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強面騎士団長は宿敵だったはずなのに5章
サランの気持ち
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「この魔法動物の谷に来て、いろんなことがあったから、その中で自分の気持ちがはっきりとわかったよ」
サランはゆっくりと言った。いつも勢いで心に浮かんだことを口走ってしまうことがあるから。でも今は絶対に誤解が一つもないように彼に言わなければならなかった。そうしなければ、きっとサランは大切なものを失ってしまう。
そう思うと、緊張で心臓が割れそうなほど脈打った。
同時に彼も自分に気持ちを伝えてくれる時、こんな思いをしてくれたのかもしれないと思うとよりいっそう声が震えた。
「その気持ちは聞かせてくれなくていいよ。もうわかってるから。傷口に塩を塗り込まないでくれ」
サランの言葉を聞いて、アンドレアは投げやりに言うと俯いた。
アンドレアの絞り出すような声を聞いて、サランはいかほどに彼を傷つけていたのかようやく理解した。
ユノを好きなサランごと愛しているとアンドレアは伝えてくれたが、それでもやっぱり自分を一番に好きでいてほしいと思うのは人として当たり前のことなのは少し考えればわかることなのに、アンドレアの言葉にサランは甘えて一緒にいた。
一緒にいて頼って甘えるなら、サランもアンドレアに伝えなくてはならない言葉があったはずなのに。
サランがちゃんと言葉にしてこなかったから、彼が好きだと言ってくれることに甘えていたから、きっと今回のことはアンドレアをとても傷つけた。
今さら自分の気持ちがわかったと打ち明けても、アンドレアはサランのことは見限って離れたいのかもしれない。でも不器用なくせに一生懸命言葉にしてくれたアンドレアにサランも言葉で伝えたかった。
「ユノがいなくなっちゃって、僕の頭は真っ白になって何も考えられなくなった。僕一人だったら、パニックを起こしてきちんと行動できなくて……ユノを救えたかどうかわからない……それくらいユノは僕にとって大切な人だから」
「わかってるって。それって全部聞かないとダメ?」
まるで捨てられた子犬みたいな視線。あの彼にこんな表情をさせているのだと思うと胸が痛む。
「ごめん。もう我儘言わないから、聞いてよ。ユノを救えたのはアンドレアがずっとそばにいてくれたから。アンドレアがいてくれたから僕は平静が取り戻せたんだ。すごく安心して、心強かった」
「……でも、お前が命を懸けられると思うほど好きなのは、ユノなんだろ……そんなフォロー最後にされたって……」
拗ねたようなアンドレアの声。ずっと真摯な思いを向けてくれていた彼に正直に心の内側を伝えなければならない。
「命を懸けられるって思えたのは、アンドレアがいたからだよ。今回ギリギリまで魔力を使えたのも僕が死にかけても、そばにいるアンドレアがきっと僕を死なせないってわかってたからだよ。絶対にアンドレアが僕を死なせないってわかってた。そうでなかったら、できなかったかもしれない」
「な……なんだよ……それ……」
俯いていた彼が顔を上げた。赤い瞳が少し濡れている。
「違うの? あってるよね? アンドレアは絶対に僕を助けてくれる」
「絶対助ける。そんなん決まってんだろうが……っ」
「だから、僕はギリギリまで魔力を使おうって思えたんだ」
サランは深く呼吸をして口を開いた。
「ユノが好きだよ。でもアンドレアも同じくらい好きだ。でもその好きって全然違うんだ……」
「……どう違うんだよ……」
サランが言うと、アンドレアは唇を尖らせながら、でもサランに愛を乞うような視線を向けるものだから、サランは胸の奥を掴まれたみたいで苦しくなった。
「……安心するのに、苦しい……息が出来なくなるくらい心臓が苦しくなるのに、一緒にいてほしい……っ」
