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第4章 集まれ仲間達
辺境伯領の落日 -5-
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俺達がブレイダゾニオン砦に辿り着いた時、王都を先に出立しているという王軍の精鋭部隊は、まだ到着をしていなかった。
「ここからは、わたしめが、さきにまいります」
「たのんだ」
砦の中に入るなら辺境伯家の者である俺が先頭に立つ方が問題が起きにくいだろうと考えて申し出たことは、2つ返事で了承された。
砦の大扉は閉じられている。
それは、この砦に在籍している部隊、その殆どが砦の中に居るということだ。
俺は大扉の右側に設えられている、普通の大きさをした扉の前に立ち、決められた回数と間を保ってそこをノックした。
扉上の小窓が横に開いて、立哨当番に当たっている者が顔を見せた。
「あれ? 若様?」
「ああ。さきぶれもださずにもどってきてすまんな。かきゅうのようけんで、ちちうえにおあいしたい。とりでのなかにおられるか?」
「お待ちください、今、開けます」
問いかけた俺に立哨兵が一旦、小窓を閉じて扉の鍵を開けてくれた。
一瞬、俺の背後に目をやって、そこに居るのが子供ばかりなことに眉根を寄せたが、入口自体は譲ってくれて、横に立ち位置を変えた彼は、俺に目を戻した。
「若様。辺境伯の旦那は、ちょっと前に気になることがあるっていって、巡回の連中と一緒に砦を出ましたが、ここでお待ちになりますか?」
立哨兵がそう言った次の瞬間、左右の瞳の色が違う4色頭の男の子が声を上げる。
「 “ルートC” だ! アリィ、フラン、アルフレッド! おれといっしょにこい! チェックポイントにてんいするぞ!」
「えっ?」
唐突に含まれた自分の名に疑問符を口にしたけれど「アリィ」「フラン」と呼ばれた2人の女の子は、俺と違い、戸惑うことなく返事をしていた。
「OK!」
「かしこまりました」
「エンディ、ちずまほうでみたかんじ、あと1じかんはんで、おうこくぐんがとうちゃくする。ルナといっしょに、ここでのたいおう、たのんでいいか?」
「まかせて」
「わかったわ」
2人の返事を聞いた彼は、次の指示をエンディミオン殿下とピンクゴールドの髪の女の子に飛ばし、頷きと了承を示す単語によって、それは請け負われた。
何だ? どういうことだ?
このパーティが、勇者パーティならば、指示を出すリーダーはエンディミオン殿下でなくては、おかしいのじゃないのか?
「マックスとリリエンヌはエンディとルナのサポートだ。マックス。こっきょうのにしがわから、めェはなすなよ?」
「わかりました、ししょう」
「リリエンヌ。とりでにふしょうへいがたどりついたら、いちじちりょうよろしくね?」
「おまかせくださいまし。エルドレッドさまも、おきをつけて」
「うん」
銀髪の男の子が、彼のことを師匠と呼び、淡い金髪の女の子も完全に彼の言葉に従って見送る態勢だった。
……ダメだ。
このパーティの内側にまだ入れていない俺では、外から見ているだけなのと変わらないレベル過ぎて分からない。
彼等の中での命令系統は、一体どうなっているんだろう?
「あ、そうだわ! エル! これ、アルフレッドのそうび! ポイントについたら、なかからだしてわたしてあげて!」
ピンクゴールドの髪の女の子が、思い出したように言って彼へと投げ渡したのは、市井で財布として使われているのと同じ型の小さな口締め革袋だった。
「サンキュ! いくぞ!」
彼女から放られた皮袋を左手で受け止め、何かの構えのように右手を上げた彼の傍に指名された女の子2人が立つ。
「アルフレッド!」
「あ、はいっ」
こいこい、とばかりに革袋を掴んだままの左手、その薬指と小指だけで手招かれた俺は、何が何だか全然分からないまま、慌てて彼の傍へと走り寄った。
「ここからは、わたしめが、さきにまいります」
「たのんだ」
砦の中に入るなら辺境伯家の者である俺が先頭に立つ方が問題が起きにくいだろうと考えて申し出たことは、2つ返事で了承された。
砦の大扉は閉じられている。
それは、この砦に在籍している部隊、その殆どが砦の中に居るということだ。
俺は大扉の右側に設えられている、普通の大きさをした扉の前に立ち、決められた回数と間を保ってそこをノックした。
扉上の小窓が横に開いて、立哨当番に当たっている者が顔を見せた。
「あれ? 若様?」
「ああ。さきぶれもださずにもどってきてすまんな。かきゅうのようけんで、ちちうえにおあいしたい。とりでのなかにおられるか?」
「お待ちください、今、開けます」
問いかけた俺に立哨兵が一旦、小窓を閉じて扉の鍵を開けてくれた。
一瞬、俺の背後に目をやって、そこに居るのが子供ばかりなことに眉根を寄せたが、入口自体は譲ってくれて、横に立ち位置を変えた彼は、俺に目を戻した。
「若様。辺境伯の旦那は、ちょっと前に気になることがあるっていって、巡回の連中と一緒に砦を出ましたが、ここでお待ちになりますか?」
立哨兵がそう言った次の瞬間、左右の瞳の色が違う4色頭の男の子が声を上げる。
「 “ルートC” だ! アリィ、フラン、アルフレッド! おれといっしょにこい! チェックポイントにてんいするぞ!」
「えっ?」
唐突に含まれた自分の名に疑問符を口にしたけれど「アリィ」「フラン」と呼ばれた2人の女の子は、俺と違い、戸惑うことなく返事をしていた。
「OK!」
「かしこまりました」
「エンディ、ちずまほうでみたかんじ、あと1じかんはんで、おうこくぐんがとうちゃくする。ルナといっしょに、ここでのたいおう、たのんでいいか?」
「まかせて」
「わかったわ」
2人の返事を聞いた彼は、次の指示をエンディミオン殿下とピンクゴールドの髪の女の子に飛ばし、頷きと了承を示す単語によって、それは請け負われた。
何だ? どういうことだ?
このパーティが、勇者パーティならば、指示を出すリーダーはエンディミオン殿下でなくては、おかしいのじゃないのか?
「マックスとリリエンヌはエンディとルナのサポートだ。マックス。こっきょうのにしがわから、めェはなすなよ?」
「わかりました、ししょう」
「リリエンヌ。とりでにふしょうへいがたどりついたら、いちじちりょうよろしくね?」
「おまかせくださいまし。エルドレッドさまも、おきをつけて」
「うん」
銀髪の男の子が、彼のことを師匠と呼び、淡い金髪の女の子も完全に彼の言葉に従って見送る態勢だった。
……ダメだ。
このパーティの内側にまだ入れていない俺では、外から見ているだけなのと変わらないレベル過ぎて分からない。
彼等の中での命令系統は、一体どうなっているんだろう?
「あ、そうだわ! エル! これ、アルフレッドのそうび! ポイントについたら、なかからだしてわたしてあげて!」
ピンクゴールドの髪の女の子が、思い出したように言って彼へと投げ渡したのは、市井で財布として使われているのと同じ型の小さな口締め革袋だった。
「サンキュ! いくぞ!」
彼女から放られた皮袋を左手で受け止め、何かの構えのように右手を上げた彼の傍に指名された女の子2人が立つ。
「アルフレッド!」
「あ、はいっ」
こいこい、とばかりに革袋を掴んだままの左手、その薬指と小指だけで手招かれた俺は、何が何だか全然分からないまま、慌てて彼の傍へと走り寄った。
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