とろけてまざる

ゆなな

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5章

7話

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『特Aは埋まっていたが個室の方は明日空きが出るから、明日の午後にでもすぐ入ってもらうことにしたよ。CTとMRIの結果を先方の病院から至急送ってもらったんだが、以前アメリカでオペを担当した症例と非常に似ていてな。何れも予後は良好だった。もちろんこちらでお父さんの診察をしてから治療法は決めることになるし、同じように出来るとも限らないが』

 永瀬に話した翌日、ユキは非番だったが午後にはトントンと話が進んだらしい。報告の電話がユキにかかってきた。
 あっという間に話を進めてくれる永瀬が心強い反面、いよいよ両親と対面しなければならないときが近付きユキの心はざわめく。
『それで、明日の午後、ユキは病室の面会どうする?』
うんと優しい電話越しの声にも返答が出来なかったユキ。
『無理する必要はないさ。明日は俺が一人で会ってこよう、様子を教えるよ』
それから蕩けそうな声で。
『和也はイイコにしてるか?』
「うん。今ご機嫌に遊んでる。先生がこの前買ってきてくれた鏡の付いた玩具お気に入りみたい。自分の顔に向かってだぁだぁ話しかけてる」
 話を聞いて永瀬はくつくつ笑う。
『そうか。そんな話を聞くとユキにまた怒られても新しい玩具買ってしまいそうだ』
「だめですよ!もう!今ある分で充分ってこの前も話しましたよね」
『わかってる、わかってる。今月は子供売場に行かないように心掛けるから。それより後でまた遊んでいる写真送ってくれ』
 また叱られたらかなわんからな、とまた笑う。それから
『今日帰りは『鰻松屋』の鰻を買って帰ろうと思うんだが、どうだ?』
「あ、いいですね。じゃあお吸い物と野菜の煮物でも作って待ってます」
『あぁ、昨日いっぱい絞り取られた分、鰻でも食って補わんとな』
 永瀬が嘯く。
「な……っも……もうっ!先生のばかっ!そんなこと言うなんてオヤジですよっ」
 電話の向こうで愛らしく赤面してるであろうユキを想像して永瀬は笑う。
『ははは。言うようになったな。じゃあ和也の写真忘れないでくれよ?』
そう言うと電話は切れた。

「もう!先生ってば……あ、あれ?」
 あんなに沈んでいた気持ちが少し和らいでいて。
「まー!まー!!!」
 和也が可愛い顔でユキを見て笑っていた。
「もう、先生ってば……」
 目の前には居ない永瀬への愛しさでユキは泣き笑いのような顔をした。
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