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第1章 ウィムンド王国編 1
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「とは言っても私が本当に1人でこの古竜どもと渡り合えるのか、不安に思う者も居るだろう。ゆえに証拠を見せたいと思う」
「証拠、でございますか?」
そんなことを言い出す者が居るような雰囲気では一切なかったけれど、証拠として提示出来るものがあるという申し出は、これから王や議会に報告をしなくてはならない身としては有り難く、フリュヒテンゴルト公爵は常では考えられぬ程、分かりやすくホッとした空気を漏らしていた。
「うむ。1つ目は、そなた達が今、見ておるこの古竜達の映像。動いておるのは分かるだろう?」
それは確かに気になっていたことの1つだったので、室内の者達が再びたくさんの古竜が動いている平面を見遣る。
「……はい」
「そうですね」
「これは、どういった仕組みで動いているので? 何かの魔導具なのですかな?」
他に該当しそうな物が思い浮かばなかったのか、ベントレー子爵がストレートに疑問をぶつけた。
「その通り。この映像は全て、映って居る古竜を私が単独討伐した時、その戦闘を我が国の記録用魔導具で異なる角度から幾つか保存し、それを編集及び複製した物になる」
「⁈」
魔導具で記録したものは改竄出来ない物であることが前提であり常識であったこの国にとって、それが可能で、しかも目の前にその産物が存在しているというだけでも十分に衝撃的だった。
「もし私が討伐したことのある古竜がこの地に出たならば、この国が取るべき対策を考えるのにもこの映像は役立つものとなろう」
情報としてのそれは正直とても有り難いが、まず古竜以前に竜……ドラゴンが来るという時点で詰んでいるとしか思えない中で、それをどれだけ活かすことが出来るのかは、ハッキリ言って謎でしかなかった。
「それと、この記録映像に残って居る個体ならば全て私の収納に丸ごと保存してある。後程、ワイバーン通常種の亡骸を引き渡す時にでも見たい竜があれば見せよう。それが証拠の2つ目だ」
「………」
これを全部⁈
収納の容量どれだけあるんですか殿下⁈
喉まで出かかった叫びをこの部屋の多くの者が飲み込んだ。
そうだ。
うん、そうだよ。
規格外ってこういうことだよ。
自分達と比べちゃダメなんだ。
普通を要求するだけ無駄なんだ。
と呪文か諦念発露のように心中で唱えることで表面上の平静は何とか保った。
「最後は必要か希望があればだが、私が対竜種の戦闘で使う武器や魔法を見せようかと思う。この国では一般的に認知されている魔法属性が4つしかないようだが、それでは竜種相手に心許ない。今後のことを考えれば、せめて見るだけでも構わぬゆえ、12属性全て知っておいた方が良かろうとも思うしな」
「12っ⁈」
「精霊属性ですら9種しか存在しないのですぞ? 魔法属性だけで12もあるなどと⁈ 一体、残りの3つは⁈」
「……あ。もしかして1つは、無属性ですか?」
ベントレー子爵、フリュヒテンゴルト公爵と共に部屋の騎士達がアーウィンの発言に騒つく中、思い当たる節があったのかレンリアードが確認するように問うてくる。
「そうだ。残る2つは、刻と空間の力である時空間属性と星の力……星属性だ。まぁ、これに関しては使える者が希なので、11属性と考えてもらってもよいがな」
「森妖精や地妖精、ともすれば魔族よりも天空人の方が魔法に長けておるとは。古より他の追随を許さぬ発展を遂げ続けとる超文明は伊達ではございませんなぁ」
「この地図魔法も我々にとっては失伝魔法ですし、魔導具の映像をこうして道具自体を使わずして映し出せたり改竄出来るというのも……どんな魔法なのか見当すらつきませんよ」
彼の操る魔法の数々は、確かに自分達の知る魔法の常識では理解出来ない、再現出来そうもないものばかりでローガンやレンリアードも溜息のような吐息を吐いた。
「確か、空も飛べぬと申して居ったな。道理で限られた地上人しか我が国に来ぬ筈だ。約300kmの高度差がある上に我が国は、たまぁに場所を移動するゆえなぁ? 地図魔法が使えぬのでは、我が国の国土位置を特定することも難しかろうて」
だからこそ地上人達から「伝説の浮島」なんていう2つ名をつけられてしまったのだろうけれど。
って言うか、今でも辿り着けてる地上人って居るんだ?
