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第二部
ただいま
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「それじゃあ、行ってくるね……わがままを許してくれてありがとう」
クルリ村を発つ日の朝、ホームまで見送ってくれた三人の幼馴染にユノは言った。
「わがままなんかじゃないよ……! ユノがしてくれたことはたくさんありすぎて……今いるこの駅だって……ユノがノアルネやギークに繋がる路線は絶対に必要だって、駆け回ってくれたんだから」
そう言って、涙ぐむマルクル。
「無理はしないでね。自分の身の安全第一で行動すること……ってニコライは泣きすぎ。そんなに泣いたらユノが困るだろ」
「や……ごめん……王都に行ったら……俺には想像もできないくらい大変なことも多いんだろうけど、自分の幸せも考えてほし……って……」
大きな体のニコライがボロボロと泣く姿に相棒のルカは苦笑しながらその背をなだめるように叩いた。
「ニコライはずっと後悔していたからな。ユノをここに縛り付けるようなことを言ってしまったことを。まぁ、ニコライだけじゃなく、俺もなんだけどさ」
「ニコライやルカの言葉のせいじゃないよ。クルリを復興させて、それで戦争の前よりもいいところにしたいっていう願いは他の誰のものでもなく、俺のものだよ」
ユノもニコライの背を叩いた。
「じゃあ、行くね」
見送るばかりだった黒い汽車が、ユノを乗せるためにホームに到着した。
「みんな、元気で!!」
汽車の窓から手を振ると、幼馴染たちの泣き笑いのような笑顔が見えた。
キリヤとも王都の友達とも離れて、帰ってきた故郷。
親もいない故郷でも、寂しさに押しつぶされずやってこれたのは、家族のような彼らがいたから。
「ユノも!! たまには帰ってきてね」
王都でうまくいったら……事件も解決してユノが隠しごとをしないで堂々と暮らせるようになったら……大切な幼馴染に王都を見せたいと思っている。
でも事件は何としてでも解決しなければならないが、その後ユノが堂々と王都で暮らすという未来までは見えづらかった。
その未来が見えづらい中で、王都にも遊びに来てねというひと言がどうしても言えなくて、ユノは汽車の中で俯いて唇を噛んだ。
シュトレイン王国の北部最大の都市、ノアルネで王都行きの大きな汽車に乗り換える。
ノアルネとクルリ村を繋ぐ汽車がなかったころと比べると、かなり楽にはなったが、ノアルネから王都まではかなり長いこと汽車に乗らなければならない。
ルカが持たせてくれたサンドイッチとトマトスープの昼食を摂り終わると、ユノはウトウトしながら汽車に揺られた。
アンリ学校長の紹介でユノの後任として来てくれた教師は、すぐにクルリ村に引っ越してくれた上にとても真面目な人で引継ぎはスムーズであった。だが、短い時間での引継ぎだったため、連日深夜までかかってしまったのだ。
その間にキリヤとサランには封蝋魔法で手紙を送り、アンリ学校長から依頼があって魔法学校で教鞭を執ることになったと伝えていたが、返事は受け取っていない。
王都に行くなら、悪魔の痣のことを後ろめたく隠しながらではなく、堂々と行きたい。
そう言っていたのに、王都の人を欺くようなことをして王都に行くことを決めたユノ。
恋人と親友にいつも相談一つさえしないで、大きなことを勝手に決めてしまうユノを、どう思うだろうか。
考えごとをしながらウトウトしていると、時おり親友や恋人に愛想を尽かされる悪夢に襲われ目を覚ます。
そんなことを繰り返し、夕暮れの中、王都に着いた。
久しぶりの王都の駅は、より新しく進化していた。
ガラス張りのドーム型の屋根がホームにはできていて、その美しさに感心しながら改札を出た。
「身体チェックを行っております。手袋やマフラーをお外しの上、改札をお通りください」
黒の魔法を使うことによってできる悪魔の痣は、最初の一つが顔、首、手など衣服で隠れないところに出やすいのが特徴だ。
なので衣服を脱がなくても、手袋やマフラーを外すだけで目視の確認は可能だ。
ユノの悪魔の痣も最初の一つは左の手首の少し上方から始まり、ぐるりと手に絡みつくようにして左手の薬指まで続いている。二つ目は下腹の臍を囲むように現れているので、目視から隠すのは一つだけでいい。
ユノは手袋をそっと外した。
いつも肌身離さずつけている、肘まである黒い手袋。
傷のないまっさらな肌だと元の肌の色との調整が難しい。もともとクルリ村でも生徒達に火傷の痕だと説明していることもあって、悪魔の痣を隠した上に火傷の痕が出るように魔法をかけている。
この痣を隠して王都に戻ることは、ユノとキリヤの二人で目指していた目標とは違うことだ。
それがとても苦しいが、ユノはそのことを押し殺すように深呼吸をして、改札の列に並んだ。
そして、大勢の乗客に流されるように改札を進み、駅員に切符を渡した。
目視のために改札に立つ監視員にも、止められることなくスムーズに改札を出る。
無事に改札を通れた安堵よりも、欺くようにして王都に入る苦しさに、ユノはぎゅっと胸のあたりを握りしめ、上着に皺が寄った。
「ユノ!」
「サラン! アンドレアも!」
大きな声がして、顔を上げると人混みの向こうにサランとアンドレアがいた。
笑顔で手を振っているサランと、彼の横に佇む長身のアンドレア。
二人のもとにユノは駆け寄った。
「おかえりっ! ユノっ」
