【完結】記憶を失った彼と植物になった彼女の七日間

よーじろー

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四日目-続き-

蒲桜吏王ーPart2ー

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 〝救急外来入口〟
 そう書かれた入口の自動ドアをくぐる。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
 受付にいた守衛に挨拶をして中に入る。
 〝あたかも病院の関係者であるかのような立ち振る舞いをすると守衛に止められる事はない〟
 茶華に教えてもらった事である。本来であれば良くない事なのだろうが、いち早く吏王の元に行かなくてはいけないため、受付をしている時間さえ惜しい。しかも、通してくれない可能性すらある。こんな時間なのだから、むしろそっちの方が高いかもしれない。
 ――すみません。次回は絶対に正規の手順を踏むから、今回だけは許して下さい。
 消灯時間はとうに超えているため、病院の中は薄暗く物音ひとつしない。高鳴る心臓だけが大きく響く。ホラーが苦手な圭にとってこの状況そのものが恐怖でしかなかった。
 きょろきょろと周りを伺いながら医局へと向かう。迷う事はなかった。入院していた時、暇潰しで病院探検をしていた事がここにきて役に立った。
「お疲れ様です」
「おつか……って、ちょっと待ちなさい!」
 医局に入る前にある受付で女性の事務員に止められる。守衛はともかく、勤務する医者の顔を全て把握している事務員はさすがに誤魔化せなかった。入院中同じような時間帯に侵入した時はいなかったのだが……今日は運が悪いようだ。
「あなた、許可証はあるの? どうやってここまで来たのよ? 入口に守衛がいたはずだけど」
 小窓から顔を出して詰める事務員に、どうしたものか、と考える。
「えーっと……」
 そう言いながら、圭が突然走り出す。
 考えた挙句、出した答えは強行突破であった。
「あっ、こら! 待ちなさい!」
 事務員が慌てた様子で受付を出て追いかける。
 医局自体はそこまで広くないが、幸い残っている人はいなくそこら中に物が散乱していたため隠れる場所は豊富にあった。その一つの物陰に隠れる。
「ったく、もう、どこに行ったのかしら……」
 困った様子の事務員が通り過ぎるのを息を潜めやり過ごす。
 足音が遠ざかり、聞こえなくなった頃合いを見計らい、深く息を吐く。
「――こんなところで何をしているのですか?」
 束の間、背後からかけられた低く籠った声に緊張が走る。
 ――まずい! ここで見つかっては先生に会う事が出来なくなってしまう! ……やらねば!
 圭は瞬時に心の中で迎撃の準備を整え、体に当たるおおよその場所に向かって裏拳を繰り出す。
「っと、何をするんですか、全く」
 しかし、その拳が当たる事はなく、逆に後ろ手で拘束されてしまった。その手際の良さは何かしらの武術を習った者のそれだった。
「痛い痛い痛い! すみません! もうしません! なので、放してください!」
「次は通報しますからね」
 そう言って放されると同時に後ろを振り返る。
「おやおや、これは誰かと思えば、圭君ではないですか。こんな時間にこんなところで何をやっているのですか?」
 声を聞いた段階で気づけば良かったのだが、以前会った時と声の印象が大分変わっており気づかなかった。ここ何日かくらいしか経っていないのだが、何があったのだろうか……。と、考えても分からなかったが、何はともあれ、目的の人物に遭遇する事が出来た。
「蒲桜、先生」
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