牛沢病院へようこそ!

ごみ

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第貮話

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部屋から出ると、ロマが部屋から入ったのが見えた。
彼女はあまり私達の中には入らない。
だが、一回話してみると、18歳の彼女にしては人生の色々なところが見えている、いわゆる達観と言うものが備わっているのを感じた。
だから私は彼女と仲良くなりたい。



「あー、メシが出来ましたー。食堂にこーい」
荷物をあらかた出し終えたところで、牛沢さんではない声…シオンさんの声が聞こえた。
食堂ってどこだ…と呆然とするが、ロマさんに着いていけばいいだろうと思いながら部屋を出ると、ロマさんはどうやら一人でご飯を食べているらしいと髪を高く結った女のコに教えて貰った。
「ロマはあんまり私達の中には入らないから…彼女、18にしては達観を持ってるから、話していると楽しいのだけどね。」
「そうなんすか…俺、最初に会った時によろしくする気は無いって言われました。」
「まぁ、彼女はそう言う子だからね…っと、ここが食堂よ。私は櫻井トウマ。よろしくね。」
トウマさんにお礼を言って、一番端の席に座る。
目の前に配膳された飯をみて、思わず腹が鳴る。

「ちーす…んじゃ、食べる前に1個通知ー…俺らの仲間!自己紹介!…あと自分の奇病も!」

牛沢さんが俺に視線を投げる。
「えっ……と、道化キヨっていいます。これ、一応本名です。歳は19。高卒です。特技は辞書の早引きです。奇病は額に目がひとつあるっていう奇病で、昨日の今日でココに来ました。」
一息で言って、そそくさと席に座る。
すると、牛沢さんが皆からの自己紹介を提案してくれた。

「んじゃ、シオンからなー」
「んでだよ!…東堂シオン。大学出てる。歳は20で、好きな物はタバコ。嫌いな物はすぐ泣く女。奇病は電気病っつってストレスが溜まるとそれが静電気になって放電される奇病。」

ドカリと座るシオンさんを、俺はかっこいいなと思った。言いたい事をズバズバ言えて、堂々としてかっこいいな、と。

「じゃ次はトウマなー」
「はーい!…櫻井トウマです!元キャバ嬢やってました!私は高卒ー!歳は19で、好きな物は猫ちゃんと花言葉!嫌いな物は蛇!奇病は蛇縛じゃばく病って言うので、主に胴体にびっしり蛇の鱗に縛り付けられた痕が消えないってゆーやつで、この首元のアザは気にすんな!」

ニコニコ笑顔が特徴的なトウマさんは、とても親しみやすく、さっき俺が迷っていた時には案内してくれた人だ。とてもフレンドリーだが、やはり彼女もロマさんとは上手く行ってないらしい。

「じゃあ次は僕ね。僕は西郷ユサ。シオンとは小さい頃がおんなじで、小中は離れてたけど高校大学はおんなじだよ。歳は20で、好きな物は古本屋。嫌いな物は運任せな人かなぁ…奇病?は人形病。一週間に一度、身体のどこかが人形みたいになるよ。全身人形になるのはやっぱ危険みたいだねー。」

正直もっとオラオラ系かと思っていたが、接しやすいふわふわ系の人だったようで、少し安心した。シオンさんとは付き合いが長いのか。だからさっきは二人一緒だったのか…と納得した。

「ルイコー?起きてるかぁー?」
「…うっしーうるさい。…黒岩ルイコ。別名黒い悪い子です。好きな物はオカルトと酒。嫌いな物はヒステリックに叫ぶ女とメルヘン。歳は21で奇病は猿手病。貴方も聞いた事があるかもだけれどね。叶わない願いを口にすると夜に私が実際に叶えるの。…この包帯の右手には猿みたいな手が隠れていて、願い事を口にした夜は私が猿に変異して他人を犠牲にして願いを叶えるわ。」

…凄く暗い人。
俺が苦手なタイプかもしれない人だ。

その後は、みんなでメシを食って風呂に入った。
今夜は女子が先に入るようで、俺は9時頃までゲームをしていた。
風呂に入った後はもう眠くて眠くて、泥のように眠りについた。
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