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五章 鍵の行方
51話 焔と秋良
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メイヴィスの作り出した部屋の中で、焔は十纏のまとめ役風見零と戦っていた。
彼の能力はシンプルで手のひらサイズの不可侵の空間を二か所作り上げるというだけ。
他の十纏と比べても別段強いわけではないが、焔はその不可侵の空間に悩まされていた。
焔が攻撃を仕掛けても、その全てを弾かれる。
広範囲の攻撃にもその小さな防御でいなされる。
最大の攻撃を最小の防御で受けきるという、誰にでもわかっていても実行できないことを零は実行していた。
「くそっ、全然攻撃が当たらないな」
焔も零の能力については理解していた。
それでも、攻略できないのは零が元々持っている身体能力の高さだった。
焔の攻撃に対して少しだけ斜めに空間を作れば、あらぬ方向に体が開き反撃を食らう。
速さも手数も全てはその戦闘センスに防がれる。
「カウンター使いってこうも面倒なのか……」
カウンターはたまに使うけど、こうも受けに徹しられるとどうしていいかわからないな。
他の皆も心配だし早く倒したいんだけどな。
もっと色々試してみるか。
物は試しとカウンターを狙う零にゆっくり近づいていく。
互いの手が届く範囲まで近づくと、初めて零から攻撃を仕掛けてくる。
その攻撃を全て受けきり、焔はまた距離を取る。
「もうわかった。これなら勝てる」
今までと同じ様に焔から攻撃を仕掛けた。
槐を抜き切りかかると零も空間を作る。
何度も続けられた攻防だが、変化が生まれる。
焔は刀が触れた感触から見えない空間を読み取り、ずらされないように力を籠める。
反撃に動く零も危険を感じ空間で攻撃の向きを変える。
さっきまでの姿勢を崩された状態であればこの攻撃は確実に当たっていたが、体勢が十全の焔には当たらない。
「これで、二個使ったよな。鬼石流炎技 牙炎」
炎を纏う拳が零を襲う。
この戦いが始まって初めて焔の攻撃が零に届いた。
「やっと当たったな。もう、お前には負けない」
焔には氷美湖の様な冷静さも分析力もない代わりに、零と同様に戦闘のセンスだけはずば抜けている。
同じ才能同士がぶつかり合えば、当然練度や経験が結果に大きく関係する。
「カウンターだけじゃ勝てないから攻めなきゃ。普通にそう思うよな」
反撃に動く零は、カウンターではなく攻めに動き、焔の動きを制限するために空間を作る。
今までなら、見えない物を警戒し動きは鈍るが、焔は違っていた。
見えないなら見えるように色を付ければいい。
一気に炎を噴出し、炎が避ける場所が背後にあることを確認し体を預け、空間があることを確認し続ける。
「もう終わりにしよう。鬼石流炎技 牙炎」
相手の能力を利用し反動を付ける。
腕を突き出し能力を使ったのを確認するとそれを掴み、空中から蹴りを狙う。
その攻撃も能力で防ぎ、二個すべてを使い切る。
もう、どこを解除しても致命傷は避けられない。
「早いのは初動だけだったな。鬼石流居合術 天地無用」
足場が安定しない場所でも居合が使えるようにされている居合術。
判断が送れ、不可侵の空間を作るよりも早く焔の刀は零に届いた。
「勝ったのはいいけど、こっからどうやって抜け出せばいいんだろうな」
零の体が黒い靄に変わると、部屋に大きなひびが入り始めた。
†
「今の俺とまともに戦えるなんて、思いの力ってのは偉大だな」
「これからお前を倒すから覚悟しておけ……」
みんなが姿を消してから、数分で僕はボロ雑巾の様になっていた。
鍵の力で致命傷にはなっていないけど、このまま使い続けたら鍵の反動で力を緩めた瞬間体が軋んでいき、いずれ動けなくなりそうだ。
「減らず口が叩けるなら安心だな!」
姿が消えてから頑丈な体をイメージして衝撃が終わるのを待つ。
さっきからそれで使ってるけど、そろそろ限界が近い。
「お前は……、ヴァクダから、力を奪ったのか……?」
「そうだ。だからさっき褒めてやったんだよ。人間が神の力に耐えられてるんだからな」
やっぱりそうだったんだ。
それなら、あいつからその力を引っぺがせば勝機はあるんだ。
「お前の考えはわかるぞ。俺から力を奪えば勝てる。そんなこと考えてるんだろうけど、そんなことをさせると思うか?」
こいつは煙草に火を着け、余裕を見せつける。
「ここには俺とお前だけ、他の奴らは出られない場所に追いやったんだ。これで、お前を手助けする奴は誰もいないぞ」
「ライアン様、中の三人がやられました」
「ちっ、役立たずが。まあいい、倒したところでそこからはしばらく抜け出せないだろうがな」
「神様気分なのに何一つ予定通りに進んでないみたいだな。いい加減わかったろ? お前じゃ、どんな力を手に入れても宝の持ち腐れだ。僕みたいな人間も殺せないんだよ」
「そうか。なら、死ぬまで殴り続けてやるよ」
ライアンの姿が揺らいだ直後、僕の体が軋み体が浮いた。
殴られているとわかったのは何発目かの攻撃を受けた後、体が頑丈になっているとはいえ、長く耐えられそうにはない。
次の瞬間、世界が白く変わり体を震わす轟音が鳴る。
それはごく普通の雷が、こっちに残った敵に直撃したのだとわかった。
「なんで、雷がこっちの世界で現れるんだ?」
焦げつき倒れた女性から小さな箱が零れ箱が割れる。
