人を繋ぐ重要なコネクトリングの役割を果たさなきゃいけない存在なんだ、なんてことは分かる訳がねぇ。だから言ったんだ。この世界の希叶 祀刕が満たしちまった条件は、勇者じゃねぇ “俺” には回避不能だって」
「確かにな。自分の存在が世界に齎す影響がどれだけあって、どんな風に自分の言動が世界を左右することになるかなぞ、一介の少年が日々意識するようなことじゃない」
自分ですらそんな意識が芽生えたのは、拠点のNo.1〈戦士〉の座に就いてからだった気がした円出は、勇者である祀刕の言葉に同意することで、この世界の祀刕が知らず課せられていた役割を果たせていなかったことを擁護してくれた。
「そういうこった」
この世界の両親にこの話しを聞かせなかったのも求められていた所で、本人にはどうしようもなかった条件でもあったからなのだろうな、というのはこの場の誰もが察してくれていた。
「なら勇者のさーくんが満たしちゃった条件っていうのは?」
「……………」
伍耶が念押し確認するかのように話しを進めて来て、祀刕は、つい、視線を世界歴史記録保存映像書の本文へと逃してしまった。
違うページが開かれていた筈のそれは、ちゃっかりと伍耶の質問に対する答えが今以ってしっかりと記録されているページへと開き直されていて。
それを “逃げんで説明しろ” と “上” から言われているのと同義だと受け取った祀刕は、物凄く嫌そうな顔をした。
「世界には、それぞれ個別にWorld riddleってのが存在すんだけどよ……」
「わーるどりどる?」
「まぁ、簡単に言うと学校の七不思議みてぇのが、数増えて世界規模になったヤツのことだ。で、まあ……俺の元居た世界には、全部で16個それがあったんだけどよ。この世界歴史記録保存映像書に対する、俺の持ってる取り扱い権限だと、それって隠し項目になっててよ……その……つい……」
「もしかして、それ探して16個全部見つけちゃったの⁈」
実に言いにくそうな具合で説明を始めた祀刕の話しを傍近くで聞いていた伍耶は、自分の知る彼ならやりかねない、とでも思ったのだろう。
最後まで話しを聞かぬまま、ズバッと核心を突いてみせた。
「まぁ、な? 知らなかったんだけどよー。それが条件の1つ目だったみてーなんだよなぁ……」
「さぁーくぅん?」
「気になっちまったモンしょうがねぇだろ⁈」
「この世界の皆が、キミの知ってる皆と変わんないみたいなこと、さっきからちょいちょい言ってるけどさー? キミだって本質的には変わってないんじゃんかー!」
「当たり前ぇだバカタレ! 俺が勇者かどうかで生じた違い以外でも世界の在り方が変わっとったら、もうそれは平行世界じゃなくて立派な異世界だっつの!」
「そう言うもんなのー?」
よく分かんない、とばかりに言い放ってプクッと片頬を膨らませる伍耶の姿は、祀刕から見ても元の世界の彼とそう大差ないように見えた。
「だけどまぁ、何とかレコードっていう、その光る本見れば何でもかんでも全部分かるのに、それだけ隠されてたら確かに俺でも気にはなる」
「そうね。私でも探してみたくなっちゃうかも……」
「それで地雷踏んでりゃ世話ねぇけどな」
「ぐっ」
蓮夜、瑠璃華、翔舞が順番にフォローとツッコミに類する言葉を口にして祀刕が思わず喉を詰まらせた。
「だが、今話してくれたことは、この世界に於ける祀刕君の両親に対して条件の答えを濁したり、最終的な原因が君にあるとは言い難い内容に感じるよ? 本命は、最後の1つなのかい?」
「ヘッ。世界が変わってもそう言うトコ鋭いのは変わんねぇんだな、俊さんって」
伍耶の言葉ではないが、皆それぞれ、肝心な部分は同じ人物であることを事あるごとに実感してしまう。
「 “最後のダメ押し条件” って言うのは、何だったんだい?」
「俺が」
大きく息を吐き出してから諦めたように祀刕が話し出す。
「思い描いていただけだった、その光景を。実際に目の前にした時」
今でも思い出せる、あの景色。
「 “ああ、これで俺の役目は終わったな” ……と」
藤峰と伍耶が、共に自身の〈英雄〉遺伝子を発現させ、戦場に並び立って戦う、その背中。
「そこで、満足しちまったんだよな……俺」
湧き上がる頼もしさと安堵感。
この光景を目の前に出来た喜びと、ほんのちょっとの寂しさと共に確かに感じてしまったそれ。
「もう俺が、アレコレ世話焼かなくても大丈夫なんだ、って。心の底からそう思っちまった」
