誰かのヒーローになりたい俺の第一歩

よーじろー

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第一章

第六話

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 少女が家の中に入って十分が経過した。
 テーブルの前に少女が座り、俺はベッドの端に座り少女を睨む。
 人の家のドアを壊したかと思うと、ずかずかと入り込んで何も言わずに部屋の中を見回す。
 一般小学生女児には決して出すことのできない妙な威圧感が俺の上からのしかかる。
 それに加え有無を言わせない眼力が俺を締め付ける。
 お互い口を開くことなく重い空気だけがこの空間を支配した。
 
 ――この子、一体何者なんだろうか。
 
 そんな俺の思いは露知らず、少女はほうじ茶を一気に飲み干す。
 そして、おかわりを要求する。

「茶葉自体はそこまで悪くないが、入れ方が良くないな。丁寧に入れればもっと上手くなるぞ。よかったら教えてやろうか?」

 この言い草である。
 相変わらず腕を組みながら貧相な胸を強調することも含め、見れば見るほど身体に似合わないほど尊大な態度に苛立ちと戸惑いを隠せない。
 空になった少女のコップにほうじ茶を注ぐ。

「みょうらく、あかり……とか言ったか?」
「ああ。そうだ」
「お前は……何者だ?」
「言っただろ。私は明楽あかりだ。それ以上でも以下でもない」
「それは分かった! 俺はそんなことが訊きたいんじゃない!」
「冗談だ。そう焦るな。まさかお前、早漏か?」
 
 確かに焦っていることは事実だが、それをさせているのは目の前の少女、もといあかり本人なので言われる筋合いはさらさらない。
 ひとつ息を吐き、言葉を継ぐ。

「じゃあ、何しに来たんだ?」
「うーん、そうだな……お前とその母親を救いに来た、言わばお前たちのヒーローといったところだな。泣いて喜んでいいぞ。がっはっはっはっ」

 口を大きく開けて豪快に笑う。つくづく中身と外見の間に凄まじいギャップが存在する奴だ。別人格の人間が乗り移っているとでも言われた方が余程納得できる。
 しかし、それよりもまず言わなくてはいけないことがある。

「……それ、ドアをぶっ壊さなくても良かっただろ?」
「うーん……まあ、そうだな」
「そうだな、じゃねえよ!」
「でも、お前も悪いんだぞ。美人で頭が良くて運動神経が良くて常に皆の憧れの的で有名なこの私にあろうことか居留守なんか愚かな手段を使うから」
「それがドアを壊す理由にはならないだろ! ……まあ、確かに美人であることは認めるけども」

 それにそういうことを自分で言う奴に胡散臭さしか感じない。
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