「お帰りなさい」
「これで、後はお前一人だよな」
「お前達は本当に腹立たしいな」
最後の戦いが今始まる。
彼の能力はシンプルで手のひらサイズの不可侵の空間を二か所作り上げるというだけ。
他の十纏と比べても別段強いわけではないが、焔はその不可侵の空間に悩まされていた。
焔が攻撃を仕掛けても、その全てを弾かれる。
広範囲の攻撃にもその小さな防御でいなされる。
最大の攻撃を最小の防御で受けきるという、誰にでもわかっていても実行できないことを零は実行していた。
「くそっ、全然攻撃が当たらないな」
焔も零の能力については理解していた。
それでも、攻略できないのは零が元々持っている身体能力の高さだった。
焔の攻撃に対して少しだけ斜めに空間を作れば、あらぬ方向に体が開き反撃を食らう。
速さも手数も全てはその戦闘センスに防がれる。
「カウンター使いってこうも面倒なのか……」
カウンターはたまに使うけど、こうも受けに徹しられるとどうしていいかわからないな。
他の皆も心配だし早く倒したいんだけどな。
もっと色々試してみるか。
物は試しとカウンターを狙う零にゆっくり近づいていく。
互いの手が届く範囲まで近づくと、初めて零から攻撃を仕掛けてくる。
その攻撃を全て受けきり、焔はまた距離を取る。
「もうわかった。これなら勝てる」
今までと同じ様に焔から攻撃を仕掛けた。
槐を抜き切りかかると零も空間を作る。
何度も続けられた攻防だが、変化が生まれる。
焔は刀が触れた感触から見えない空間を読み取り、ずらされないように力を籠める。
反撃に動く零も危険を感じ空間で攻撃の向きを変える。
さっきまでの姿勢を崩された状態であればこの攻撃は確実に当たっていたが、体勢が十全の焔には当たらない。
「これで、二個使ったよな。鬼石流炎技 牙炎」
炎を纏う拳が零を襲う。
この戦いが始まって初めて焔の攻撃が零に届いた。
「やっと当たったな。もう、お前には負けない」
焔には氷美湖の様な冷静さも分析力もない代わりに、零と同様に戦闘のセンスだけはずば抜けている。
同じ才能同士がぶつかり合えば、当然練度や経験が結果に大きく関係する。
「カウンターだけじゃ勝てないから攻めなきゃ。普通にそう思うよな」
反撃に動く零は、カウンターではなく攻めに動き、焔の動きを制限するために空間を作る。
今までなら、見えない物を警戒し動きは鈍るが、焔は違っていた。
見えないなら見えるように色を付ければいい。
一気に炎を噴出し、炎が避ける場所が背後にあることを確認し体を預け、空間があることを確認し続ける。
「もう終わりにしよう。鬼石流炎技 牙炎」
相手の能力を利用し反動を付ける。
腕を突き出し能力を使ったのを確認するとそれを掴み、空中から蹴りを狙う。
その攻撃も能力で防ぎ、二個すべてを使い切る。
もう、どこを解除しても致命傷は避けられない。
「早いのは初動だけだったな。鬼石流居合術 天地無用」
足場が安定しない場所でも居合が使えるようにされている居合術。
判断が送れ、不可侵の空間を作るよりも早く焔の刀は零に届いた。
「勝ったのはいいけど、こっからどうやって抜け出せばいいんだろうな」
零の体が黒い靄に変わると、部屋に大きなひびが入り始めた。
†
「今の俺とまともに戦えるなんて、思いの力ってのは偉大だな」
「これからお前を倒すから覚悟しておけ……」
みんなが姿を消してから、数分で僕はボロ雑巾の様になっていた。
鍵の力で致命傷にはなっていないけど、このまま使い続けたら鍵の反動で力を緩めた瞬間体が軋んでいき、いずれ動けなくなりそうだ。
「減らず口が叩けるなら安心だな!」
姿が消えてから頑丈な体をイメージして衝撃が終わるのを待つ。
さっきからそれで使ってるけど、そろそろ限界が近い。
「お前は……、ヴァクダから、力を奪ったのか……?」
「そうだ。だからさっき褒めてやったんだよ。人間が神の力に耐えられてるんだからな」
やっぱりそうだったんだ。
それなら、あいつからその力を引っぺがせば勝機はあるんだ。
「お前の考えはわかるぞ。俺から力を奪えば勝てる。そんなこと考えてるんだろうけど、そんなことをさせると思うか?」
こいつは煙草に火を着け、余裕を見せつける。
「ここには俺とお前だけ、他の奴らは出られない場所に追いやったんだ。これで、お前を手助けする奴は誰もいないぞ」
「ライアン様、中の三人がやられました」
「ちっ、役立たずが。まあいい、倒したところでそこからはしばらく抜け出せないだろうがな」
「神様気分なのに何一つ予定通りに進んでないみたいだな。いい加減わかったろ? お前じゃ、どんな力を手に入れても宝の持ち腐れだ。僕みたいな人間も殺せないんだよ」
「そうか。なら、死ぬまで殴り続けてやるよ」
ライアンの姿が揺らいだ直後、僕の体が軋み体が浮いた。
殴られているとわかったのは何発目かの攻撃を受けた後、体が頑丈になっているとはいえ、長く耐えられそうにはない。
次の瞬間、世界が白く変わり体を震わす轟音が鳴る。
それはごく普通の雷が、こっちに残った敵に直撃したのだとわかった。
「なんで、雷がこっちの世界で現れるんだ?」
焦げつき倒れた女性から小さな箱が零れ箱が割れる。
「お帰りなさい」
「これで、後はお前一人だよな」
「お前達は本当に腹立たしいな」
最後の戦いが今始まる。
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