そう言ってサランはユノにぎゅっと抱き付いた。
「ただいま……って言っていいのかな……」
「いいに決まってるだろ。ユノは王子様と国を救ったんだよ。そんなユノが王都に来ちゃいけない理由なんかない。おかえり。待ってたよ……」
親友は苦しそうな声で言って、ユノの背中を擦った。
「ほら、あとの話は馬車でしろ。学校まで送って行くんだろ」
言葉はぶっきらぼうだが、充分に待ってくれたあとアンドレアは言った。
「アンドレア、忙しいのに、迎えに来てくれてありがとう」
「お陰様で戦争は無いから、騎士団はそんな忙しくねぇよ。あちこち駆け回ってる治癒師と比べたらな」
「サラン、いろんなことしてるもんね」
「まぁね。あ、そだ! 最近はね……」
「ほら、おしゃべりは馬車でしろって。行くぞ……あ……」
その場で話しだしそうなサランを制して、アンドレアは駅舎の外にある馬車廻しに誘ったが、数歩進むと一旦止まった。
「どうしたの? アンドレア?」
足を止めたアンドレアにユノは尋ねた。
「ユノ、おかえり」
進行方向を向いたまま、振り返りもせずにアンドレアは言ったが、どんな表情で言ったのか想像できて、ユノとサランは顔を見合わせて静かに微笑み合った。
「ありがとう、アンドレア」
そして三人は馬車に向かって再び歩き出した。
故郷の友人と王都の友人の温かさは、いつだってユノの背中を押してくれる。
********
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ユノもニコライの背を叩いた。
「じゃあ、行くね」
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「みんな、元気で!!」
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その間にキリヤとサランには封蝋魔法で手紙を送り、アンリ学校長から依頼があって魔法学校で教鞭を執ることになったと伝えていたが、返事は受け取っていない。
王都に行くなら、悪魔の痣のことを後ろめたく隠しながらではなく、堂々と行きたい。
そう言っていたのに、王都の人を欺くようなことをして王都に行くことを決めたユノ。
恋人と親友にいつも相談一つさえしないで、大きなことを勝手に決めてしまうユノを、どう思うだろうか。
考えごとをしながらウトウトしていると、時おり親友や恋人に愛想を尽かされる悪夢に襲われ目を覚ます。
そんなことを繰り返し、夕暮れの中、王都に着いた。
久しぶりの王都の駅は、より新しく進化していた。
ガラス張りのドーム型の屋根がホームにはできていて、その美しさに感心しながら改札を出た。
「身体チェックを行っております。手袋やマフラーをお外しの上、改札をお通りください」
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ユノの悪魔の痣も最初の一つは左の手首の少し上方から始まり、ぐるりと手に絡みつくようにして左手の薬指まで続いている。二つ目は下腹の臍を囲むように現れているので、目視から隠すのは一つだけでいい。
ユノは手袋をそっと外した。
いつも肌身離さずつけている、肘まである黒い手袋。
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「ユノ!」
「サラン! アンドレアも!」
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親友は苦しそうな声で言って、ユノの背中を擦った。
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その場で話しだしそうなサランを制して、アンドレアは駅舎の外にある馬車廻しに誘ったが、数歩進むと一旦止まった。
「どうしたの? アンドレア?」
足を止めたアンドレアにユノは尋ねた。
「ユノ、おかえり」
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アンリ学校長〜♡♡♡
真相を知りながらずっと見守っててくださったのですね。
心強い。
また学校に戻れるの嬉しい〜。
サランたちにも会えますね。
でもユノのことだからあまり無茶をしないといいけれど。
キリヤがすごく心配しながらも近くに来てくれて嬉しくて、複雑な心境なのがみえます笑
何に変えても守ると決意を固めてそうです。
王都編楽しみすぎるー!!!
更新、ありがとうございました🙏
よっち→さん、早速読んでくださってありがとうございます✨学校に先生として戻ることになりました🤗
書きたいシーンがほんとたくさんあって、時間さえあればうわーーっと書いちゃいたいくらいなんです〜!
みんなと学校を舞台にわちゃわちゃシリアス、あとやっぱり昔と違って大人になったので、そんなシーンもありつつで進めていけたら、と思ってます🤗
いつも応援、心強いです😭✨ありがとうございます!
ノミネートと連載再開、おめでとうございます💕
とても出遅れてしまいましたが💔また皆さんに会えて嬉しいです!
校長先生、ありがとうございます(´;ω;`)ユノの人柄がよく分かる再会でしたね
ぴよこさーーん!全然出遅れてないですよー☺️こうしてコメントいただけて、嬉しいです✨ありがとうございます✨
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