言い終わる前にサランはアンドレアの愛おしいシトラスの中に包まれていた。
体温の高い彼の胸はいつでも熱いほどで、頭がおかしくなりそうになる。
「じゃあ言ってくれよ。サラン……お願いだから、ちゃんと言葉にして。そしたらもういいよ。ユノの次でもいいから……」
彼の胸の中でサランは深く呼吸した。
「ユノの次じゃないよ。どっちが一番って決められないけど、抱きしめてほしいとか、キスしてほしいとか思うのはアンドレアだ」
そして、胸の中で顔を上げ、彼の赤く燃えるような瞳を見て言った。
「アンドレアが、すき……っん」
好きだと告げると、唇を塞がれた。
苦しいくらいにきつく塞がれるのに、サランはもっと、とねだるように彼の首に回した腕に
力を込めてぎゅっと抱き付いた。
「あーーーー! くそ……っ振り回されっぱなしじゃねぇか……情けね……でも」
すげぇ、嬉しい。大好き、愛してる。
唇を合わせたまま狂おしく告げられる。
熱い舌が、サランの口の中に入って来る。
前はどうしたらいいか分からなくて受け入れるままだったけれど、少しでも気持ちを返したくてサランも一生懸命彼の舌に絡めて吸って、一生懸命応えた。
「ん……ん……っ」
うまくできたかわからないけれど、大きな掌が褒めるみたいに頭や背中を撫でてくれる。
どのくらいそうしていたかわからないくらいに唇を重ねた。
「は……」
時を忘れたように唇を合わせてようやくアンドレアは唇を離すと、そっと額を合わせた。
「サラン……サラン……っ」
「アンドレ……ア……っ」
アンドレアの赤い目はすっかり蕩けていて、熱の籠った視線でサランを見つめる。
サランはアンドレアに支えてもらわないと、もうそこには立っていられないくらいで。
「全部、俺のものにしていい……?」
尋ねたアンドレアの声は低く掠れていた。
アンドレアの言っていることの真意を理解した上でサランは頷いた。
「うん……いいよ。全部アンドレアのものにしてほしい……ぅあ……っ」
サランは言い終わる前にアンドレアに抱きかかえられた。
サランはゆっくりと言った。いつも勢いで心に浮かんだことを口走ってしまうことがあるから。でも今は絶対に誤解が一つもないように彼に言わなければならなかった。そうしなければ、きっとサランは大切なものを失ってしまう。
そう思うと、緊張で心臓が割れそうなほど脈打った。
同時に彼も自分に気持ちを伝えてくれる時、こんな思いをしてくれたのかもしれないと思うとよりいっそう声が震えた。
「その気持ちは聞かせてくれなくていいよ。もうわかってるから。傷口に塩を塗り込まないでくれ」
サランの言葉を聞いて、アンドレアは投げやりに言うと俯いた。
アンドレアの絞り出すような声を聞いて、サランはいかほどに彼を傷つけていたのかようやく理解した。
ユノを好きなサランごと愛しているとアンドレアは伝えてくれたが、それでもやっぱり自分を一番に好きでいてほしいと思うのは人として当たり前のことなのは少し考えればわかることなのに、アンドレアの言葉にサランは甘えて一緒にいた。
一緒にいて頼って甘えるなら、サランもアンドレアに伝えなくてはならない言葉があったはずなのに。
サランがちゃんと言葉にしてこなかったから、彼が好きだと言ってくれることに甘えていたから、きっと今回のことはアンドレアをとても傷つけた。
今さら自分の気持ちがわかったと打ち明けても、アンドレアはサランのことは見限って離れたいのかもしれない。でも不器用なくせに一生懸命言葉にしてくれたアンドレアにサランも言葉で伝えたかった。
「ユノがいなくなっちゃって、僕の頭は真っ白になって何も考えられなくなった。僕一人だったら、パニックを起こしてきちんと行動できなくて……ユノを救えたかどうかわからない……それくらいユノは僕にとって大切な人だから」
「わかってるって。それって全部聞かないとダメ?」
