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第4章 集まれ仲間達
勇者は保留で -4-
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「どうして、ルナさまが、ここにいるの?」
「マックスさまの、けんじゃのしょうごうが、かくせいして、とりでようへきのせんとうは、おわったから、かせいにきたのよ」
ルナ様が、そう答えた後、僕の額からアリィの額が離れて行った。
「少し、力を使い過ぎたようですね。アリューシャ嬢は、意識がないようです」
その言葉通り、力なく後ろに寄りかからせる形でアリィの身体を僕から離し、支えたのはマックスだった。
時々見えていただけだった瞳の奥の印が金色になってずっと見えている。
話す言葉もハッキリしていて、大人達とあまり変わらないように聞こえた。
僕は左手を床について、仰向けに寝転がっていた身を起こす。
僕の頭の下にあったのは、アリィの太腿だったみたいだ。
(……枕、この柔らかさだったら、すぐ熟睡できそう……)
我ながらろくでもないことを考えながら防壁の上で片方の膝をつく形で座り、アリィを支えてくれているマックスの方へと両手を伸ばした。
僕が無言のまま何を要求しているのか察してくれたマックスは、小さく笑ってから、支えていたアリィの身体を僕に受け渡してくれた。
くったりと頼りなく僕に寄りかかるアリィの身体は、柔らかくて、さっき感じたのと同じ、花のいい香りがした。
僕の肩や膝にかかる、アリィの重さが気持ちいい、と思う不思議な感じ。
「アリィ……」
「あのね、エンディさま。あなたとマックスさまとアルっぴは、しにかけて、エルっちにたすけられたんですって。おぼえてる?」
死にかけた、と言われて思い出すのは、今はもういない、空飛ぶ生腐屍者・ドラゴンの尻尾に吹っ飛ばされたこと。
うん、まぁ、痛みは感じなかったけど、確かにあれは、死んでもおかしくない一撃を食らったな、と素直に思う。
でも、覚えているのはそこまでで、死にかけた恐怖とか、痛みとか、苦しさなんて感覚は僕に残っていなかったので、首を横に振った。
「死者の国の手前にある、狭間の国という普通は魂が通過するだけの所で、僕達の魂は、上位階精霊王達と精霊の長によって留め置かれました」
マックスが状況を僕に理解させる為にしてくれた説明は、知らない単語も多くてすぐに「そうなんだ」と飲み込めるものではなく、僕はアリィの様子を目だけで窺いながら、彼の話しを黙って聞いていた。
「僕達を助けたいなら、上位階精霊王の試練を受けて彼等と契約し、その力を使うしかないと迫られた師匠は、迷いもせずにそれを了承して、僕達の魂をこの世界に送り還してくれたのです」
「じゃあ、エルはもう “ろくせいれい” のまどうじゅつしじゃなくて、もっとかず、ふえちゃったんだね」
「はい。無属性に精霊はいないので、11属性分の精霊王との契約をしていることになります」
「……エルじしんは、それ、へいきなの?」
単に僕が生き返ったんだという話しには聞こえなくて、僕はそう聞いた。
全属性でも希少なのにエルは前代未聞と言われた精霊王との契約者だった。
それが増えた。
恐らく、王国始まって以来の話しだと思う。
僕達を救う為……逆に言うならそこまでして、それだけの存在にならないと僕達は助けられなかったということだ。
エルに何の危険も不利益もないなんて、思えなかった。
「………アリューシャ嬢は、送り返されたエンディミオン殿下の魂を再び身体に定着させる為、聖女の力を使われました。恐らくアルフレッド様の魂にも愛巫女であるフランソワーヌ嬢が、同じことをしているものと思われます」
「アリィは、どうやってそれがひつようだってしったの?」
「師匠は、僕達を送り出す時、女神サーシャエール様の元に居られました。なので、師匠かサーシャエール様から2人には通達があったものと思われます。僕は、賢者に覚醒出来たので、その序でみたいな感じで定着出来たようです」
序で。
