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俺の彼氏には特別に大切なヒトがいる〜B面〜

B面2

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「ね。なっちゃん。スプラ買った?」
 夏休みは終わったけれど、まだまだ暑い九月の初め。
「うん。買ったよ」
 部活のあとコータが発売されたばかりの人気ゲームを買ったか聞いてくるのに返事をする。買ったに決まってる。だってコータは夏前からこのソフトの発売を楽しみにしてたんだから。
 俺も買ったら一緒にいっぱいプレイできるかなって下心くらいは罰当たらないよね?
「今日一緒にやんない?」
 俺の望んでたとおりの展開で、嬉しくてニヤけてしまいそうなのを必死で抑える。
「いいよ。8時くらいに繋ぐ?」
 誘われて嬉しいなんて前面に出さないように、スマホの画面から目を逸らさずに答える。
「オンラインで繋いでやってもいいけどさ、明日休みだからまこちゃんと俺の部屋で一緒にやろうって言ってて、なっちゃんも来ない?」
 スマホの画面と俺の間に割り込むようにして覗き込んでくるコータ。
 シトラスの香りとさらりと流れた眩しい髪にどきり、と心臓が強く脈打った。本当に心臓に悪い。
「え……俺も行っていいの?」
 ドキドキしすぎて思わず心に浮かんだ声をそのまま漏らす。
「ジュースもお菓子も買い込んでるから、なっちゃんも来てよ」
 ね。と首を傾ける仕種までも眩しい。カッコイイ。
「ん。わかった。一旦帰って泊まる準備したら行くね」
「えー、部屋着も貸すし、パンツとか歯ブラシも新しいのあるからこのままおいでよ。いいよね?」
 俺の制服のシャツの長袖を捲くったあたり。コータはそこをくいっと引っ張る。
「でも、コータの部屋着だと俺にはでか過ぎるでしょ」
 細身だけど、すらりと背が高い彼はモデルみたいで、俺とは手や足の長さが全然違う。
「まこちゃんの部屋着何枚か俺の部屋にあるから大丈夫だよ。まこちゃんとなっちゃん、サイズ大体一緒じゃんか」
 そう言って綺麗な顔でにっこり笑うコータ。残酷だよ。
「あ……そっか。そうだよね。じゃあ真琴の部屋着借りよっかな。うん」
 俺上手く笑えてる? 
 引き攣った笑いになってなかったかな。
「おけ。じゃ早く帰ろ?」
 教室の窓から差し込むオレンジに溶けるコータのレモン色の髪。
 目の前の彼の甘さと胸の痛みに翻弄されながら、彼に急かされるまま教室を後にした。

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