平凡な俺は魔法学校で、冷徹第二王子と秘密の恋をする

ゆなな

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強面騎士団長は宿敵だったはずなのに4章

アンドレアの状況

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「それじゃ、騎士団で新しい炎の魔法の練習の最中に負った火傷が酷いってことですか?」
 魔法で馬車を御するので御者席も座席と同じ馬車内にあることから、侍従と話しながらビスコンティ家の屋敷に向かうことができた。
「はい。ですが、火傷は治っているはずです。普段はアンドレア様は治癒魔法はお嫌いなので、薬草等の治療で怪我を治すことが多いのです。しかし、今夜のディナーを楽しみにしていらしたので、それまでに治してしまいたいということで珍しく騎士団直属の治癒師に治癒魔法を使わせたんです。ただ、その後……」
「あ……もしかしてパラリシスに問題があったのかな?」
 怪我に対して治癒魔法を使うときに、感覚を麻痺させるパラリシスという魔法を併用することがある。非常に難しい魔法で使う加減を間違えると、記憶を失わせてしまったり永久に目覚めないということもあり、慎重な使用が義務付けられている。
 このパラリシスを上手に使うと、患者に痛い思いをさせずに上手に怪我を治すことができる素晴らしい魔法なので、サランは特によく勉強している分野でもある。
 ただ、パラリシスの使用で起こるトラブルは厄介なことが多いのだ。
「はい。おそらくパラリシスの副作用で頭痛が出てしまいまして。騎士団の治癒師によれば帰宅後安静にすれば治まるとのことだったんですが、頭痛だけでなく吐き気や発熱の症状も出てきてしまい、意識が朦朧としております」
「騎士団の治癒師の見解はわかったけれど、ビスコンティ家の治癒師は何て言っているの? ビスコンティ家ほどの家ならお抱えの治癒師がいるでしょ?」
「ビスコンティ家の治癒師は今夜がホリデーパーティのため連絡が付かないのです。今ビスコンティ家の伝手を使って治癒師を探していたところではあるんですが、なにしろ今夜がホリデーパーティなので緊急で見てくれる治癒師は皆忙しいようでなかなか手配ができない状況です。時間が経つにつれ悪くなっているように思えて心配で……サラン様も同じく安静にすれば治まるとの見解でしょうか?」
「アンドレアの様子を診せてもらわないとはっきりと言えないけれど……パラリシスの頭痛程度の副作用だけなら確かに時間が経てば治まることが多いのに、だんだん酷くなっているというのが気がかりだね。火傷の状態も本当に完治しているのか確認したいな」
「ありがとうございます。アンドレア様がうなされながら、サラン様を呼んでおります。そこで新学期に脚の酷い怪我を負ったときに、治癒魔法で治していただいたのがサラン様だったと聞いたことを思い出したんです」
 アンドレアの侍従と話しているうちに馬車は貴族の邸宅がずらりと並ぶ住宅街にあるビスコンティ家の邸宅に着いた。
「侍従! どなたか診てくださる治癒師の方は見つかった⁉ あら? サラン様?」
 侍従が邸宅の正面玄関の扉を開けるなり、先日出会ったばかりのアンドレアの姉であるジュリエッタが飛び出てきた。ジュリエッタのワンピースの裾を掴んでいる小さな女の子はアンドレアの妹のようだ。
「ジュリエッタ様、アンドレア様のご学友のサラン様は城下町で有名なチェ治癒院の御子息でサラン様自身も大変腕のいい治癒魔法を使う方でございます。アンドレア様が以前サラン様の治癒魔法は大変相性がいいと仰っていたので連れてきた次第です」
「そうだったのね。サラン様、来てくださってありがとうございます。今両親が王宮に診てくれる治癒師がいないか探しに行ったのだけれど、今夜はなかなか治癒師が見つからないらしいの。診ていただけますか?」
「もちろんです。頑張ります」
 サランはそう言って頭を下げると、侍従に案内されるままアンドレアの部屋に向かった。
「サランさま……っ! おにいさまをげんきにしてください……っ」
 小さな女の子が涙を浮かべて、サランの背中に叫んだ。
「必ず元気にするから安心してね」
 サランは振り返ってアンドレア家の末娘に安心させるように微笑んでからアンドレアの部屋に入った。
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