その時のことを思い出しながら語っているのだろうことが容易に想像出来る、複雑な彩をした祀刕の笑みは、ただその場に居合わせることになってしまった看護士の目にも切ない物に映っていた。
「それが……決定打になった理由だったんだとよ」
「その光景って何?」
「言えない」
何だかんだと暴露勇者の面目躍如的に全て語ってくれていた祀刕が、これまでと違い、キッパリとその一言を言い切った。
「この世界では絶対、まだ起こってねぇことだし。俺自身にしてみりゃその光景は、起こって欲しい出来事なんだ。この世界でもその未来が来る確率を阻害しない為に。実現させる為に。これ以上の詳細は、話せない」
己が未だ、脳裏へと鮮明に思い浮かべることの出来る光景に対する説明を祀刕は完全に拒絶した。
気遣わしげな口調で愛称を紡ぎながら祀刕に傍寄った伍耶は、そっと彼の二の腕辺りへ手を伸ばす。
そちらへ目を向けたことで自分がまだ勇者としての装備を身につけたままだったことを思い出した祀刕は、何処からともなく取り出した棒を左手へと握った。
錫杖頭や口金飾りを思わせる変形した円と重なり合い、交差する渦。
木製のように見えるが、細工として施すには困難だろう曲線を描くそれを左回りにクルッと回すと祀刕が身につけていた装備は、一瞬にして守護者高等学校の特別推薦入学者しか着れないという制服に変わってしまった。
確かに布地を握っていた筈なのに、その部分すらも制服へと変わってしまったのを目にした伍耶が、ぎゅっと眉根を寄せ、何故か物凄く不満気な空気を纏った上目遣いで祀刕のことを見やった。
「……ンだよ?」
「勇者のさーくんが、僕の知ってるさーくんと入れ替わっちゃった理由、僕も知りたい!」
上目遣いのまま訴えるように告げた伍耶に祀刕の目が、あからさまな色で “コイツの我儘も天然かい” とばかり呆れた様相を浮かべていた。
けれど。
「最終的に入れ替わりを決定したのは管理界神だ。さっきも言ったが、必要なくなった世界から俺を引っこ抜いて、必要な世界に放り込む事にしたってのがその理由だ」
元の世界での常通り、祀刕は伍耶に敗退し、ちゃんと答えを返していた。
「僕の知ってるさーくんが満たしちゃった2つは?」
「1つは、この世界のキーパーソンの1人であるお前と良好な関係を築けなかったこと」
「えっ⁈ 僕っ⁈」
まさか条件の中に自分が関わる事柄があるなんて考えていなかったのだろう伍耶が、素っ頓狂な声を疑問符と共に吐き出した。
「もう1つは、最終的にお前と共に戦わなければならない俊さんがくたばりかけてんのに、俊さんにもお前にも自分から何の働きかけもしなかったことだ」
「私も⁈」
この世界に於ける藤峰と祀刕の関係は、教師と生徒の域を出ない物であったし、余命宣告を受ける前から「きっと自分は長くないだろう」と判断したからこそ後継者になりそうな人物を探す為に守護者高等学校に非常勤講師として入り込むことを〈戦士〉協会も拠点政府も了承してくれていた。
けれど、それはあくまで学内の〈戦士〉科に限った話しであり、伍耶の在籍している普通科に藤峰自身が足を運ぶ機会なぞ殆ど存在してはいなかった。
(……祀刕君と伍耶君とは偶然顔を合わせることが多くて、妙に縁があるなぁ、なんて思っていたけれど、ただの偶然なんかじゃなくて、ちゃんと意味あったんだなぁ……)
藤峰の中で、ぼへらっ、とした感想やら感慨やら起こっていた事象に関する理解やらが浮かんでいる最中でも祀刕の話しは続く。
「けどこれは世界歴史記録保存映像書の取り扱い権限でも持ってなきゃ、この世界が正しく存続して行く為には、自分が2人を繋ぐ重要なコネクトリングの役割を果たさなきゃいけない存在なんだ、なんてことは分かる訳がねぇ。だから言ったんだ。この世界の希叶 祀刕が満たしちまった条件は、勇者じゃねぇ “俺” には回避不能だって」
「確かにな。自分の存在が世界に齎す影響がどれだけあって、どんな風に自分の言動が世界を左右することになるかなぞ、一介の少年が日々意識するようなことじゃない」
自分ですらそんな意識が芽生えたのは、拠点のNo.1〈戦士〉の座に就いてからだった気がした円出は、勇者である祀刕の言葉に同意することで、この世界の祀刕が知らず課せられていた役割を果たせていなかったことを擁護してくれた。
「そういうこった」