まるで捨てられた子犬みたいな視線。あの彼にこんな表情をさせているのだと思うと胸が痛む。
「ごめん。もう我儘言わないから、聞いてよ。ユノを救えたのはアンドレアがずっとそばにいてくれたから。アンドレアがいてくれたから僕は平静が取り戻せたんだ。すごく安心して、心強かった」
「……でも、お前が命を懸けられると思うほど好きなのは、ユノなんだろ……そんなフォロー最後にされたって……」
拗ねたようなアンドレアの声。ずっと真摯な思いを向けてくれていた彼に正直に心の内側を伝えなければならない。
「命を懸けられるって思えたのは、アンドレアがいたからだよ。今回ギリギリまで魔力を使えたのも僕が死にかけても、そばにいるアンドレアがきっと僕を死なせないってわかってたからだよ。絶対にアンドレアが僕を死なせないってわかってた。そうでなかったら、できなかったかもしれない」
「な……なんだよ……それ……」
俯いていた彼が顔を上げた。赤い瞳が少し濡れている。
「違うの? あってるよね? アンドレアは絶対に僕を助けてくれる」
「絶対助ける。そんなん決まってんだろうが……っ」
「だから、僕はギリギリまで魔力を使おうって思えたんだ」
サランは深く呼吸をして口を開いた。
「ユノが好きだよ。でもアンドレアも同じくらい好きだ。でもその好きって全然違うんだ……」
「……どう違うんだよ……」
サランが言うと、アンドレアは唇を尖らせながら、でもサランに愛を乞うような視線を向けるものだから、サランは胸の奥を掴まれたみたいで苦しくなった。
「……安心するのに、苦しい……息が出来なくなるくらい心臓が苦しくなるのに、一緒にいてほしい……っ」
言い終わる前にサランはアンドレアの愛おしいシトラスの中に包まれていた。
体温の高い彼の胸はいつでも熱いほどで、頭がおかしくなりそうになる。
「じゃあ言ってくれよ。サラン……お願いだから、ちゃんと言葉にして。そしたらもういいよ。ユノの次でもいいから……」
彼の胸の中でサランは深く呼吸した。
「ユノの次じゃないよ。どっちが一番って決められないけど、抱きしめてほしいとか、キスしてほしいとか思うのはアンドレアだ」
そして、胸の中で顔を上げ、彼の赤く燃えるような瞳を見て言った。
「アンドレアが、すき……っん」
好きだと告げると、唇を塞がれた。
苦しいくらいにきつく塞がれるのに、サランはもっと、とねだるように彼の首に回した腕に
力を込めてぎゅっと抱き付いた。
「あーーーー! くそ……っ振り回されっぱなしじゃねぇか……情けね……でも」
すげぇ、嬉しい。大好き、愛してる。
唇を合わせたまま狂おしく告げられる。
熱い舌が、サランの口の中に入って来る。
前はどうしたらいいか分からなくて受け入れるままだったけれど、少しでも気持ちを返したくてサランも一生懸命彼の舌に絡めて吸って、一生懸命応えた。
「ん……ん……っ」
うまくできたかわからないけれど、大きな掌が褒めるみたいに頭や背中を撫でてくれる。
どのくらいそうしていたかわからないくらいに唇を重ねた。
「は……」
時を忘れたように唇を合わせてようやくアンドレアは唇を離すと、そっと額を合わせた。
「サラン……サラン……っ」
「アンドレ……ア……っ」
アンドレアの赤い目はすっかり蕩けていて、熱の籠った視線でサランを見つめる。
サランはアンドレアに支えてもらわないと、もうそこには立っていられないくらいで。
「全部、俺のものにしていい……?」
尋ねたアンドレアの声は低く掠れていた。
アンドレアの言っていることの真意を理解した上でサランは頷いた。
「うん……いいよ。全部アンドレアのものにしてほしい……ぅあ……っ」
サランは言い終わる前にアンドレアに抱きかかえられた。
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