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第一章 2代目時の神子 ユーリ
メイリラルド歴611年(3)
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4人を召喚して2ヶ月経った、4人は騎士団長から剣術を習ったり、魔術師として指導できるメリアが魔術を教えたり座学を教えている。剣術は王宮内最奥にある中庭で行われているから私の執務室からも見えておもしろい、今も丁度騎士団長のラックスさんと和樹が戦っている…あ、和樹負けた。
「彼らも中々強くなっているね」
「和樹と里奈は剣道を習っていたから特に強いわね、真人と恵理は魔術に適合しているとメリアが言っていたし…バランスが取れてるわ」
最近はラックスさんに連れられて実戦もしているし…小説と違って魔王城目指して旅に出る訳じゃないから、って言った時の和樹と里奈の落ち込みようには苦笑いしか出なかった。
当時を思い出していたら懐かしい声が聞こえた。
『母上!』
「ラト?どうしたの?」
『そっちに歪み起きてないっ?』
「起きて…」
―――キーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!―――
「…起きたわ」
『その歪みは広がるんだ、早くしないとまずいっ』
歪みの場所は…ここ!?
「どこに歪みがあるのよ!」
「上だ!!」
ルドの声に窓を開け上を見るとそこには大きい歪みと落ちてくる魔物が見えた。
「まずい!」
窓から中庭に飛び降りる、ここは3階?そんなの知らないわよ!
「ルド、魔物をお願い!」
「了解!」
降ってくる魔物の背を蹴って飛ぶ、歪みが近くなった今!
《――閉鎖――》
神子にしか使えない魔術を唱えた瞬間歪みは消えていった、落ちるとともに下を向くと魔物も倒されていた。
「優莉が落ちてくる!?」
「ど、どうするの!?」
慌てているところ申し訳ないのだけど…瞬間移動するから無事に着地出来るのよね。
「神子にしか瞬間移動使えないなんて不公平だ」
そんなこと言われてもな…。
『無事に倒せたみたいだね』
「ラトルク、これはどういうことなの」
『ついさっき魔王と会ったんだ』
「はぁ!?」
どういうこと!?魔王と会った!?
『歪みが出たから直しに行ったら魔王がいたんだ…自分は歪みを操れるって、そう言ってたんだ。信用していないだろうから今から神子のもとに歪みを発生させるって言って姿を消した』
「なるほど…そして言葉通りに歪みが発生したわけね、チームの人達は知っているの?」
『いや…言ってない』
「そう…魔王が貴方の顔を覚えた時点で貴方を含めチームメンバーにも危険が及ぶ場合があるわ、だからといって貴方一人では母として心配だから…必要だったらチームメンバーにも事情を話してもいいわ、判断はラトルクに任せます」
『…了解しました』
「ラト、無理はしないで」
『はい、ありがとうございます母上』
通信魔法が切れた。時々手紙が届くけど歪み以外のことは詳しく書かないから少し心配だったけどあの様子じゃあ事情を話していないこと以外では大丈夫そうね、そう思っていたら里奈が話しかけてきた。
「ねぇ優莉、今会話してた人が息子?」
「そうよ、息子のラトルク…今は仕事半分で世界を旅しているの。ラトルクは父親似だから里奈の大好きな美形よ」
「ホント!?」
「里奈は本当に美形好きだね」
恵理の言葉に同感だわ…。
「ここに来てから周りの人は美形ばかりで驚いたよ!陛下もレイダリアさんもルドレイクさんもラックスさんも美形!!男だけでなく女の人も美人すぎて毎日が眩しい…」
「……」
男と言えばいいのかしら。
「特に優莉とルドレイクさんが並んでいるとクールで爽やかなオーラが…」
「クール?」
「二人ともクールな美形、なんというか…世界を見ている人の目をしてるの」
まぁ…世界を見るのが仕事だから。里奈の話を呆れたように聞いていた私と恵理は魔物回収が終わってアランシスも追加してこっちに歩いてきたルド達に気付いた。
「ユーリのお陰で破損も死傷者も出なかった」
「急いで城全体に結界を張ったから、感謝するならラトに言って…ラトから通話が来なかったら破壊されてたわ」
「それについてはルドレイクかも聞いた…魔王の行動は段々と大きくなっている」
「魔王は歪みが操れる…一刻も早く魔王を倒さないと」
魔王が復活とともに言ったこと『2年待つ』この言葉を覚えているなら、来年には必ず動いてくる…4人も力を付けているし…大丈夫だということを祈るしか無いわね。
* * *
あれから一ヶ月、私のもとにラトから手紙が届いた。
”母上へ
港町レイトルに到着し、当分の間は滞在する予定です。僕は未だ皆に話していない状況です、チームメンバーで魔術師のアイルという人に怪しまれて入るけど…そこは特に気にしていませんが他に一つ、彼女…歪みが見えている可能性があります。試しに歪みを見つけて彼女の動向を観察していたら歪みを認識しているような動きを見せました。彼女は今レイトルの二つ隣にあるヴィーラに滞在していて別行動を取っています、4日後に村を出るようなので調査をお願いしたいです。彼女が到着次第、彼女だけでも話そうと思っています。
皆には今の関係でいたいから…まだ話すには無理、ごめんなさい。 ラトルクより”
…なるほどね、ヴィーラに滞在中のアイルという子に接触してレイトルまで一緒に行く、その途中に歪みが見えているのかを調査する…歩いて旅するとか面白そうだからやろう。
「ルド」
「やるだろう?」
「もちろん、さっそく陛下に許可を」
そう言って私達は部屋を出た。
無事に許可が出てさっそく準備に取り掛かりラトルクに手紙を出した。
”ラトルクへ
陛下からの許可も出たから彼女が村を出る1日前から接触、その後レイトルまで行くわ。レイトルに行ったらラトルクに会いに行くわね、歩いて旅なんて初めてだから楽しみよ! 母より”
こうして私とルドは出張に出たのだった。
「彼らも中々強くなっているね」
「和樹と里奈は剣道を習っていたから特に強いわね、真人と恵理は魔術に適合しているとメリアが言っていたし…バランスが取れてるわ」
最近はラックスさんに連れられて実戦もしているし…小説と違って魔王城目指して旅に出る訳じゃないから、って言った時の和樹と里奈の落ち込みようには苦笑いしか出なかった。
当時を思い出していたら懐かしい声が聞こえた。
『母上!』
「ラト?どうしたの?」
『そっちに歪み起きてないっ?』
「起きて…」
―――キーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!―――
「…起きたわ」
『その歪みは広がるんだ、早くしないとまずいっ』
歪みの場所は…ここ!?