この世界の両親にこの話しを聞かせなかったのも求められていた所で、本人にはどうしようもなかった条件でもあったからなのだろうな、というのはこの場の誰もが察してくれていた。
「なら勇者のさーくんが満たしちゃった条件っていうのは?」
「……………」
伍耶が念押し確認するかのように話しを進めて来て、祀刕は、つい、視線を世界歴史記録保存映像書の本文へと逃してしまった。
違うページが開かれていた筈のそれは、ちゃっかりと伍耶の質問に対する答えが今以ってしっかりと記録されているページへと開き直されていて。
それを “逃げんで説明しろ” と “上” から言われているのと同義だと受け取った祀刕は、物凄く嫌そうな顔をした。
「世界には、それぞれ個別にWorld riddleってのが存在すんだけどよ……」
「わーるどりどる?」
「まぁ、簡単に言うと学校の七不思議みてぇのが、数増えて世界規模になったヤツのことだ。で、まあ……俺の元居た世界には、全部で16個それがあったんだけどよ。この世界歴史記録保存映像書に対する、俺の持ってる取り扱い権限だと、それって隠し項目になっててよ……その……つい……」
「もしかして、それ探して16個全部見つけちゃったの⁈」
実に言いにくそうな具合で説明を始めた祀刕の話しを傍近くで聞いていた伍耶は、自分の知る彼ならやりかねない、とでも思ったのだろう。
最後まで話しを聞かぬまま、ズバッと核心を突いてみせた。
「まぁ、な? 知らなかったんだけどよー。それが条件の1つ目だったみてーなんだよなぁ……」
「さぁーくぅん?」
「気になっちまったモンしょうがねぇだろ⁈」
「この世界の皆が、キミの知ってる皆と変わんないみたいなこと、さっきからちょいちょい言ってるけどさー? キミだって本質的には変わってないんじゃんかー!」
「当たり前ぇだバカタレ! 俺が勇者かどうかで生じた違い以外でも世界の在り方が変わっとったら、もうそれは平行世界じゃなくて立派な異世界だっつの!」
「そう言うもんなのー?」
よく分かんない、とばかりに言い放ってプクッと片頬を膨らませる伍耶の姿は、祀刕から見ても元の世界の彼とそう大差ないように見えた。
「だけどまぁ、何とかレコードっていう、その光る本見れば何でもかんでも全部分かるのに、それだけ隠されてたら確かに俺でも気にはなる」
「そうね。私でも探してみたくなっちゃうかも……」
「それで地雷踏んでりゃ世話ねぇけどな」
「ぐっ」
蓮夜、瑠璃華、翔舞が順番にフォローとツッコミに類する言葉を口にして祀刕が思わず喉を詰まらせた。
「だが、今話してくれたことは、この世界に於ける祀刕君の両親に対して条件の答えを濁したり、最終的な原因が君にあるとは言い難い内容に感じるよ? 本命は、最後の1つなのかい?」
「ヘッ。世界が変わってもそう言うトコ鋭いのは変わんねぇんだな、俊さんって」
伍耶の言葉ではないが、皆それぞれ、肝心な部分は同じ人物であることを事あるごとに実感してしまう。
「 “最後のダメ押し条件” って言うのは、何だったんだい?」
「俺が」
大きく息を吐き出してから諦めたように祀刕が話し出す。
「思い描いていただけだった、その光景を。実際に目の前にした時」
今でも思い出せる、あの景色。
「 “ああ、これで俺の役目は終わったな” ……と」
藤峰と伍耶が、共に自身の〈英雄〉遺伝子を発現させ、戦場に並び立って戦う、その背中。
「そこで、満足しちまったんだよな……俺」
湧き上がる頼もしさと安堵感。
この光景を目の前に出来た喜びと、ほんのちょっとの寂しさと共に確かに感じてしまったそれ。
「もう俺が、アレコレ世話焼かなくても大丈夫なんだ、って。心の底からそう思っちまった」
その時のことを思い出しながら語っているのだろうことが容易に想像出来る、複雑な彩をした祀刕の笑みは、ただその場に居合わせることになってしまった看護士の目にも切ない物に映っていた。
「それが……決定打になった理由だったんだとよ」
「その光景って何?」
「言えない」
何だかんだと暴露勇者の面目躍如的に全て語ってくれていた祀刕が、これまでと違い、キッパリとその一言を言い切った。
「この世界では絶対、まだ起こってねぇことだし。俺自身にしてみりゃその光景は、起こって欲しい出来事なんだ。この世界でもその未来が来る確率を阻害しない為に。実現させる為に。これ以上の詳細は、話せない」
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