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第4章 集まれ仲間達
微妙な気持ち
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(……私、しーらないっと)
マックス様は、よく分かんない理由で、同い年なエルのことを凄い人だと認識しているらしくて ── そらまぁ、アイツ精神的には大人の男だもんね ── 事あるごとにエルのことを師匠と呼んで、自分の分からないことや判断のつかないことを彼に丸投げする癖がつきつつあった。
勿論、これは “花キミ” 時のマックス様にはなかった癖だけど、アイツのお陰で、独り悩んでドツボに嵌るマックス様の懊悩フラグは、永遠の眠りについたようなので、私的には寧ろOK,gj!だったから、放置することにしている。
(世界歴史記録保存映像書とやらも女心のトリセツまでは載ってないのかしらね?)
それがどんなもんなのか知らない私は、簡単にそう考えて、一旦、メタ思考に蓋をした。
「エンディさま。アリィ、しばらくめをさまさないかんじ?」
「……うん。たぶん」
左の肩と立てた足の内側を使って意識のないアリィを支えているエンディ様は、左手でアリィの左肩を抱き寄せて、右手で力なく膝上に落ちている彼女の手を握りながら様子を窺った後、そう答えた。
ヤッベェ……写真撮りてェ……いいスチル写になりそうで、元コスプレヤーの血が騒ぐ。
後でアリィに見せてやりた……はっ! いかんいかん! 蓋! 帰って来い、蓋!
「じゃあ、わたくしとマックスさまだけでうごいたほうがいいかしら? エルはほっといてもじぶんでなんとかしそうだからいいとして、フランちゃんとアルっぴのトコにいっときたいんだけど」
何とか蓋の回収に成功した、わたくしがそう言うとマックス様とエンディ様が、揃って渋面を作った。
「マックス! わかる⁈ このさ‼︎」
「分かります! しょうがないけど! その通りなんですけど! 自分で何とかするって、絶対、僕達相手には出てこないセリフですよね!」
「アリィもそうなんだよっ⁈ エルがすごいヤツなのはしってるし、みとめてるけど、なんかモヤっとするんだよね! このあつかいのさがさ!」
「はいっ! 師匠には、無言の信頼があるんだなって感じでモヤりますよね! 分かります!」
あらら。
結託されちゃった。
「むごんのしんらい……」
思わず、私、そんなもんアイツに感じてんのかしら? とか考えて、その単語を口にしてみると勝手に眉根が寄って、腕を組んでしまった。
「ちがうきがする」
「えっ」
「違うんですか?」
「うん。じぶんでいってみても、いわかんしかないから、ちがうとおもうわ。んー……」
じゃあ何だろう? と一頻り考えてみる。
「どうでもいい?」
首が勝手に左に傾く。
これも違うらしい。
「すきにすれば? てきなかんじ?」
首の傾きが酷くなった。
これも違うらしい。
「アイツのこったから、てきとうにどうにかすんでしょって、なげやりなかんじ?」
首が頭と肩ごと大きく右に傾いていく。
これも違うらしい。
「わたくしが、しんぱいするたいしょうじゃない」
頭と首が動かなくなった。
これっぽい。
「うん。これみたいね。わたくしにとっては、しんらいとか、むかんしんとかじゃなくて、エルのことは、しんぱいするたいしょうじゃないってかんじみたいだわ!」
答えが出てスッキリしたわたくしが、そう言って2人に目を向け直すとマックス様とエンディ様だけでなく、ツェルデンテ伯爵も兵の皆も、物凄く微妙な顔をして、わたくしを眺めていた。
「ぼく、アリィにこんなこといわれたら、ないちゃうかも……」
「有能なのも考え物なのですね。師匠みたいになればいいってものじゃないなら、僕も気をつけないと」
「ルナルリア王女は、中々に辛辣ですなぁ」
「信頼してるっちゃ、信頼してる形の1つなのかもしんねぇけど、切ねぇ……」
傭兵の1人が言ったことに男共が全員纏めて頷いた。
何よう! 考えろって言うから考えたのに!(←誰も言ってない)
「わたくし、マックスさまには、こんなこといわないもの!」
一応、それだけは主張しておいた。
マックス様だけは、何がどうあろうと近くに居て、視界に入らなきゃ、どうしてるのか気になるもの、絶対!
