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2章
6話
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「キリがないな……」
ソファで何度か抱かれた後、そう永瀬は呟くと躯を離して、そのまま彼の寝室へユキを運び込んだ。
永瀬の香りがもっとも香るベッドの上で再び優しく躯中触れられた。
「ユキも、触ってくれないか……?」
外科医としての彼の姿から想像もつかないほど甘えて蕩けた声でねだられて、ユキもその細い神経質そうな指先を彼の躯に伸ばした。
永瀬の躯はもう三十代半ばだというのに、引き締まっていてなめらかで驚くほど触り心地が良かった。
彼の綺麗な胸板や腹筋に触れていると、何故だか躯の中心がぽわぽわと熱を帯びてくるように心地よくてくちびるでも触れてみたい欲求が産まれて彼のなめらかな肌にくちづけた。
「……っく………」
思わず永瀬が息を飲んだ様子が伝わってきて、たまらなくなって、逞しい胸にある乳首をぺろりと舐めてみると、綺麗な腹筋が細かく戦慄いた。
あ、とユキが思ったときにはやわらかなベッドに躯を押し付けられ大きく足を開かされ……熱い先端が潜り込んできた。
何度もしたのに、ともすれば先程よりも熱く感じた───
*****
「明日……仕事だし、シャワー浴びてきます………」
腕の中で掠れた声でユキは呟く。
そっと永瀬の腕の温かい檻から抜け、シーツ巻き付けながらベッドから降りた途端、ぺたんと腰が抜けてユキは永瀬の寝室の木の床の上に崩れ落ちた。
「え……?」
ユキが驚きの声を上げると、ベッドの中に肉食獣が食事を終えて満足していたようにゆったりと寝そべっていた男がくつくつと笑いながら身を起こした。
「こんなときは、きみの腰を立たなくした男にあまえて全部やってもらえばいい」
ささやかれ、きしりとベッドを軋ませて立ち上がってユキをひょいと抱き上げ永瀬の寝室に付いているバスルームに連れていかれた。
「ふ、……っ永瀬先生、くすぐったい、ですけど……」
たっぷり泡立てられたふわふわの泡で全身を隈無く洗われた。それこそ足の指の間まであの、美しく動く指先に。
髪の毛も優しく洗ってもらって後ろから抱かれて広いバスタブの少しぬるめのお湯にゆったり浸かっている頃には色んな意味でぽやんとしてしまうユキ。
そんなユキの白いうなじに何度となく舌を這わされて甘噛みされる。
発情期に躯の奥深くにアルファの雄を銜えこまされたときにうなじを噛まれなければ番になることはないが、それをあまったるくねだられるような仕種。
(だめ、なのに。番の仕組みは唯一僕がお父さんとお母さんの役に立てる手立てだから、番は作ったらいけないのに……家族のためにそれは使うと約束しているのに……)
永瀬にうなじを噛まれてしまいたくなくて仕方のない欲求が沸き上がってくるのは、
きっとこんなに情熱的に触れられたのが初めてだから。
きっとこんなに優しく触れられたのも初めてだから。
切なく沸き上がる感情に無理矢理理由を付けて蓋をした。
ソファで何度か抱かれた後、そう永瀬は呟くと躯を離して、そのまま彼の寝室へユキを運び込んだ。
永瀬の香りがもっとも香るベッドの上で再び優しく躯中触れられた。
「ユキも、触ってくれないか……?」
外科医としての彼の姿から想像もつかないほど甘えて蕩けた声でねだられて、ユキもその細い神経質そうな指先を彼の躯に伸ばした。
永瀬の躯はもう三十代半ばだというのに、引き締まっていてなめらかで驚くほど触り心地が良かった。
彼の綺麗な胸板や腹筋に触れていると、何故だか躯の中心がぽわぽわと熱を帯びてくるように心地よくてくちびるでも触れてみたい欲求が産まれて彼のなめらかな肌にくちづけた。
「……っく………」
思わず永瀬が息を飲んだ様子が伝わってきて、たまらなくなって、逞しい胸にある乳首をぺろりと舐めてみると、綺麗な腹筋が細かく戦慄いた。
あ、とユキが思ったときにはやわらかなベッドに躯を押し付けられ大きく足を開かされ……熱い先端が潜り込んできた。
何度もしたのに、ともすれば先程よりも熱く感じた───
*****
「明日……仕事だし、シャワー浴びてきます………」
腕の中で掠れた声でユキは呟く。
そっと永瀬の腕の温かい檻から抜け、シーツ巻き付けながらベッドから降りた途端、ぺたんと腰が抜けてユキは永瀬の寝室の木の床の上に崩れ落ちた。
「え……?」
ユキが驚きの声を上げると、ベッドの中に肉食獣が食事を終えて満足していたようにゆったりと寝そべっていた男がくつくつと笑いながら身を起こした。
「こんなときは、きみの腰を立たなくした男にあまえて全部やってもらえばいい」
ささやかれ、きしりとベッドを軋ませて立ち上がってユキをひょいと抱き上げ永瀬の寝室に付いているバスルームに連れていかれた。
「ふ、……っ永瀬先生、くすぐったい、ですけど……」
たっぷり泡立てられたふわふわの泡で全身を隈無く洗われた。それこそ足の指の間まであの、美しく動く指先に。
髪の毛も優しく洗ってもらって後ろから抱かれて広いバスタブの少しぬるめのお湯にゆったり浸かっている頃には色んな意味でぽやんとしてしまうユキ。
そんなユキの白いうなじに何度となく舌を這わされて甘噛みされる。
発情期に躯の奥深くにアルファの雄を銜えこまされたときにうなじを噛まれなければ番になることはないが、それをあまったるくねだられるような仕種。
(だめ、なのに。番の仕組みは唯一僕がお父さんとお母さんの役に立てる手立てだから、番は作ったらいけないのに……家族のためにそれは使うと約束しているのに……)
永瀬にうなじを噛まれてしまいたくなくて仕方のない欲求が沸き上がってくるのは、
きっとこんなに情熱的に触れられたのが初めてだから。
きっとこんなに優しく触れられたのも初めてだから。
切なく沸き上がる感情に無理矢理理由を付けて蓋をした。
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