大事なことの筈だし、自分のことなのに扱いが軽い気がして、僕は思わず胡乱な目をマックスに向けてしまった。
「マックスさまの、けんじゃのしょうごうが、かくせいして、とりでようへきのせんとうは、おわったから、かせいにきたのよ」
ルナ様が、そう答えた後、僕の額からアリィの額が離れて行った。
「少し、力を使い過ぎたようですね。アリューシャ嬢は、意識がないようです」
その言葉通り、力なく後ろに寄りかからせる形でアリィの身体を僕から離し、支えたのはマックスだった。
時々見えていただけだった瞳の奥の印が金色になってずっと見えている。
話す言葉もハッキリしていて、大人達とあまり変わらないように聞こえた。
僕は左手を床について、仰向けに寝転がっていた身を起こす。
僕の頭の下にあったのは、アリィの太腿だったみたいだ。
(……枕、この柔らかさだったら、すぐ熟睡できそう……)
我ながらろくでもないことを考えながら防壁の上で片方の膝をつく形で座り、アリィを支えてくれているマックスの方へと両手を伸ばした。
僕が無言のまま何を要求しているのか察してくれたマックスは、小さく笑ってから、支えていたアリィの身体を僕に受け渡してくれた。
くったりと頼りなく僕に寄りかかるアリィの身体は、柔らかくて、さっき感じたのと同じ、花のいい香りがした。
僕の肩や膝にかかる、アリィの重さが気持ちいい、と思う不思議な感じ。
「アリィ……」
「あのね、エンディさま。あなたとマックスさまとアルっぴは、しにかけて、エルっちにたすけられたんですって。おぼえてる?」
死にかけた、と言われて思い出すのは、今はもういない、空飛ぶ生腐屍者・ドラゴンの尻尾に吹っ飛ばされたこと。
うん、まぁ、痛みは感じなかったけど、確かにあれは、死んでもおかしくない一撃を食らったな、と素直に思う。
でも、覚えているのはそこまでで、死にかけた恐怖とか、痛みとか、苦しさなんて感覚は僕に残っていなかったので、首を横に振った。
「死者の国の手前にある、狭間の国という普通は魂が通過するだけの所で、僕達の魂は、上位階精霊王達と精霊の長によって留め置かれました」
マックスが状況を僕に理解させる為にしてくれた説明は、知らない単語も多くてすぐに「そうなんだ」と飲み込めるものではなく、僕はアリィの様子を目だけで窺いながら、彼の話しを黙って聞いていた。
「僕達を助けたいなら、上位階精霊王の試練を受けて彼等と契約し、その力を使うしかないと迫られた師匠は、迷いもせずにそれを了承して、僕達の魂をこの世界に送り還してくれたのです」
「じゃあ、エルはもう “ろくせいれい” のまどうじゅつしじゃなくて、もっとかず、ふえちゃったんだね」
「はい。無属性に精霊はいないので、11属性分の精霊王との契約をしていることになります」
「……エルじしんは、それ、へいきなの?」
単に僕が生き返ったんだという話しには聞こえなくて、僕はそう聞いた。
全属性でも希少なのにエルは前代未聞と言われた精霊王との契約者だった。
それが増えた。
恐らく、王国始まって以来の話しだと思う。
僕達を救う為……逆に言うならそこまでして、それだけの存在にならないと僕達は助けられなかったということだ。
エルに何の危険も不利益もないなんて、思えなかった。
「………アリューシャ嬢は、送り返されたエンディミオン殿下の魂を再び身体に定着させる為、聖女の力を使われました。恐らくアルフレッド様の魂にも愛巫女であるフランソワーヌ嬢が、同じことをしているものと思われます」
「アリィは、どうやってそれがひつようだってしったの?」
「師匠は、僕達を送り出す時、女神サーシャエール様の元に居られました。なので、師匠かサーシャエール様から2人には通達があったものと思われます。僕は、賢者に覚醒出来たので、その序でみたいな感じで定着出来たようです」
序で。
大事なことの筈だし、自分のことなのに扱いが軽い気がして、僕は思わず胡乱な目をマックスに向けてしまった。
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