その事実の方が逆に驚きだった。
「ともあれ、私からせねばならぬ話しは終わった。さて。私は1度席を外すゆえ、そなた達、国の者だけで今後の指針を話し合うがよい。私が同席していては話し難いこともあろうしな」
そう言って立ち上がったアーウィンは、小収納から取り出した楕円形の白い物体をレンリアードへと差し出した。
「殿下、これは……?」
「通信魔導具の一種だ。この国の広さくらいならば問題なく通じるゆえ、話し合いが終わったらここを押して私に呼びかけてくれ」
楕円の表面、右端の方にある丸い突起を示しながら言って、にこやかに笑みながら出入り口へと向かって踵を返す。
「ではな。双方にとって益のある結論が出ることを願う」
それだけ言い残して、彼はその場を出て行った。
怒涛の情報過多に晒されて、自分達で思う程、平素の心持ちのままでいられなかった彼等は、この時、アーウィンを1人野放しにしてしまったことを激しく後悔することになる。
「証拠、でございますか?」
そんなことを言い出す者が居るような雰囲気では一切なかったけれど、証拠として提示出来るものがあるという申し出は、これから王や議会に報告をしなくてはならない身としては有り難く、フリュヒテンゴルト公爵は常では考えられぬ程、分かりやすくホッとした空気を漏らしていた。
「うむ。1つ目は、そなた達が今、見ておるこの古竜達の映像。動いておるのは分かるだろう?」
それは確かに気になっていたことの1つだったので、室内の者達が再びたくさんの古竜が動いている平面を見遣る。
「……はい」
「そうですね」
「これは、どういった仕組みで動いているので? 何かの魔導具なのですかな?」
他に該当しそうな物が思い浮かばなかったのか、ベントレー子爵がストレートに疑問をぶつけた。
「その通り。この映像は全て、映って居る古竜を私が単独討伐した時、その戦闘を我が国の記録用魔導具で異なる角度から幾つか保存し、それを編集及び複製した物になる」
「⁈」
魔導具で記録したものは改竄出来ない物であることが前提であり常識であったこの国にとって、それが可能で、しかも目の前にその産物が存在しているというだけでも十分に衝撃的だった。
「もし私が討伐したことのある古竜がこの地に出たならば、この国が取るべき対策を考えるのにもこの映像は役立つものとなろう」
情報としてのそれは正直とても有り難いが、まず古竜以前に竜……ドラゴンが来るという時点で詰んでいるとしか思えない中で、それをどれだけ活かすことが出来るのかは、ハッキリ言って謎でしかなかった。
「それと、この記録映像に残って居る個体ならば全て私の収納に丸ごと保存してある。後程、ワイバーン通常種の亡骸を引き渡す時にでも見たい竜があれば見せよう。それが証拠の2つ目だ」
「………」
これを全部⁈
収納の容量どれだけあるんですか殿下⁈
喉まで出かかった叫びをこの部屋の多くの者が飲み込んだ。
そうだ。
うん、そうだよ。
規格外ってこういうことだよ。
自分達と比べちゃダメなんだ。
普通を要求するだけ無駄なんだ。
と呪文か諦念発露のように心中で唱えることで表面上の平静は何とか保った。
「最後は必要か希望があればだが、私が対竜種の戦闘で使う武器や魔法を見せようかと思う。この国では一般的に認知されている魔法属性が4つしかないようだが、それでは竜種相手に心許ない。今後のことを考えれば、せめて見るだけでも構わぬゆえ、12属性全て知っておいた方が良かろうとも思うしな」
「12っ⁈」
「精霊属性ですら9種しか存在しないのですぞ? 魔法属性だけで12もあるなどと⁈ 一体、残りの3つは⁈」
「……あ。もしかして1つは、無属性ですか?」
ベントレー子爵、フリュヒテンゴルト公爵と共に部屋の騎士達がアーウィンの発言に騒つく中、思い当たる節があったのかレンリアードが確認するように問うてくる。
「そうだ。残る2つは、刻と空間の力である時空間属性と星の力……星属性だ。まぁ、これに関しては使える者が希なので、11属性と考えてもらってもよいがな」
「森妖精や地妖精、ともすれば魔族よりも天空人の方が魔法に長けておるとは。古より他の追随を許さぬ発展を遂げ続けとる超文明は伊達ではございませんなぁ」
「この地図魔法も我々にとっては失伝魔法ですし、魔導具の映像をこうして道具自体を使わずして映し出せたり改竄出来るというのも……どんな魔法なのか見当すらつきませんよ」
彼の操る魔法の数々は、確かに自分達の知る魔法の常識では理解出来ない、再現出来そうもないものばかりでローガンやレンリアードも溜息のような吐息を吐いた。
「確か、空も飛べぬと申して居ったな。道理で限られた地上人しか我が国に来ぬ筈だ。約300kmの高度差がある上に我が国は、たまぁに場所を移動するゆえなぁ? 地図魔法が使えぬのでは、我が国の国土位置を特定することも難しかろうて」
だからこそ地上人達から「伝説の浮島」なんていう2つ名をつけられてしまったのだろうけれど。
って言うか、今でも辿り着けてる地上人って居るんだ?
その事実の方が逆に驚きだった。
「ともあれ、私からせねばならぬ話しは終わった。さて。私は1度席を外すゆえ、そなた達、国の者だけで今後の指針を話し合うがよい。私が同席していては話し難いこともあろうしな」
そう言って立ち上がったアーウィンは、小収納から取り出した楕円形の白い物体をレンリアードへと差し出した。
「殿下、これは……?」
「通信魔導具の一種だ。この国の広さくらいならば問題なく通じるゆえ、話し合いが終わったらここを押して私に呼びかけてくれ」
楕円の表面、右端の方にある丸い突起を示しながら言って、にこやかに笑みながら出入り口へと向かって踵を返す。
「ではな。双方にとって益のある結論が出ることを願う」
それだけ言い残して、彼はその場を出て行った。
怒涛の情報過多に晒されて、自分達で思う程、平素の心持ちのままでいられなかった彼等は、この時、アーウィンを1人野放しにしてしまったことを激しく後悔することになる。
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