ヒカリノツバサ~女子高生アイドルグラフィティ~

フジノシキ

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第2章 アイドル同好会!

アイドル活動をはじめよう!

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 翌日。
 この日も各教科の初日だったが、佑香の気持ちは既に放課後へと向いていた。帰りのホームルーム終了とともに、佑香、美空、亜紀の三人は素早くカバンに荷物をしまって教室を出る。向かうのはアイドル同好会の部室だ。

 部室へ向かう途中の廊下で、新入生の勧誘をしている紗夜香に会う。

「あ、みんなこんにちは」
「おいかわ先輩こんにちわ!」

 佑香が元気よく返事をする。

「みんな今日はどうするの?」
「はい、部室へ行って活動をするつもりです」

 美空が答える。

「私はもう少しここで勧誘をしていくから、先に部室に入っていて。飲み物やお菓子は自由に食べていいからね」
「わかりやしたー」


 紗夜香の言葉に亜紀が返事をする。紗夜香と別れた三人はアイドル同好会の部室へ向かう。紗夜香がいないので部室には誰もいないとわかっているのだが、一応ノックをしてから「失礼します」と声を掛けて中に入る。
 中に入り、それぞれが机の上にカバンを置く。

「いよいよアイドル活動かー!」

 そう言って壁に貼ってあるアイドルのポスターを眺める佑香。その横にきて同じくポスターを見る美空が話す。

「なんかまだ実感わかないや。アイドルも全然わからないし。昨日JPN88? だっけ、有名らしかったからスマホで動画は何個か見てみたんだけど」
「わたしもアニメやゲームのアイドルしかわからないよー。中の人のライブとかはよく見るけど」
「中の人?」

 しまった、専門用語だったかと思いながら佑香が説明をする。

「えっとね、アニメやゲームのキャラクターを演じる声優さんのこと。アイドルアニメでアイドルの声をやってる声優さんが実際のアイドルみたいにそのアニメの曲でライブをやったりしているんだ」
「へえ、佑香ちゃん詳しいね」
「ま、ふたりともべっぴんさんやし大丈夫とちゃうん?」

 二人とは離れて書棚のCDを物色していた亜紀が口を開く。

「ようはかわいい子が歌って踊ればアイドルなんやし」

 その言葉に二人が慌てて否定をする。

「いや、みそらちゃんは美少女! って感じだけどわたしなんか……」
「そんなことないよ。佑香ちゃん私よりもずっと女の子らしくて可愛いと思う」
「そういうことや。お互い相手のことをかわいいと思とるんやろ? 同じくらい自分もかわいいから安心せいな」

 そう言われて佑香と美空はお互い顔を見合わせて黙り込む。

 その時、勧誘が終わった紗夜香が部室に戻ってきた。

「あ、及川先輩おかえりなさい」
「はい、ただいま。あ、そうだ。私の事は及川先輩じゃなくて紗夜香でいいから。その代わりみんなのことも名前で呼んでいいかしら?」
「はい、もちろんです!」
「ありがとう、佑香ちゃん」

 そう笑いかけて紗夜香が荷物を机の上に置く。

「さやさや先輩、勧誘はどないでしたか?」
「んー、さすがに二日連続では来てくれなかったかな。何人かビラは持っていってくれたけど」

 亜紀の独特な呼び方についてはスルーして、紗夜香が答える。

「及……、紗夜香先輩、えっと、アイドル同好会の活動って具体的には何をやるんですか?」

 美空が尋ねる。

「そうね、基本的には毎日ダンス練習と歌練習かしら」

 アイドルの活動がよくイメージできていない美空は、さらに聞いていく。

「目指す大会みたいなものはあるんですか?」
「そうね、特に他校と競うような大会はないわ。アイドル同好会がある高校なんて市内でもうちくらいだろうし。うちの部の一番の目標は秋の文化祭のステージね」
「文化祭でライブをやるんですか?」

 佑香が聞く。聞いてから、そういえば昨日見せてもらったライブ動画は文化祭のステージだったと思い出す。

「ええ、入学式をやった第一体育館でやるのよ。あんな大きな舞台でライブができるなんてプロのアイドルでも滅多にないんだから」

 紗夜香の言葉に佑香が頷く。佑香が以前に行ったことのあるアニメソング歌手の無料ライブは体育館の四分の一くらい、百人も入らない大きさの会場だった。

「ただ、何もしないとあんな大きな箱、あ、箱って会場のことね。第一体育館を満員にはできないから、地元のアイドルライブなんかに呼ばれたら積極的に参加して名前を売っていくわ。さとみなちゃんのツテで決まることもあるけど、大体はこちらからの営業活動だから。そこは会長の私の仕事ね。どう、大体イメージできたかしら?」
「はい、ありがとうございます」

 美空が納得してくれたのを見て、紗夜香が話を切り出す。

「ということで亜紀ちゃんには作曲してもらうとして、最初の曲ができるまで当面の間は、昨日見た先輩達のユニットが歌っていた曲で歌とダンスの練習をするということで良いかしら?」
「「はいっ」」

 元気よく答える佑香と美空。

「あ、もちろんそんなバリバリ頑張るんじゃなくて、最初のライブが決まるまでは部室でアイドルDVD見ながらおしゃべり、っていうサークル的な感じでも全然構わないわよ?」

 あまりに威勢の良い二人に確認を取る紗夜香。

「いえ、元々体育会系なのでしっかりとメニューを決めて練習する方が身体に合ってます」
「わたしも早く色々歌って踊りたいのでどんどん練習したいですっ」

 美空と佑香は二人ともやる気十分だった。その二人のやる気に満ちた目を見て、紗夜香が申し訳なさそうに話し出す。

「ただね、うちは同好会だから、他の正式な部のように決められた活動場所がないの。だから、練習は専ら豊平川の河川敷になってしまうのだけど……」

 豊平川とは札幌市内の中心部を流れる一級河川で、河川敷には野球場やテニスコート、サイクリングロードなどもある。南女のすぐ裏にも流れていて、歩いて数分で河川敷まで行くことのできる距離である。

「うわー、河川敷で見られながら練習ちゅうんは恥ずかしいですなー」

 予想通りの反応をする亜紀を見て、紗夜香の顔が暗くなる。しかし、美空と佑香の反応は違った。

「昔から練習は屋外だったので特に問題はないです」
「中学のとき、南女のジャージを着た人達が川沿いをランニングしてるのを見てわたし憧れてたんです! あ、私中学柏木中なんです」

 二人の予想外の反応にほっと一安心する紗夜香。

「じゃ、とりあえず今日はこの部屋で曲を覚えるところからはじめましょうか」
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