「どこに歪みがあるのよ!」
「上だ!!」
ルドの声に窓を開け上を見るとそこには大きい歪みと落ちてくる魔物が見えた。
「まずい!」
窓から中庭に飛び降りる、ここは3階?そんなの知らないわよ!
「ルド、魔物をお願い!」
「了解!」
降ってくる魔物の背を蹴って飛ぶ、歪みが近くなった今!
《――閉鎖――》
神子にしか使えない魔術を唱えた瞬間歪みは消えていった、落ちるとともに下を向くと魔物も倒されていた。
「優莉が落ちてくる!?」
「ど、どうするの!?」
慌てているところ申し訳ないのだけど…瞬間移動するから無事に着地出来るのよね。
「神子にしか瞬間移動使えないなんて不公平だ」
そんなこと言われてもな…。
『無事に倒せたみたいだね』
「ラトルク、これはどういうことなの」
『ついさっき魔王と会ったんだ』
「はぁ!?」
どういうこと!?魔王と会った!?
『歪みが出たから直しに行ったら魔王がいたんだ…自分は歪みを操れるって、そう言ってたんだ。信用していないだろうから今から神子のもとに歪みを発生させるって言って姿を消した』
「なるほど…そして言葉通りに歪みが発生したわけね、チームの人達は知っているの?」
『いや…言ってない』
「そう…魔王が貴方の顔を覚えた時点で貴方を含めチームメンバーにも危険が及ぶ場合があるわ、だからといって貴方一人では母として心配だから…必要だったらチームメンバーにも事情を話してもいいわ、判断はラトルクに任せます」
『…了解しました』
「ラト、無理はしないで」
『はい、ありがとうございます母上』
通信魔法が切れた。時々手紙が届くけど歪み以外のことは詳しく書かないから少し心配だったけどあの様子じゃあ事情を話していないこと以外では大丈夫そうね、そう思っていたら里奈が話しかけてきた。
「ねぇ優莉、今会話してた人が息子?」
「そうよ、息子のラトルク…今は仕事半分で世界を旅しているの。ラトルクは父親似だから里奈の大好きな美形よ」
「ホント!?」
「里奈は本当に美形好きだね」
恵理の言葉に同感だわ…。
「ここに来てから周りの人は美形ばかりで驚いたよ!陛下もレイダリアさんもルドレイクさんもラックスさんも美形!!男だけでなく女の人も美人すぎて毎日が眩しい…」
「……」
男と言えばいいのかしら。
「特に優莉とルドレイクさんが並んでいるとクールで爽やかなオーラが…」
「クール?」
「二人ともクールな美形、なんというか…世界を見ている人の目をしてるの」
まぁ…世界を見るのが仕事だから。里奈の話を呆れたように聞いていた私と恵理は魔物回収が終わってアランシスも追加してこっちに歩いてきたルド達に気付いた。
「ユーリのお陰で破損も死傷者も出なかった」
「急いで城全体に結界を張ったから、感謝するならラトに言って…ラトから通話が来なかったら破壊されてたわ」
「それについてはルドレイクかも聞いた…魔王の行動は段々と大きくなっている」
「魔王は歪みが操れる…一刻も早く魔王を倒さないと」
魔王が復活とともに言ったこと『2年待つ』この言葉を覚えているなら、来年には必ず動いてくる…4人も力を付けているし…大丈夫だということを祈るしか無いわね。
* * *
あれから一ヶ月、私のもとにラトから手紙が届いた。
”母上へ
港町レイトルに到着し、当分の間は滞在する予定です。僕は未だ皆に話していない状況です、チームメンバーで魔術師のアイルという人に怪しまれて入るけど…そこは特に気にしていませんが他に一つ、彼女…歪みが見えている可能性があります。試しに歪みを見つけて彼女の動向を観察していたら歪みを認識しているような動きを見せました。彼女は今レイトルの二つ隣にあるヴィーラに滞在していて別行動を取っています、4日後に村を出るようなので調査をお願いしたいです。彼女が到着次第、彼女だけでも話そうと思っています。
皆には今の関係でいたいから…まだ話すには無理、ごめんなさい。 ラトルクより”
…なるほどね、ヴィーラに滞在中のアイルという子に接触してレイトルまで一緒に行く、その途中に歪みが見えているのかを調査する…歩いて旅するとか面白そうだからやろう。
「ルド」
「やるだろう?」
「もちろん、さっそく陛下に許可を」
そう言って私達は部屋を出た。
無事に許可が出てさっそく準備に取り掛かりラトルクに手紙を出した。
”ラトルクへ
陛下からの許可も出たから彼女が村を出る1日前から接触、その後レイトルまで行くわ。レイトルに行ったらラトルクに会いに行くわね、歩いて旅なんて初めてだから楽しみよ! 母より”
こうして私とルドは出張に出たのだった。
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