マックス様は、よく分かんない理由で、同い年なエルのことを凄い人だと認識しているらしくて ── そらまぁ、アイツ精神的には大人の男だもんね ── 事あるごとにエルのことを師匠と呼んで、自分の分からないことや判断のつかないことを彼に丸投げする癖がつきつつあった。
勿論、これは “花キミ” 時のマックス様にはなかった癖だけど、アイツのお陰で、独り悩んでドツボに嵌るマックス様の懊悩フラグは、永遠の眠りについたようなので、私的には寧ろOK,gj!だったから、放置することにしている。
(世界歴史記録保存映像書とやらも女心のトリセツまでは載ってないのかしらね?)
それがどんなもんなのか知らない私は、簡単にそう考えて、一旦、メタ思考に蓋をした。
「エンディさま。アリィ、しばらくめをさまさないかんじ?」
「……うん。たぶん」
左の肩と立てた足の内側を使って意識のないアリィを支えているエンディ様は、左手でアリィの左肩を抱き寄せて、右手で力なく膝上に落ちている彼女の手を握りながら様子を窺った後、そう答えた。
ヤッベェ……写真撮りてェ……いいスチル写になりそうで、元コスプレヤーの血が騒ぐ。
後でアリィに見せてやりた……はっ! いかんいかん! 蓋! 帰って来い、蓋!
「じゃあ、わたくしとマックスさまだけでうごいたほうがいいかしら? エルはほっといてもじぶんでなんとかしそうだからいいとして、フランちゃんとアルっぴのトコにいっときたいんだけど」
何とか蓋の回収に成功した、わたくしがそう言うとマックス様とエンディ様が、揃って渋面を作った。
「マックス! わかる⁈ このさ‼︎」
「分かります! しょうがないけど! その通りなんですけど! 自分で何とかするって、絶対、僕達相手には出てこないセリフですよね!」
「アリィもそうなんだよっ⁈ エルがすごいヤツなのはしってるし、みとめてるけど、なんかモヤっとするんだよね! このあつかいのさがさ!」
「はいっ! 師匠には、無言の信頼があるんだなって感じでモヤりますよね! 分かります!」
あらら。
結託されちゃった。
「むごんのしんらい……」
思わず、私、そんなもんアイツに感じてんのかしら? とか考えて、その単語を口にしてみると勝手に眉根が寄って、腕を組んでしまった。
「ちがうきがする」
「えっ」
「違うんですか?」
「うん。じぶんでいってみても、いわかんしかないから、ちがうとおもうわ。んー……」
じゃあ何だろう? と一頻り考えてみる。
「どうでもいい?」
首が勝手に左に傾く。
これも違うらしい。
「すきにすれば? てきなかんじ?」
首の傾きが酷くなった。
これも違うらしい。
「アイツのこったから、てきとうにどうにかすんでしょって、なげやりなかんじ?」
首が頭と肩ごと大きく右に傾いていく。
これも違うらしい。
「わたくしが、しんぱいするたいしょうじゃない」
頭と首が動かなくなった。
これっぽい。
「うん。これみたいね。わたくしにとっては、しんらいとか、むかんしんとかじゃなくて、エルのことは、しんぱいするたいしょうじゃないってかんじみたいだわ!」
答えが出てスッキリしたわたくしが、そう言って2人に目を向け直すとマックス様とエンディ様だけでなく、ツェルデンテ伯爵も兵の皆も、物凄く微妙な顔をして、わたくしを眺めていた。
「ぼく、アリィにこんなこといわれたら、ないちゃうかも……」
「有能なのも考え物なのですね。師匠みたいになればいいってものじゃないなら、僕も気をつけないと」
「ルナルリア王女は、中々に辛辣ですなぁ」
「信頼してるっちゃ、信頼してる形の1つなのかもしんねぇけど、切ねぇ……」
傭兵の1人が言ったことに男共が全員纏めて頷いた。
何よう! 考えろって言うから考えたのに!(←誰も言ってない)
「わたくし、マックスさまには、こんなこといわないもの!」
一応、それだけは主張しておいた。
マックス様だけは、何がどうあろうと近くに居て、視界に入らなきゃ、どうしてるのか気になるもの、絶対!
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