稚拙図書館

織賀光希

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箱入り娘

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この世界は、ゾンビにまみれてしまった。

ゾンビに噛まれることが、怖い。

隠れゾンビもいるから、怖い。

怖くて怖くて、透明な箱に入った。

それは外気を一切、遮断できる箱だ。



【箱から出そうとしなければ、何をしてもいい】

そう書いた紙を貼って、通行人に全てを委ねた。



早速、デートしたいという男性が来て、デートを楽しんだ。


次に、ダンスの感想が欲しいという女子高生が来て、アドパイスをした。


さらに、ゾンビの盾にしたいお兄さんがやって来て、その人の盾になった。


ずっと、親に大切に育てられてきた。

だから、乱暴に扱われたのは初めてだった。

少しだけ嬉しかった。
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