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俺の彼氏には特別に大切なヒトがいる〜B面〜
B面13
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「まだフラフラしてるよ、なっちゃん……ね、もう一泊した方が良くない?」
「うーん。明日月曜日だしなぁ。母さんから連絡が何回もきてたからさすがに帰るよ」
お昼ごろ目を覚ました俺を、コータは一日中甲斐甲斐しく世話してくれた。
コータは俺がぽやぽやしてて、あっちの世界から帰ってこれてないって言ってなんかずっと焦ったり帰したくないって騒いでる。こんななっちゃん誰にも見せられないとかなんとか言ってる
脚とか腰が痛かったりちょっと怠かったりで、歩くときフラフラしちゃう以外は別にいつもどおりだと思うんだけど。
そしてあっちの世界ってどこだよ。
「……離したくない……」
一日中そう言って腕の中に閉じ込められていた。
俺の好きなハチミツレモンの紅茶を淹れてくれて、たまごのサンドイッチを用意してくれた。
ベッドに転がって動画を見ながら、うとうとしたり少しおしゃべりしたり。
今までもいっぱい優しくしてもらったけれど、どっぷり甘やかされるってこういうことなのか。
昨夜の記憶はどこか霞がかってぼんやりとしているけれど、なんだかコータにもっともっとくっついていたい。
ダメ人間になってしまいそうで、お母さんも心配しているから帰ると伝えると渋々帰る支度を手伝ってくれた。
俺の体はなんだかすごくコータとくっつきたがって、玄関を出たあとも彼と腕が触れ合うくらいの距離で歩いてしまっていたらしい。
「なっちゃん……! 無自覚だよねぇ?! 距離感バグっちゃってるし!」
あぁ、もう!とコータは綺麗な金髪を振り回したあと、ぐっ、と腰を抱いてきた。傍から見たらバカップルそのものだ。
「ね……外でこれはまずくない?」
ぎゅっと回された腕が本当は心地よかったけれど、ここは俺たちの家の近所だ。
「もう暗いし、誰なのかなんてわかんないよ。マスクもしてるし」
そう言ってコータは俺にパーカーのフードを被せた。
「そっか……それもそうかもね」
そう言ってから本能が求めるままに、もう少しだけコータに体を寄せると、コータはうめき声を漏らした。
くっつきながら歩いていると、コンビニの光が見えた。
「ね、ちょっとコンビニ寄ってもいい?」
「ん。いいよ。俺も明日の朝飯買っておきたいし」
そう言ってコンビニに入った。
コータがおにぎりとかパンの棚を見ている間に、俺は真琴の好きなアイスやお菓子をカゴに放り込んで買った。あとコータの好きなものも。
コンビニから出て、俺のアパートが近付いてきたところで立ち止まった。
「明日月曜日だし、真琴もそろそろ帰ってくるでしょ。そしたら二人で食べて。俺の知ってる限りだけど、二人の好きそうなもの買ったから。真琴に心配かけちゃったお詫び」
コータに色々詰め込んだコンビニの袋を渡しながら俺は続けた。
「あのさ、子供の頃てんとう虫公園でコータが真琴を偶然見つけた話とか聞くと、二人は運命なんだなって思う。だからこれから先も二人が羨ましくなることはどうしてもあるかもしれないんだけど……」
「なっちゃん……でもっ」
何か言おうとしたコータの唇をマスクの上からそっと指で抑えた。
「お願い。最後まで言わせて……生まれつき隣の家だとか、コータが俺を偶然にも見つけ出すとか、そういう運命みたいなのは俺たちは難しいかもしれないんだけどさ……コータは俺のことを必ず根気強く待ってくれるってわかったから……恋人の好きは俺だけなんだってちゃんとわかったから……もう大丈夫だよ」
俺は言いたいことは言えたので、今度はコータの番。
そう思ってマスクの上から指を退けた。
でも、コータは何も言わない。
「コータ?」
そっと見上げるとさっとコータは自分のマスクをずらして、それから指先でそっと俺のマスクもずらして、唇を啄むように口付けた。
ちゅ、っとリップ音が静かな住宅街に響く。
「生まれつきの運命じゃないかもしれないけど、これから絶対運命にしてみせるから、ずっとずっと一緒にいて……なつき、大好き……うぉっ、なつき?!」
そんなロマンチックなことを言ってくれたのに、俺は『なつき』と呼ばれたら体が何かを思い出したのか腰が砕けてしまい、慌てて抱きとめたコータにアパートの階段を抱っこされて登るはめになってしまった。
俺の部屋まで送ってきたコータが帰りたくないと駄々をこねたけれど、俺のせっかく買ったアイスがとけそうだったから、渋々帰っていった。
おわり♡
お付き合い下さりありがとうございました!
次からA面始まります。
コータと夏樹の話より真琴とタスクの話がTwitterで先に出来ていたのでA面としています。B面書いているうちにこちらの方がメインになってしまったような感じがあったので、B面先に出すことにしました。よって、ボリュームはB面の方があります、A面と謳っているのにごめんなさい~でもA面は年下攻めの良さがあったりするかなぁ?と思っています。
A面終わりましたら、最後におまけSSコータ視点掲載します。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。
A面はすでに読んで下さった方もいるので、一日に何度も更新してさっと走り抜ける予定です。
そして少しだけお知らせをさせてください。
先月こちらアルファポリスさんから書籍を出してもらいました~!!
「孤狼のSubは王に愛され跪く」というタイトルでDomSubものなのでちょっとハードに見えてしまうかもしれませんが、こんな私が書いているので結局甘々です。
アルファポリスの孤狼のSubは~のページに試し読みが載っていますので、ご興味持たれた方は行ってみてください。紙版と電子版どちらもあります。
そして既にご購入下さった方、本当にどうもありがとうございました!
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そしてあっちの世界ってどこだよ。
「……離したくない……」
一日中そう言って腕の中に閉じ込められていた。
俺の好きなハチミツレモンの紅茶を淹れてくれて、たまごのサンドイッチを用意してくれた。
ベッドに転がって動画を見ながら、うとうとしたり少しおしゃべりしたり。
今までもいっぱい優しくしてもらったけれど、どっぷり甘やかされるってこういうことなのか。
昨夜の記憶はどこか霞がかってぼんやりとしているけれど、なんだかコータにもっともっとくっついていたい。
ダメ人間になってしまいそうで、お母さんも心配しているから帰ると伝えると渋々帰る支度を手伝ってくれた。
俺の体はなんだかすごくコータとくっつきたがって、玄関を出たあとも彼と腕が触れ合うくらいの距離で歩いてしまっていたらしい。
「なっちゃん……! 無自覚だよねぇ?! 距離感バグっちゃってるし!」
あぁ、もう!とコータは綺麗な金髪を振り回したあと、ぐっ、と腰を抱いてきた。傍から見たらバカップルそのものだ。
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「ね、ちょっとコンビニ寄ってもいい?」
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そう思ってマスクの上から指を退けた。
でも、コータは何も言わない。
「コータ?」
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ちゅ、っとリップ音が静かな住宅街に響く。
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俺の部屋まで送ってきたコータが帰りたくないと駄々をこねたけれど、俺のせっかく買ったアイスがとけそうだったから、渋々帰っていった。
おわり♡
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